「ねえ、少し食器を変えたほうが」と妹に言われた。彼女はわたしのブログを毎日見ていたらしく、写真でいつも同じ食器を使っているのがバレてしまった。
いや、わたしだってそれには気づいていたけれど、何しろ老母の実家だ。使っていない食器はほとんど全て色々な場所にしまわれていて、どこに何があるのか皆目見当がつかない。捨てるには惜しい新品の食器が大量にあるのはわかっているが、ホコリだらけの箱を引き出したら、それこそ置く場所さえない。
それほど「84年間、ウツワは変わっても同じ土の上に住んでいて、しかも捨てるのがキライな母」の家には、大量のモノがある。食器だけではないのだ。きちんと片づいてはいるが、いざギッチリ詰まった収納場所を開けると、天を仰いでため息をつくことになる。
そんなわけで、いつも同じ食器だ。とは言え、この緑色の大皿は重宝している。不格好でイヤに重いが、母が昔和陶器づくりを習っていたときの処女作だ。
今日はまたしてもこの大皿を使い、鶏胸肉とピーマンを甘味噌でさっと炒めた。
炒めものをするときの鉄則。簡単なことだが、野菜と肉を最初から一緒に炒めないこと。時間がかかり過ぎて、野菜はくったり、肉は固くなる。
だから、そぎ切りにした鶏胸肉は酒と塩を少々ふり、片栗粉をまぶしてから手で混ぜ合わせておき、強火で一気に炒める。片栗粉が膜をはって肉が固くなるのを防ぎ、周りには美味しそうな焦げ目ができても中はジューシーだ。炒め終わったら器に移しておく。テフロンのフライパンなら洗うこともないが、肉の汁などがこびりついていたらさっと洗ったほうがいい。
今度は乱切りにしたピーマンだ。日本のピーマンはオーストラリアのものより薄くて小さいので、数分さっと色が鮮やかになったら、また鶏胸肉を入れてざっと混ぜ合わせる。そして、醤油、味噌、みりん、砂糖を混ぜあわせたものを加えてオシマイ。
こうすると、鶏胸肉はあくまで柔らかくジューシーに、ピーマンは歯ざわりを残してあくまでみずみずしい緑色だ。
副菜としては、残っていたキュウリをスライスして塩をふり、ぎゅうと絞ったらミョウガ、かつお節、たたいた梅干し1個を加えて「手で」混ぜ、最後にちょいと醤油をたらしただけ。
残りものがまだあったので、(こういう言い方をまだするのかどうかわからないが)それも「チン」してテーブルに並べた。昨日のブロッコリーとスモークウィンナーの蒸し煮もそのひとつ。母は年のわりに健啖なので、「太っちゃうよねえ」と言いながらも沢山食べてくれるのが嬉しい。