がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

仔羊肉のコフタ、カリフラワーの中近東風ロースト

日本では様々な挽肉が買えるし、そういえば「合挽き」なんて便利なものもある。そのままオダンゴにできる鶏の挽肉だってある。魚もすり身になったものさえ、買える。
ところがひとつだけ、「存在しない」挽肉があった。仔羊の挽肉だ。こちらオーストラリアでは、肉と言ったらもう「牛肉」と「ラム(仔羊)肉」以外は考えられない。豚肉よりも仔羊肉の需要のほうが、はるかに大きい。

オーストラリアに来たばかりのころは、「ラムの挽肉ってどうやって食べるんだろう」と不思議に思っていたものだ。一度、和風ハンバーグに混ぜてみて失敗したことがある。ラムの臭みが残ってしまうのだ。

その後、ケバブの店でラムの「つくね」串のようなものを見て「ああ、中近東の料理に使うんだ」と初めてわかった。コフタ、という。様々なスパイスを加えてダンゴ上にするのだ。これなら、臭みもない。それからずっと作り続けて何年にもなるが、材料を変え、形を変え、メイン料理にも一口でつまめる酒のつまみとしても重宝している。

今日作ったのは、一番基本的な材料で作るコフタだ。

まず、庭からむしってきた大量のイタリアンパセリとミントを葉っぱだけちぎり、フードプロセッサーに。ざくっとみじんになったら、そこにニンニクを2−3片加え、涙が出る前に、すばやく適当にざく切りにした玉ねぎを一個分放り込む。本当は玉ねぎをゴリゴリとおろすんだけれど、一度これをやって涙と悪態が止まらなくなり、非常に痛い思いをした。それ以来、わたしはフードプロセッサーを使っている。臨機応変は、わたしの得意とするところ。えへん。

スパイスはシナモンとスマック、そしてわたしはスパイシーなのが好きなので、生唐辛子も半かけほど加える。最後にラム挽肉を加えて塩コショウし、フードプロセッサーのスイッチをつけたり切ったりして、だんだんと混ざっていくのを目で追う。

これは、串に刺して焼き鳥のようにバーベキューも美味しいんだけれど、週末でもあるまいし、めんどくさいのでそのまま細長いダンゴにして、鉄製のフライパンでグリルだ。

付け合せは、「中近東はギリシアから近いんだから」という適当な理由でもって、フェタチーズ、トマト、きゅうり、オリーブにミントをたっぷり加えたギリシア風サラダだ。冷蔵庫の中で忘れ去られそうになっていたカリフラワー半分も救助し、コフタを作っている間にオーブンでローストした。ただローストするだけじゃなく、今回はあくまで中近東風にスマック、オリーブオイル、そしてアーモンドのみじんを加え、塩コショウしてオーブンへ。こういう野菜のローストは、本当にそれだけでバリバリ食べたくなるほど美味しい。

たくさん作りすぎてしまったので、残りのコフタはお弁当のおかずにひとつひとつ包んで冷凍庫に放り込んだ。で、あとで「そういえば、ずいぶんたくさんニンニクを入れてしまったよなあ」と気づく。明日は、弁当箱を開けたとたん、ニンニクの香りがぷうんとスタッフルームを覆いつくすってことだ。

2 COMMENTS

pomme

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羊のひき肉だったら、私はギリシャ料理のムサカですねー。ケフタ(フランスのケバブ屋にはKeftaと書いてあるからこう発音してしまうんですが、アラブ語は母音があまりないからコフタもケフタも同じ。)をトマトソースで煮て、揚げたナスで挟んでチーズをのせてグラタンにしただけ。(本式はベシャメルソースも入れるそうですが、私は入れない。)
実を言うとギリシャ料理とトルコ料理の違いは私にはあまりわかりません。ギリシャ料理の方がワインがいっぱいあるなー。。。で、飲んで踊って皿を投げて割るなー。。。くらいなもんです。

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がび

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今日、学校でそのコフタの話をしていたら、隣でカレー御飯弁当を食べていたインド系オーストラリア人の社会科教師が「あのさー、コフタでもケーフタでもいいけど、インドだってコーフタあるよ」。
なんだか、あそこら辺の国全部この「挽肉ダンゴ」料理があるみたいです。知らなかったなあ。
しかし、彼の美味しそうなカレー弁当とド派手なネクタイには、いつも鼻モゴモゴ、目チカチカするわたしです。

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