あと5時間半ほどでバンコクの自宅を出発する。年に一度の東京里帰りだが、老いた母は、年末年始の忙しさから風邪をこじらせてしまっているらしい。今朝「明日着くからね」という確認の電話をいれたときに、熱っぽくひび割れた声が返ってきてビックリしてしまった。あまりひどくないとよいのだが。
いずれにしろ、これから10日ほどネットに縁のない生活が続く。1年に一度開くだけのウィンドウズ95などというアンティックが、まだ使えることを祈るばかりだ。
DNA鑑定についての追加ニュース。
先ほど在タイ日本大使館のサイトをチェックしたら、国際緊急援助専門家チームとして、DNA検体採取専門家とDNA鑑定専門家が3名、日本からも派遣された。昨日5日にプーケット入りしているとのことだ。 中国より先手を打っていたのだなあ。
そして、たった今ドイツ語衛星放送ドイッチェ・ウェーレで知ったのだが、5日正午に全ヨーロッパで3分間の黙祷が捧げられた。正午というと、日本時間午後8時にあたる。
正午の教会の鐘の音とともに、ベルリンから始まって、パリ、ウトレヒト、ハンブルグと流れている映像の中のひとびとは、皆頭をたれて死者を悼む。駅では列車が止まり、発着表示には「津波死者への黙祷のため、3分遅れます」とある。繁華街では、デパートとスーパーのある広場でひとびとが立ち止まる。道路の車も静かに止まり、そのまま動かない。学校の教室も沈黙に閉ざされる。多くの会社でも、そのままスタッフが仕事の手をやめて目を閉じる。
静かな静かな映像は、死者の沈黙に生者の沈黙を重ね合わせて、ヨーロッパの冬空へと上っていった。