ずいぶんとホッタラカシにしていたが、その間に色々あり、実は現在東京の実家に滞在している。7月半ばまでいる予定だ。母の介護がその目的だが、どうも去年の長期休暇(サバティカル)とはわけが違い、学校メールの不在通知もオンにしないまま、残った仕事を細々と片づけている。
さて、食事は朝だけは残りものかパンに「とろけるチーズ」などという、至ってシンプルなゴハンになっているが、そのほかの二食はわたしの担当だ。
84歳の母にまさか1.5キロのローストポークを焼いて「さあ、どうぞ」というわけにもいかないので、いきおい食事はほとんど(というより毎食)和食となる。胆石症を患うわたしには、このほうが発作も起きず調子もよいので、当分はこのままだ。
今日の晩ゴハンは鶏胸肉とナスの辛味噌炒め、ミョウガと新玉ねぎのポン酢、オクラのゴマおかか和え、そして大根の味噌汁。一汁三菜は鉄則。
鶏胸肉はそぎ切りにしてから酒と片栗粉をまぶし、千切りのショウガと一緒に強火で炒めてから乱切りのナスを放り込み、あとは豆板醤、白味噌、酒、みりん、醤油を混ぜたものを一気にからめた。母のためにあまり辛くない味付けにしたが、それでもナスと味噌は合うなあと舌鼓をうつ。
そして、ミョウガ。八百屋で見つけたときは狂喜乱舞だ。いや、まさか八百屋の店先でダンスはしないが、ミョウガは何年ぶりだろう。まだハシリの時期だが、早速買い求めた。新玉ねぎはスライスして水に放っておく。このとき、繊維に「逆らって」スライスすると辛くない…ということをオーストラリア人の友達に教えたら、まるでわたしが「料理のカミサマ」のように見られてしまった。そんなこと、考えたこともなかったそうだ。
とにかく、そうしてスライスしておいた玉ねぎの上にミョウガをちらし、ついでに大葉も刻んでちょんと載せた。あとは、食べるときにポン酢をかけるだけ。これがまた美味しい。新玉ねぎの柔らかさにミョウガと大葉のつんとした香りが加わって、酒のつまみにちょうどよい。
こういうのを30分で作ってしまうが、母によると「見ていたら、速すぎて目が回りそう」らしい。実家にはガスコンロがふたつしかないので、ひとつには鍋、ひとつにはフライパン。火を使いながらソースをつくり、材料を切り刻み、母に相撲の番付を訊いてはお玉を持ったままテレビを見に行く。
長いこと台所に立つなんてのは性に合わない。でも、だからといって手を抜いているわけではないよ。うん。
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