鶏肉が食べたくなったので、いつものように「放し飼い」のものを丸ごと買って来た。鶏は骨付きでしかも丸ごとのほうが安いし美味しくできる。
大きな鶏舎で20cm四方の網(しかも下も尿便の処理簡略化で網だけ)でぎゅうぎゅうに押し込められて育つ鶏よりは、土を踏んで育つ「放し飼いの鶏」のほうを買う消費者が、確実に増えてきた。10年ほど前はそれほど流行っていなかったのだが、肉食を続けるにせよ、屠殺への良心的な規定を自ら課して高いほうの「放し飼い」に意義を見出すひとたちが今では多くなってきたのだ。
さて、丸ごと1羽はよく洗ってから水気を切り、胸をキッチンハサミで切り開いて押し開き、平たくしておく。オーブンは200度に熱して、オーブン用のロースト皿をそのまま火にかけてオリーブオイルを熱し、塩コショウした鶏の両面に美味しそうな焦げ目をつける。その間にオーブンは180ー190度に温めておく。
焦げ目がついたらロースト皿のオイル(と鶏肉から出た油)は捨ててしまい、また鶏を戻す。そこに牛乳をたっぷり、つまりがび流では「鶏が少し見えるぐらいまで」1リットルパックの半分以上どぼどぼと注ぐ。1個半から2個ほどのレモン皮を削って振りかけ、レモン汁も絞る。ニンニクは皮付きのまま房だけ小分けにして1個分、粒コショウは手のひらにこんもりと1杯、ベイリーフは2枚、タイムは庭からひとつかみ。これを全部放り込んで混ぜあわせたら、オーブン皿をオーブンに。たまにひっくり返して様子を見ながら1時間半ほど。
ミルクに混ぜたレモン汁が、温まるにつれてさらさらだったミルクソースを凝固させて、いい具合にとろりとしてくる。
そろそろ出来上がるかな、という頃合いになったら、パスタとケールだ。今回使ったパスタはオッレキエッテ(Orecchiette)。小さな耳のようなスプーン型のパスタで、スパゲッティーによく使われるセモリナの小麦ではない。どちらかというとモチモチとしたパスタで、野菜ソースを和えることが多い。他のパスタと違っていきなり18分などという長い時間茹でなければならないので、予め湯を沸かしておいて、鶏肉が出来上がった時点で茹で始めた。
ソースは、ハーブやらぐんにゃりとしたニンニクなどがまだ入っているので、ザルでこしてソースパンで温めておく。
付け合せは旬のケール。日本でも青汁の材料として人気が高いと聞くが、ビタミンが多くわたしも季節には大量に消費する野菜だ。少々苦味があるが、縮れていて歯ごたえもよく付け合せにはよく使う。ソースをかけて食べるので、さっと塩ゆでにしただけだ。
最後にグラン・パダーノのパルミジャーノチーズをたっぷりと削り、レモンの酸味とスパイスの効いたソースで柔らかくジューシーな鶏肉を頬張る。ああ、至福の晩餐。
わたしはオーブンを使ったが、これはもちろん厚手の鍋でもできる。簡単な煮込みなので、鶏肉丸ごと買う勇気がなければ骨付きの切り身でも美味しくできる。騙されたと思って牛乳とレモンとハーブで煮込んでほしい。鍋まかせなのにもかかわらず、あんまり美味しくってビックリするから。
今の時期、丸鶏は手に入りにくいので、手羽元を使ってつくってみました。胸肉も入れてみたら良かったなと思いつつ、美味しい!レモンの使い方、素晴らしいです。
ケールも一般的には手に入りにくいので同じ十字花植物のブロッコリーで代用です。ケールが手に入ったら是非またケールでやりたいです。うまい菜と言う名前のスイスチャードの仲間でも良いなと思いました。
ありがとうございました!
こんにちは!
そうです、スイスチャード(確かこちらではシルバービーツという名で売っている野菜)でももちろん大丈夫です。ブロッコリーでも美味しそうですね!
作ってもらって嬉しいです。こういう簡単なモノしか作っていないのでお恥ずかしいですが、まねっこするのも簡単ですものね!これからもどうぞよろしく。