電話がかかってきた。去年の同僚教師だ。
「あなたがいなくて寂しいわよぅ」と言いながらも、結局は細かな日本語動詞に関する質問である。このたぐ いの電話は、週に最低一回はある。彼女たちの声を聞くのは、こういうときだけである。「もちつもたれつ」という言葉があるが、それが通用しないのが「こ こ」なのかもしれない、と思ったりもする。
わたしも利用してやろう、と勇ましく決心してはみるのだが、さてどういうときにわたしは「彼女ら」を必要とするんだろう、とハタと考え込んでしまった。
ルビィ色は、わたしの好きな色のひとつである。お酒の飲めない訪問者に、ちょっと変わったものをと買っておいたのが、Sanbitterという、カンパリとほとんど同じ味でアルコールなし、というシロモノ。吹き抜けの窓に置いたら、うれしくなるような明るい色だ。