がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

魚とホタテのフェンネルスープ仕立て

怒涛のような一週間が終わった。
バンコクから戻った次の日に第四学期が始まってしまったので、いやはや疲れた。しかし、なーんだか終わったらいきなり気が大きくなって、白ワインでも開けるかってことに。

学校の帰りに寄った魚屋でタラのような魚を買い、ついでにこちらでは珍しい「えんがわ」付き帆立貝も入れてもらう。(こちらでは、あの赤い「えんがわ」なしのつるりとした生ホタテが多い。)そのあとスーパーで、もうほとんど季節が終わってしまったフェンネル(ウイキョウ)を名残り惜しげにさすっていたら、魚のさらっとしたスープ仕立てが食べたくなった。
フェンネルを四つに切って焦げ目をつけ、同じフライパンで玉ねぎ、ニンニク、唐辛子を炒める。そこにじゃじゃっとヴェルムート(食前酒に使う酒ですが、白ワインに香料が混ぜてあります)をかけて、サフランを少々とザク切りにしたトマト、そしてクールブイヨンと呼ばれる魚のコンソメを加える。フェンネルを戻してコトコトと煮ること10分、トマトソース、白身魚のブツ切り、ホタテを加えさらに5分。ウイキョウのお酒、Pernodをどぼどぼ。塩コショウして、出来上がり。

白ワインをぐいぐいと飲みながら作っていても出来上がってしまう、不思議なスープなのだ。要するに、簡単だと言うこと。
魚の匂いにつられて、猫のゆきちゃんは忙しい。
「猫舌」の彼女はそんなに近づくわけにはいかないが、匂いにはがまんできないらしい。キッチンのカウンタで鼻をうごめかしながら、切ない顔をしてわたしを見る。
もらってきたときにはクールだった彼女も、わたしがしょうことなしにちょっと味見をさせるのに気づいたため、料理を始めたらもうキッチンから動かない。
「だめぇ」と言いながらも、わたしはゆきちゃんには甘いんだよねえ。

 

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