がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

エンポリアムのクーポン食堂にて

バンコクには屋台が多く、24時間必ずどこかの道沿いで汁物ゴハン物が食べられる。そして、どんな時間帯でも、店には必ず誰か汁をすするひとがいる。しかし、皿を汚いバケツでさっさっとゆすぐだけの屋台の衛生状況を考えると、同じものを食べられるフードコートに目が行くのは当然だ。

大きなショッピングセンターには大抵大きなフードコートがある。食券を買えば様々なものが指差すだけで食べられるのも、そうした「クーポン食堂」の魅力だ。

わたしのよく行くエンポリアムにも、ある。クーポン制食堂の常で、ひとりで食べているひとたちも多く、オンナひとりでも気軽に座れる。
他のフードコートとの違いは、ここがなぜか高級指向のデパートだからからか、5階の見晴らしのよい窓際に接しているし、食器も他のデパートのフードコートに比べて数倍上品につくられているということだ。フォークやスプーンもよくあるアルミの安っぽいものではなく、ステンレス。ちょっとつついただけで曲がってしまうようなシロモノではない。
このフードコートで、ほとんど毎回注文するのがこのカオ・マン・ガイ。外国ではシンガポールチキンだのハイナンチキンライスなどと呼ばれることもあるらしいが、作り方は似ていてもタイ風はソースが違う。

鶏の茹で汁はスープに。そして、浮かぶ鶏の脂は丁寧に濾して米を炊くときに加える。鶏を丸一羽使い切れるシンプルな料理だ。カオマンガイに添えられるソースは唐辛子とニンニクとショウガがたっぷりと入り、これを食べると明日になっても口の中が何となくニンニク臭い。
しかし、明日のニンニクの匂いなどかまっているヒマはない。約150円の美味しいものを、今、絶景とともに楽しむ。至福のひととき。

(テーブル横に面した窓からの眺め。市内高架鉄道BTSの電車が通過するのが見える)

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