がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

「便利屋」たちの走り回るテレビ

こちらに来ると、普段はニュースと映画しか見ないわたしもテレビにかじりつく。何しろ一日中何かしら見ることができるし、コマーシャルだって面白い。

パースでは5チャンネルしかないし、ゴールデンタイムにやっているのはほとんどがリアルTVと呼ばれる「シロウト参加番組」と家と庭をリフォームする「日曜大工番組」である。どちらも大して金がかかっていない番組たちであることに変わりない。
これが日本になると、まあキラビヤカである。視聴者の好みをつかむのが上手い。ドラマあり、トークショーあり、バラエティあり、と朝から晩までつけていることもできる。(というより、見ていなくてもつけている家庭が多いようだ。)

しかし「ゲスト」としてテレビに出る各界の著名人たちとは別に、日本独特の職業を持つひとたちがテレビ界を占めているらしい。
「タレント」である。
歌 手でも俳優でもない。かといってアナウンサーでも司会者でもない。美しい外見のひともいれば、独特の雰囲気で売れているひともいる。様々な番組に出ている が、何をするでもない、何か抜きん出たものがあるわけでもない。顔は知っているが、一体何をするひとたちなのか、聞かれるとわからない。日本では「テレビ に出る有名人」は皆「タレント」というわけのわからない職業名で一括して呼ばれる。

彼らはどんな番組にも出る。リポーターになったり、司会のアシスタントをしたり、ゲストとして呼ばれたり、料理を作ったり、ケナされたり、騙されたり、走ったり、ころがったり、馬鹿にされたり、たまにはドラマのチョイ役だってする。
中には昔歌手だったひともいる。落語家だったひともいる。シロウトで出た番組が当たって、それ以来「タレント」になってしまったひともいる。

こうした様々な「便利屋」たちがゴマンといるから、あらゆる娯楽番組を絶え間なく生産することも可能なのだろうね。

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