がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

春がやって来た

都会育ちのわたしにとって庭というものはいつも猫のヒタイだったし、母の「園芸」はチマチマとした観葉植物や鉢におさまったままの植物が多い。

いや、そう言えば二階の窓にとどかんばかりの椿のタイボクもあったっけ。「幹」は直径十五センチ以上あって、上のほうにしか葉が茂っていない。なんだか椰子の木みたいだが正真正銘ン十年ものの白椿、木造モルタルの家がたったばかりの時に父が植えたままだ。もうとてもじゃないが剪定できるほど低くないが、それでも毎年ちらほらと白い花をつける。

二年前パースの街ど真ん中のアパートを出た後で、パティオつきの「庭」つき一軒家に住むことになった。バンコクでもやはりマンション住まいだから、庭を持つのは何十年ぶりだろう。
裏庭だけではなく玄関の前にもかなりのスペースがあるから、これでも季節ごとに腰を上げて世話をしている。

冬の間は寒くてあまり外にも出ず、新しい学校で教え始めたこともあって、ここのところ裏庭には目を向けていなかった。庭の池にいる金魚たちも、冬の間はあまり活発ではないので、そそくさと餌をやるだけであまりゆっくり鑑賞することもない。
ところがその餌をやったついでにひょいと回りを見ると、花が開いている。プリムラだ。今年はまだ植えた覚えがない。と言うことは、去年の春に池の周りに植えたやつの種がこぼれて芽が出たわけだ。薄桃色の花弁が、まだ雨で湿っている地面でぽやぽやと輝いている。

ドライブウェイにも去年のパンジーが種を落としたとみえて、ご丁寧にもレンガの石畳の間から紫色の小さな花がいくつも開いている。アリッサムという小さな花の茂みも同様だ。普段は石畳の間から生えるにっくき雑草を除草薬を使って一掃しているのだが、今回は雑草と自分で種をばらまいちゃった花が混在している。困ったなあ。これじゃ「手動」で草むしりかなあ。

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