洒落たインテリアのマレーシア系中華料理屋がオープンしたのは、2年前。自宅から車で5分ほどの新築オフィスビルの1階だ。この店は夜のアラカルトも美味しいが、昼のランチが有名でかなり遠くからやってくるひとたちも多いらしい。
ランチの一膳飯は、全て10ドル(約960円)。収入に較べて外食がとんでもなく高いパースでは、安いカテゴリーに入る。パースの繁華街では、安いと言われる中華料理屋のぶっかけ飯だろうと1200円以下で食べられるような店はない。ちなみに、もっと都会と言われる東海岸のシドニーやメルボルンでさえ、外食ではパースよりはるかに安い店が沢山ある。
さて、この店の名物は海南チキンライスだ。
東南アジアの国々ならばどこでも食べられるこの庶民料理、タイのバンコクでも「カオマンガイ」として道端の屋台やフードコートでお馴染みのものだ。国によって添えられるソースが違うが、作りかたはほとんど同じ。鶏肉の脂で炒めて炊いたごはん、その茹で汁で作ったスープ、そして骨を抜いてスライスされた茹で鶏。
この店のものはさすが洗練された中華料理屋のため、ソースが3つもついている。右から、ショウガ油、こってり甘醤油、チリソース。海南チキンライスは、蒸したものかローストしたものか、そして肉の部位も胸肉かドラムスティックかを選べるようになっている。わたしはいつも柔らかい胸肉を頼むが、中華系のひとたちはドラムスティックのようなダークミートのほうが味がよいという。食べにくいけれどね。
ごはんはたっぷりぎっちりボウルに詰め込まれ、箸を入れると必ずボロボロこぼれるのが難だが、鶏の脂が滲みてパラパラのチャーハンのような具合で美味しい。
お腹がイッパイになっても、お茶をちびちびやりながら日本語のおしゃべりを愉しむのはいいねえ。ここんとこ、あまり日本語を話していないもので。