がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

高校最後の日の12年生

今日は12年生にとって高校最後の授業の日である。授業と言っても友達や先生と別れの言葉を交わしたりするくらいだが、この日はドレスアップディとも呼ば れ、思い思いの趣向を凝らした衣装で現れて学校を闊歩し、最後のランチ休みにコンテストを行う。衣装と言っても素朴なもんだろうなあ、とタカをくくってい たら目を見張ってしまった。
クマやゴジラの着ぐるみあり、恐ろしげなFBIのオジサンあり、セクシィなマリリン・モンローあり、ツタンカーメンや ら日本のゲイシャやら人食い土人やら、こりゃ大したものである。中でもビックリしてのけぞってしまったのが、このピンクのかつらをかぶった「ふくよかな」 美女たちだ。最初にわたしの目の前を通ったときには、いくらなんでも裸同然、おまけに太りすぎでシボウがボコボコ、なんだこりゃあああ、と叫びだしそうに なったが、実はこれは肉布団なのだ。あまりにリアルに出来ているので、ものすごい迫力である。本人たちは本当はかなりスリムな17歳なのだ。
今日 ばかりは、「たとえ12年生と言えど、授業中は教室の中にいること」なんて規則は無視される。わたしが授業をしていた8年生の教室の外では、奇声が上げら れドタバタとうるさかったが、ドアを開けたら「センセイー、今日は固いこと言いっこなしねええ」などと投げキッスまで送られる始末だ。楽しそうな彼らを見 たら、苦笑してドアを閉めるしかない。
日本の卒業生たちの厳粛な雰囲気と違い、こちらはあくまで陽気なオマツリ騒ぎである。センセイたちも総出で拍手を送ったコンテストは、ランチタイムから15分もはみ出して5時間目を大幅に短縮したが、もちろん文句を言うものは誰もいない。

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