がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

ポルトガル風ピリピリチキン

日本にはケンタッキーフライドチキンしかないけれど、こちらアメリカに次いで肥満大国であるオーストラリアには、チキンのファストフードショップも多い。このごろでは、「ヘルシーフード」を目指しているらしく、半分ぐらいのメニューがローストになっているが、それでもまだ油ギトギトのフライドチキンを注文するひとたちも多い。

Nando(ナンド)という店もチキン専門のチェーンのひとつだ。ポルトガル風チキンを売りにしており、値段も高いが、味はほかの安いファストチェーンと比べるとかなり美味しい。スーパーに行けば、このチェーン店の名を冠した「ペリペリチキンソース」なる瓶詰めのソースも買える。これをちょいちょいと鶏肉にかけてマリネしてから焼くと、本格的なペリペリチキンが食べられるというわけだ。

いや、本格的と言っても、なんでポルトガルでは「ピリピリ」というのに、オーストラリアではそれが「ペリペリ」になっちゃったのか、今もってわからない。「ピリピリ」自体ポルトガル語ではなく、実はアフリカのスワヒリ語。「チリ」(唐辛子)の意味らしい。
日本でも、唐辛子の辛さは「ピリピリするぅ」などと表現されることがあるけれど、もしかしたら同じ語源なのかもしれないね。

さて、ピリピリチキン。
市販のマリネソースが存在するのに、なぜわたしはギックリ腰をさすりながら自分でつくるのか。答えは簡単、やはり新鮮なハーブとスパイスを使うと味と風味が格段に違うからだ。それに、何も難しいわけでもない。

今回わたしが使ったのは、皮がすでにむいてあるドラムスティック。普段はあまりこういう風に売っているものを手にとらないのだけれど、土曜日の肉売り場は戦争なのだ。つまり、わたしの欲しかったフリーレンジ・チキン(棚で育てられているのではなく、放し飼いの鶏のこと)の棚には、これと丸ごと一羽しかなかった。丸ごとをさばくのは、腰にひびいてツライ。そして、生臭い普通の鶏肉を買うくらいなら、皮がむいてあったってこっちのほうだ。

マリネソースは、簡単だ。わたしのいつも使うモルター(調理用石臼)に入れるのは、唐辛子、ニンニク、オレガノ、レモンの皮、粒コショウ、塩。ここにオリーブオイルを注ぎ、がんがんと叩きつぶす。あ、今日使わないともうダメだな、という香菜もついでに入れてつぶす。ホントは入れないのだけれど、まあいいや。そこにレモン汁をざざっと絞り、さらに叩き、パプリカをぱらぱらとふりかける。これでおしまい。
ジップロックのビニール袋に鶏肉をいれ、マリネソースを注ぎ、ぴっちりと閉めて冷蔵庫に放り込むだけだ。今日は日曜日だから午前中にやってしまったが、普段は前の日の晩にやることが多い。

鶏肉はオーブンで焼いてもいいし、庭でバーべキューにしてもいい。今回は、庭でバーベキュー台を引きずり出すほどの「腰力」がないので、キッチンのオーブンで焼いた。
焼きたては、もちろん「ピリピリ」してとびきり美味しい。

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