今日は一日中家に引きこもり、採点と成績をつけていた。家でほとんど「下ごしらえ」をしておかないと、成績表自体は学校のネットワークからでしかインプットできないのだ。水曜日の午前中が締め切りだから、明日と明後日はどうやら夕方かなり遅くまで学校に残って、ひたすら成績のインプットとコメント書きになりそうだ。何と二百人分。
しかし、これさえ終わってしまえばあとは楽チンだ。
こういうときは、日曜日と言えどゆっくり料理なんぞしている暇はない。手早く「炒めもの」だね、決まり。
大きな海老はどうやら東南アジア(たぶんタイだろう)からの輸入品だが、殻をむいても身がしっかりしていて透明だ。新鮮なうちに冷凍された証拠。尾だけ残して殻をむき、背中から筋をしっかりとる。「こんなもん、とらなくても」と思うひともいるだろうが、これだけで確実に味が違う。
レモンの皮、ショウガ、辛い辛い赤唐辛子は千切りにしておく。忘れちゃならないのは、大量のハーブ。今晩使ったのは、庭で豊作の香菜とミントだ。これは洗って手でちぎっただけ。レモンは絞りやすいように半分に切っておく。
さて土曜日に買ってきたのは、ベイビーズッキーニと呼ばれる極太サインペンくらいの太さと長さしかないものだ。これを斜め輪切りにして、下ごしらえはオシマイ。
ピーナッツ油(中華料理の炒め物はこの油だ)をフライパンに熱し、レモンの皮とショウガとともに海老を放り込み、塩コショウしてからざざっと炒めること二分。海老が不透明になって背中の筋をとったところが開いたら、ハーブ、唐辛子、ベイビーズッキーニを加えてさっと混ぜ合わせるだけだ。ベイビーズッキーニは生で食べられるくらいだから、ほとんど火は通っていないも同然のほうがしゃきしゃきとしていて美味しい。
あとは、レモンをたっぷりと絞り、ナンプラーソースで味を調える。あっと言う間にできる、さっぱり中華の一品だ。
もう少し前、黄色い花がまだ先っちょにくっついているくらいのときには、ズッキーニは小指ほどの大きさだ。これは本当に季節ものだから、ほとんど二週間ほどしか市場に並ばない。スイスにいたときにも、ズッキーニフラワーは高価で、スーパーではなく街の小売店や市場でしか売っていなかった。
こちらでは、まだ見たことがない。実は、このズッキーニフラワーは塩コショウして小麦粉をはたいて揚げるだけで、いやほっぺたがドサリと落ちるほどおいしい。そして、この夢にまで見た贅沢な揚げ物を食べるためだけに、わたしは庭の隅でズッキーニを育てているのだ。そろそろ花が咲きそうな気配なので、今から舌なめずりをしている。