がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

久しぶりの空心菜

パッ・ブンはタイ料理には欠かせない。
ツル科の植物で英語ではモーニング・グローリー、日本語では空心菜と呼ばれる。茎がストローのようにマンナ カが抜けているが、歯ごたえがあり葉は甘みがあってとても美味しい。こちらオーストラリアのアジア食品店でもたまに見かけるが、他の中華野菜に比べると高 価な野菜だ。タイでは一束で30円などというとんでもなく安い野菜なので、その20倍の値段では買う気もおきなかった。
そしてそのせいか、こちらで呼ぶ中国語の「キンコン」だか「カンコン」だかの名前が今だに覚えられない。
今日ベトナム食品店に寄ったら、葉と茎にちょっと黒い斑点の出た空心菜があった。古くなってきている証拠だ。手にとってみたら、ちょうど側にいた店のオバサンが「あ、それ持っていきたかったらどうぞ」と通りがかりに言う。もう売り物にならないから、なのだ。
しかしこないだはパン屋でタダのパンをもらったし、今度はベトナム食品店でタダの野菜だ。わたしはよっぽどヒモジソウに見えるのかなあ。

と にかく、黒い斑点が出ていると言ってもほんの少しで、そこだけちぎってしまえば炒め物に使えるのだ。チリをとんとんと刻み、千切りのショウガと香菜の茎と 共に熱くなった油に落とすと、ふんわりといい香りがキッチンに立ちこめる。ショウガが焦げる前に、ざくざくと切った空心菜をさっと炒めて皿に置き、同じフ ライパンでマリネしておいたラム肉をこれまたささっと炒める。
ラム肉のマリネは、出身地のアデレイドに戻った友人がくれたものだ。様々なアジア風のスパイスとソースを混ぜた辛いマリネソースだが、一体何がはいっているのかわからないほど複雑な味である。そして一口この柔らかい肉を口に含んだら、天を仰ぎたくなるほど美味しい。
もうそろそろ底をついてきているので、今度メイルを書くときには必ずこのレシピを教えてもらわなくては。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です