スワンバレーは、州都パースから一番近いワイナリーで有名な場所だ。
わたしの家からは車で30分ほど。HaughtonやSandalfordといった他州にも知られる大きなワイナリーとは別に、小さなブティックワインをささやかに作る小さなワイナリーにも味わい深いものがある。
日曜日はそんなワイナリーのひとつ、Little River Wineryに足を運んだ。
ここはわたしが住み始めた2001年以前から、時々訪れているワイナリーだ。以前は、レストランもカフェもなく、ワイン貯蔵庫の前に木の台を置いて、そこで試飲を提供していた。あのころはまだ若いワインばかりで、フランスから運んできた樽とピノ・ブランをベースにして、マスカットの甘いワインも作っていたが、その後本格的に赤に力を入れてきたワイナリーだ。
ここのシラーズはほんの少しヴィオニエを混ぜており、男性的な力強さよりどちらかというとまろやかな後味を持っていて、わたしのお気に入りだ。でも、今回は2004年のカベルネ・ソーヴィニョン・メルロが出ていたので、そちらを。2002年モノはもう底をついたらしい。うちにもまだ2本ワインセラーに残っているが、在庫はそれだけ。2004年はその2002年の当たりを踏襲して作られたそうだ。
ただし、今日は試飲だけではなくレストランでのランチも。
ここでのランチは、うーん、何と形容したらいいのだろう、フランスの田舎にあるようなビストロだ。メインのメニューは3つしかない。ラムパイとビーフ・ブルギニオンとコック・オー・ヴァン。スターターやデザートもあるが、このメインは数年前から変わらない。
今日はまずスターターに鴨のパテを。
薄く封印している鴨の油の膜を取り除くとこってりとしたフランス風のレバーパテが。美味しくって、たくさん食べそうになったけれど、メインもデザートも行きたいので我慢、我慢。
わたしが注文したのはコック・オー・ヴァン。鶏肉のワイン煮込みだ。バジルのハーブソースをかけたマッシュドポテトとサラダが付け合せとしてついてくる。友達が食べたのは、ラムパイ。こちらはラム肉の煮込みを深皿に入れてパイ生地で蓋をし、オーブンで軽く焼いてある。
あまりの量に毎回残してしまうが、それでもじっくりと煮込んだ肉の美味さにはいつも舌鼓を打ってしまう。鶏肉は骨からほろりとフォークではずすことができるほど柔らかい。
さて最後は、もちろんデザート。実は、このデザートも少々わたしの胃には量が多すぎるが、それでもやっぱり毎回頼んでしまう。ここのクレーム・カラメルは絶品。もちろん上からバーナーで砂糖を焦がしてある。
続いて、「退廃的なチョコレートケーキ」のバニラアイスクリーム添え。小麦粉を使っていないチョコレートケーキだ。これは、わたしもひとを呼んだときや学校の同僚の誕生日ランチなどにつくるが、軽いケーキではない。どちらかというとまったりとして、チョコレートの味を満喫できるが、あまり沢山は食べられない。
ブドウ畑の木々はまだ裸ンボだ。つまりまだまだ冬は終わっていない。
それなのに昼の気温は22度。ジャケットは羽織っているが、のどかな風景の広がる素朴な庭、そしてビストロ風ランチを満喫。
それでも、近くではそろそろ西オーストラリア名物のワイルドフラワーが咲き始めている。
春はもうすぐそこだと言われているようで、ほんの少し嬉しくなった。