がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

スマトラ沖大地震・その後

スマトラ沖大地震で発生した津波の犠牲者数は分刻みで上がり続け、もうすぐ10万人に届こうとしている。

Neue Zuercher Zeitung(ノイエ・ツゥルヒャー・ツァイトング、スイス)オンラインのサイトでは、スイス人の死者11人となっている。しかし、津波発生時近辺にいたと見られるスイス人は家族などの問い合わせによると1700人、そしてそのうち1200人が今も消息不明だ。

フランクフルター・アルゲマイネ紙オンラインによると、「26人のドイツ人死者が確認されたが、行方不明ドイツ人は依然として1000人近く」とドイツ政府が声明を出した。
ヨーロッパの冬は、朝は9時ごろまで薄暗く夕方は5時にしてすでにまた暗くなる。オフィスで働くひとびとは、ほとんど日の光を目の当たりにすることもなく一日を送ることが多いのだ。そうした憂鬱な日々の間にクリスマス休暇が始まり、子供たちをつれた家族や若い恋人たち、そして夫婦たちが何千人も暑い国タイを目指す。母国ではほとんど見られない太陽の光を、真冬に浴びることができるなんて天国だ。パック旅行も、南ヨーロッパでの休暇に比べたらはるかに安価だということも、その理由だろう。
海岸でくつろぐ笑顔のひとびとが、突然の自然の暴力になすすべもなく命を失った。
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ドイツ語サイトを読み続けていて、ふとあることに気づいた。
ドイツ語で津波ニュースを配信しているサイトにはほとんど、「寄付」を受け付けている団体のリストが設けられている。ほんのいくつかの例を挙げれば、シュピーゲル紙オンラインやフランクフルター・アルゲマイネ紙のFAZ.NETクリエー・アットなど。
ただニュースを読み「ああかわいそうだねえ、なんてことだろう」と眉をしかめ、各国の救援活動を読むだけではなく、自分にできる範囲の手助けをする。その場にいないから、知り合いが行方不明になっていないから、という理由を超えた、個人としての「何かをしたい」という意志がそこには見られる。そしてそうした行為を促進させるための情報を、オンラインでまとめて公開しているのが、ドイツ語ニュースサイトだった。
ちなみに、日本で寄付情報を大地震特集記事のページに載せているのは、大手新聞の中では産経ウェブだけである。
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香港からのドイツ人家族の話は一昨日にも書いたが、行方不明とされた9人のうち4人は生存が確認された。しかし、子供3人を含む5人はいまだに見つかっていない。
顔を知っているバンコクのスイス人、ドイツ人の中でも、プーケットにクリスマス休暇に行ったきりその後の消息がつかめないひとたちが、5人。
無事を祈りたい。連絡がつかないだけであってほしい。
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patong2812.jpg

タイ国籍を持つアメリカ人Eric Dohlonは、プーケット・タウンで保険代理店を細々と営んでいる。海岸からかなり離れたタウンには、もちろん津波の被害は見られない。しかし、パットン・ビーチ(プーケット最大の、というより最も俗化された海岸)に住む顧客たちの安全を確かめに行こうと決心した。道路は遮断されているので、車は使えない。そこで、埃をかぶっていたマウンテン・バイクを取り出し、ビーチまで走った。
これは、彼が昨晩わたしの会社に送ってきたメイルの添付写真だ。(クリックで、残りの16枚のサムネイルへ)パットンビーチの一昨日28日の様子が、はっきりと残されている。

 

4 COMMENTS

lovecello

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がび姐さん、超お久しぶりで〜す。
今回のインド洋大津波、、ほんとに凄惨です。紙面化できないくらい悲惨です。特に、遺体の損傷具合など… 配信写真なんかも、目を覆う悲しいものとかあるんです。外国メディアは事実として、亡骸にすがり号泣する遺族などの写真を掲載しますが、日本メディアでは判を押したようにどこも避けてます。一枚の写真が伝える影響の大きさより、読者からのクレームを恐れる弱腰なとこもあるんです(ここだけの話)。雑誌は別だけどね…。容疑者の手錠にモザイクかけてるのは、世界広しいえど、人権ぼけしてる日本だけですよ…

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がび

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lovecelloですか。またPenis Enlargementのコメントスパムかと思って、消しちゃうところでした。(笑)やだ〜、スナミちゃん(懐かしいなあ、このHN)。
お久しぶりです。新年になる前に次々と暗いニュースばかりで、ため息のひとつもつきたくなりますね。お仕事ご苦労さまです。
遺体の損傷具合も何も、タイ紙では死体のグロテスクな写真は日常茶飯事なんです。わたしは、遺体の写真表示は「興味本位で見たがるひと」の欲求を満たしてやるものでしたら、反対の立場をとっています。つまりタイ新聞のやり方には反対。
遺体にすがって泣き叫ぶ遺族の写真は、同情と憐れみという感情、そして自然の暴力の前の無力な人間という認識に訴えるものでしょう。
わたしのバンコクの知り合いのひとりは、一昨年動脈を切って自殺しました。その現場写真はカラー写真つきでトップ記事です。遺族にとって、これは残酷以外のなにものでもありません。
殺人だろうが、事故だろうが、ありとあらゆる死体の写真を毎日掲載することがどうやらタイ新聞にとっては当たり前のことのようです。
タイで理解できないことのひとつです。
PS: それなのに、映画には成人指定がないためか、乳房にモザイクかけるんだよ、タイは。

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aonuma

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26日からタイ・カンボジアに行って、今日戻ってきたところです。
もう3日くらいの飛行機が取れたら前半は南の島でなんて思ってたところなので人事で無いような気がします。
津波は予想できることなので、もう少しなんとかならなかったのかとも思いますが津波を知らない人たちにそれを求めるのは酷ですよね。

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がび

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aonumaさん、ご無事でよかったです。人生の明と暗を分けるのは、偶然なのでしょうか。
さて今回の津波は、日本と違って、津波に対する予備知識が不足していたことも原因のひとつのようです。
トピックスとして、英国の10歳少女の話が今日のタイ英字新聞ネーションに載っていました。小学校の地理で習ったばかりの津波の話を覚えていた少女が、地震のあとには津波が来るということを母に訴え、その話を聞いた海岸の観光客がいっせいに逃げたため、数百人もいたひとびとが誰も命を失わなかったそうです。
悲惨な話の多いなか、ほんの少しほっとする話題です。

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