がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

汁より実のほうが多いミネストローネ

わたしは、イヤなことがあるとキッチンで料理をすることが多い。
瞑想すると色々考えちゃうので、このほうが体にもよいと思っている。テレビで見る「セレブリティ・シェフ」のような華麗な手さばきではないけれど、洗ったり切ったり炒めたり混ぜたりしていると、結構気晴らしになるのだ。

ま、そんなわけで、今日は実だくさんのスープ、俗に言う「ミネストローネ」ってやつだ。名前だけはイタリア風でカッコイイかもしれないが、こういうものは店で食べるより家庭料理のほうがやっぱり素朴で美味しい。

豆は貯蔵室に残っていた乾燥豆を整理することにしたので、昨日から水に漬けておいた。探したら出てくること、出てくること。赤い豆、白い豆、ひよこ豆。それを漬け汁ごとコトコトと煮る。ベイリーフ(月桂樹の葉)を1枚、そしてぐしゃりとつぶしたトマトも忘れずに。これを入れて煮ると豆の皮が柔らかくなる、とどこかで読んだけれど、本当だろうか。

ときどき豆の固さをチェックしながら、テレビニュースをつけて、こないだ買ったエアロバイクを漕ぐ。コンピュータ制御なので、色々な道を想定することができて面白い。昨日は坂道登りを設定して、坂のてっぺんに着くまでに死にそうになった。しかしそこから今度は下り坂なので、ぴゅーんと飛ばして楽になったけれど。便利なもんだ。

三十分ぐらい漕いだら、今度は汗を拭き拭き、ソフリート(Soffrito)を作る。ソフリートというのは、弱火でゆっくりじっくり炒めた野菜のことだ。冷蔵庫をかき回して、あるだけの野菜をごっそりと刻む。セロリ、にんじん、玉ねぎ、フェンネル(ういきょう)、いんげん、ニンニク、西洋かぶ、そして香菜とバジルの茎。

大鍋にオリーブオイルをたらして、これまた刻んだパンチェッタ(イタリアンベーコン)を炒め、野菜を入れて混ぜたらあとは蓋を半分ほどしてじりじりと煮る。焦げないように時々混ぜながら弱火で20分ぐらい。

さてそんなことをしながら1時間ぐらいたつと、豆がやわらかくなっている。水をコップ1杯くらい残して、あとはざあっとこぼしてしまう。乾かないようにオリーブオイルを回しかけて、塩コショウ。
後は、チャードと呼ばれるギリシア風ほうれん草をざく切りにする。
さあて、これで下ごしらえは完了だ。
やわらかくなった野菜の上にほうれん草をぶちこみ、ホールトマトを二缶、半リットルぐらいのチキンブイヨン、冷凍庫からは肉団子を出してこれもぶちこむ。赤ワインをグラスに1杯鍋の中へ、そしてもう1杯はわたしのイブクロへ。
これで15分くらい煮て、味をみたらオシマイ。

食べるときには、パルミジャーノチーズを削るのを忘れずに。
時間はかかっているが、たいした仕事はしていない。本来ならここにパスタがはいるのがイタリア風だが、今回はなし。こういう手作りスープは、ごっそり実だくさんが美味しい。もうスープなんか端のほうに追いやられているというふうなのだ。レストランで食べるミネストローネはこうは行かないよ。

「洗練」という言葉にはほど遠いが、うちの母の作る味噌汁だっていつも実だくさんだった。

 

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