がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

ナスのパルミジャーナに洋梨とルッコラのサラダ

ナスのパルミジャーナというと、本来はナスをたっぷりの油で揚げてトマトソースとチーズとともに幾層にも重ねてオーブンで焼く料理。とても美味しいけれど、何しろ油をよく吸ってしまうナスを揚げるので胃にもたれることもある。今晩のゴハンは、そんなこってりとしたイタリア料理を何とか油の量をひかえてつくってみた。

20150516_4実はすでに自家製トマトソースは底をついてしまったので、いつも行く市場でパサータと呼ばれるトマトソースを購入。トマト缶のトマトを濾したものと思えばいい。つまり、ドロドロのトマトソース。ケチャップとは違い、使っているのはトマトのみ。

20150516_3まず、ナスは薄切りにしてオリーブオイルのスプレイをさっとまぶし、180度のオーブンで15分ぐらい。きれいな焼き色がついたらオーブンから取り出す。そして、彩りに残りのパセリをパラパラと。

その間にボウルにリコッタチーズを「汁を切ってから」入れ、みじん切りにしたイタリアンパセリとバジルを加え、ついでにこないだの残りのモッツアレラチーズも軽く切って放り込み、よく混ぜ合わせる。あ、シシリア地方の料理なので、ナツメグの硬い実をがりがりと削って直接振りかける。
いや、わたしもなぜシシリア風だとこういうふうにナツメグを振りかけるのか、説明できるわけじゃない。わからないながら、スイスにいたときに「シシリア料理だからナツメグ」とイタリアのおばちゃんから言われ続けていたので振りかけている。北アフリカに近いからかな、と考えてもみるが本当のところは全くわからない。

さて、玉ねぎはみじん切り。飴色になるまで炒めてからニンニクのみじん切りを加え、瓶から直接トマトパサータをどぼどぼと。最後に、飲んでいた白ワイン(あら、バラしちゃった)を瓶から「どぼ」ぐらい加え、煮立ったら火を止める。このソースをオーブントレイに敷き、冷めたナスでチーズミックスをぐるぐると巻いてから落とし、上からパルミジャーノチーズをがりがりとひいてから、オーブンで30分。

こういうこってりイタリアンによく合うのは「さっぱりサラダ」。
わたしがよく使うのは固い洋梨(こちらで言うペッカム種)とゴマ風味のルッコラのサラダだ。ドレッシングはバルサミコ酢を加えた少々甘めのソース。歯ざわりのために、クルミをきざんで炒ってからパラパラと振りかけた。

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英語圏でよく使われるRules of Thumb(親指の測り)という言葉がある。元は熟練大工が自分の親指の幅でモノを測ることに由来しているらしいが、経験からの目分量だ。
そこまで熟練しているわけではないが、それでも自分が美味しいと感じる「舌分量」は何となくわかる。だからよく舐めるし、味見もする。もしかしたらそれは、わたしの味でほかのひとにはそれほどではない味かもしれない。でも、料理なんてつくっているひとと食べるひとが「美味しい」と感じて、食べている間中いい気分になれるならそれでいいじゃないかと思うようになった。わたしのの「親指」でつくるのは、結局「わたしの味」でしかないのだから。

 

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