テレビを見ていたら、94歳で亡くなった隣人から十億円の遺産を贈られた農家の話をしていた。誰も彼がそんなものすごい金持ちだとは知らなかったそうで、身寄りのない彼の面倒を見ていた隣人もたいそうビックリしたことだろう。
しかし、誰もが一度は夢見る一攫千金が本当に起こることもあるのだ。
その反対の話もパースで実際にあった。
ある弁護士が、身寄りのない老女の住む海辺の素晴らしい家に眼をつけたのだ。何とかしてその家を安く手にいれたいと考えた彼は、老女に「これこれこのくらいの値段でその家を売ってくれれば、あなたが亡くなるまでタダで住んでいてもかまわないのですが」と話を持ちかけた。安いと言っても海辺の家である。結構な値段だろうし、老女も家にタダで住めてかなりの現金が手にはいるのなら、と家を譲り渡した。
弁護士のほうは、もちろん老女は長くてもあと10年ほどの命だろうとタカをくくったのだろう。ところがその目論見に反して、彼女はなんとエリザベス女王から100歳の誕生日に手紙までもらい、105歳で天寿をまっとうした。
かわいそうなのはその弁護士である。彼は待っても待っても死んでくれない老女にイライラしたであろうが、ついにその家に住むことなく、彼女より10年ばかり早く他界したそうだ。
運なんて、まったくどこに転がっているかわからないものである。