がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

試験官の責任のあとに、がびんちのオツマミで一杯

西オーストラリアの大学入学資格試験では、全ての科目の筆記試験が始まる前に音楽、ダンス、ドラマは実技、そして外国語は口語インタビュー試験がある。今日と明日はそのインタビュー試験だ。わたしは試験官のひとりなので、二日間学校から許可を得てカンヅメになる。

試験会場は某国立大学の五室。試験官は二人で、交互にインタビューを受け持つ。試験時間は、最初の90秒のスピーチを含めて12分以内。学生と直接話さないほうの試験官はその12分間ずっとメモをとらなければならない。十分の休憩を置いて五人続けてインタビューなので、なんらかの理由がない限り、たとえ相棒がオーストラリア人と言えど交互にインタビュワー役になる。でも、五人目の最初は必ず主試験官が担当するので、結果的にわたしはどのブロックでも三人のインタビューをこなす。

日本語が母国語だからといって決して楽ではない試験だ。最低でも五年は日本語を勉強している高校最上級生たちをたったの十五分間で採点するのだから、責任は重い。二人の試験官はインタビューのあと、最終結果を出す前にまず各々の結果を記す。それからお互いの採点を見せ合って協議する。二人の平均点が最終結果というわけではないからだ。なぜ、その点数にしたのか、またなぜその点数が適切と思ったかということを的確に述べなければならない。
そして、最終的にどちらも合意できる点数に達したときに、それがその学生の最終結果となるわけだ。合意に達しない場合は主席試験官がでてきて、もう一度協議になる。協議はもちろん全て英語だ。

それを二十回繰り返した今日は、終わったときに目の下にクマがくっきりと浮かんだ。

ジムにも行きたくないし、料理もしたくない。こういうときには、冷蔵庫の中のあり合わせのものを皿に並べ、題して「がびんちの取りあえずのオツマミ」となる。

行きつけのイタリア食材店で買ったソフトチーズのブリー(フランス産)とエメンタール(スイス産)は冷蔵庫にいつも切らせたことがない。そして黒いカラマータオリーブ。
サンドライ・トマト、ごく小さい酢漬けキュウリ。それからアーティチョークのマリネ(スペイン産)と自分でローストしたアーモンド。そこに香りの強い庭のローズマリとイタリアンパセリを添えた。

まだ薄暗い庭のパティオで、切らせたことがない「いつものワイン」のTaylorsのカベルネ・ソーヴィニオンを一杯。ゆきちゃんもこっそりと出てきて、薄闇のパティオで鼻をひくひくさせる。

春の香りは、まだ夜には遠いパティオをさわさわと満たしている。

4 COMMENTS

ぶらぶら

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はじめてコメントします。
がびさんのごはんはいつもうまそうです。
おいしそうよりうまそうって感じです。私が酒飲みだからかも。
98年くらいにパースに数カ月いたことがあるので
懐かしく読ませてもらってます。
飲茶の話題では、小指くらい太いクラゲや、
そのそばのアイスクリーム屋を思い出したり。
またインド洋に沈む夕日を見に行きたいです。

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gaby

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すみません。コメントを見逃していました。
改めてはじめまして!もう10年以上前にパースにいらしたんですね。生まれたときから住んでいるという友達に聞くと、「パースはとても変わったよ」といいます。わたしが住み始めたのは2001年ですが、回りの景色が一変してしまいました。建設ラッシュのせいですね。変わらないのは、海岸で見る美しい夕日です。またいらしてください。

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ヒデキチ

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はじめまして!ヤフーで「ポワゾン」という言葉を検索していて、ガビさんのブログにヒットしました。お料理にも目を奪われましたが、地球で自由に生きてる感じがとてもうらやましく、自分の人生にはない、別の世界を垣間見せてもらった気がして、この思いを伝えたくてコメントさせてもらいました。地球を舞台に生きてるって感じがしました。ステキです!

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がび

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こんにちは!お越しいただき、どうもありがとうございます。このところホッタラカシにしていますが、嬉しいコメントに「また書こうかな」という気分になってきました。地球を舞台にというより、要するにデラシネ(根無し草)です。あっちへフラフラこっちへフラフラ。懲りずに、またいらしてくださいませ。

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