ブリッジタウンの夜は早い。
レストランのラストオーダーが8時だというので、7時過ぎにホテルを出て車でエンポリアム・ビストロ(Emporium Bistro)へ。朝ごはんから晩ごはんまで、おやつも珈琲もある何でも屋さんだ。
造りは懐かしいビストロ風で雰囲気が温かい。
ここのメニューはどちらかというとシェアする小さなものが多くて、大きいだけのステーキにはあまり興味がないわたしにはちょうどよいサイズ。最近ではこうした小さなサイズの「シェア用」、つまりみんなで分けるタイプの小皿が増えてきて嬉しい。
まずは温かいパンに地元のオリーブオイルとバルサミコ酢が添えられた一品。シェア用のパンには、これまた最近バターよりイタリア風にオリーブオイルを添える店が増えている。
こちらはヘタクソなブレブレ写真しか撮れず、恥ずかしいので小さなサイズで。
まずはちょっとスパイシーな手羽のオーブングリル。手羽と言っても、手羽元も手羽先も両方くっついているので、かなり大きくて腹持ちもよろしい。
続いてイカのフリッター。添えられていたアイオリソースはニンニクがぴりりと効いていて、ちょんちょんとつけて食べるととても美味しい。おつまみとして最適だった。
サラダはベビーリーフと玉ねぎにバルサミコ酢入りのさっぱりしたイタリアンドレッシングが絡めてあった。上からはたっぷりと削りたてのパルミジャーノが散らしてある。
こちらは大ぶりのマッシュルームをバルサミコ酢とオリーブオイルでさっと炒めただけのおつまみの定番。シンプルなのでわたしもよく作る。
ワインは、同じくブリッジタウンを囲むファーガソン・バレーの地元ワイン「52 Stones」のBarrel Selected Chardonnay 2014で。これがちょっと変わっていて口当たりに苦味があり、それでいて重厚なフレンチオークとさっぱりとした果実の香りがして、非常に飲みやすい。おつまみを並べて飲むのにぴったりの白ワインだ。
古い家を改造したビストロなので、今風の「セメントの上に置いただけの木の廊下」と違い、桁を渡して伝統的な手法で置いた、古くて厚い木の板をそのまま使っている。つまり桁のあるところ以外は浮いているということ。風情はあるが、少々重そうなスタッフが近くを足早に通り過ぎると床が「上下に動く」。まあ、慣れてしまえば気にならない。
ひとの声も音楽も木の床に跳ね返ってガヤガヤと居酒屋特有の騒音が好ましく、いつまでも飲んでいたい気分にさせるビストロだ。それもそのはず、こんな看板まで店の中に下がっている。
「ワインのない食事は、朝ゴハンと言います」
料理もシンプルだが地元の食材を利用していて新鮮で美味しい。そんな食べ物とワインがあったら、他には何もいらない。雰囲気のある楽しい店だった。