がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

雨の神保町で本と珈琲を楽しむ

日本に一時帰国すると、神保町に出かける用事があるのが嬉しい。あそこはわたしの「遊園地」なので、古本屋を冷やかしながら最後に書泉で新刊本も数冊買う。で、戦利品を「ラドリオ」か「さぼうる」で開けて珈琲を飲みながらパラパラとページをめくる。

今回、「ラドリオ」では隣でふたりの大学教授が学生の英語力について「どうしたら伸ばせるか」と真剣に議論中。反対側の隣では、編集者と装丁専門家が新刊の装丁について、大きな紙を何枚も広げて話し合っている。後ろの席では、学生と思しき若い男性が専門書を読みながらiPhoneでメモをとっている。その横では4人の中年女性が次のボランティア活動について意見を戦わせている。

BGMは、話のジャマにならないほど音を落としたジャズだ。

近所の珈琲屋だと、オバサンたちのヨメさん悪口大会になっていたり、高校生が静かに宿題をやっていたり、オジサンが新聞を広げていたり、わたしがネギがにょっきり飛び出した買い物バッグを横に置いて、母が言うところの「がびちゃんの黒い板」(=Kindle Paperwhite)を読んでいたり。

知的な雰囲気の喫茶店「ラドリオ」だが、もうひとつ違うのはもうもうと立ち昇る煙草のけむりだ。本を読むひとたち、または神保町の古本屋街にいるひとたちには喫煙者が多いのかもしれない。というより、古い喫茶店はまだ喫煙席と禁煙席が分かれていないのか。

雨のせいですえた煙草の匂いをかぎながら、もうすでに20年近く煙草を吸っていないわたしは、ちょっと鼻をうごめかせて昔の懐かしい匂いを記憶から取り出している。

(帰国していたのは6月ですが、記事を忘れていたので今頃コソコソとアップロードしています)

 

★ラドリオ★
住所:東京都千代田区神田神保町1-3
最寄駅:都営地下鉄神保町駅A7徒歩2分、JR御茶の水駅徒歩7分
電話:03-3295-4788
(月~金) 11:30-22:30
(土・日)12:00-19:00
(祭日)休

昭和24年創業のラドリオは昼間は喫茶店だが、夕方からはバータイムとなり、お酒も飲める。わたしは夜は来たことがないので今度はもう少し遅い時間に来てみようかと思った。
ただし、ここのウィンナーコーヒーは日本で初めて出した店だそうで、珈琲の上にうずたかくそびえ立つクリームがスゴイ。普通のブレンドコーヒーと同じ値段(480円)なのでお試しあれ。わたしはあのクリームに恐れをなして普通のコーヒーだったけど。

★さぼうる★
住所:東京都千代田区神田神保町1-11
最寄り駅:
都営地下鉄神保町駅A7徒歩0分
東京メトロ 半蔵門線神保町駅A7出口より徒歩0分
電話:03-3291-8404
(月~土)9:30~23:00
(日・祭日)休

「さぼうる」には、これまた昔懐かしいモーニングサービスがまだある。
側を通ったので何気なくメニューを覗いたら、バターロール2個、ゆで卵、野菜サラダにホットドリンクがついて500円。東京のど真ん中では破格の値段設定だ。11時までなので、ここでゆっくり朝食をとってから古本屋散策というのもいいかもしれない。

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