冷たい珈琲のときには必ずブラックで注文する。
オーストラリアではIced Long Black(アイスド・ロングブラック)と言うが、アメリカではIced Americano(アイスド・アメリカーノ)と言うらしい。エスプレッソ珈琲に水を加えたものをこう呼ぶ。タイ・バンコクではアメリカ英語が主流だが、オーストラリアからのカフェもかなり増えているので、Iced Long Blackと呼んでいる場所もあり少々ややこしい。
昔の日本の喫茶店では、店を開ける1時間ほど前に大きなフィルターで大鍋一杯のコーヒーを作り、注文が出るたびにそれを小鍋に移して温めて出したものだ。アメリカンはさらにお湯を加え、底が見えるほど薄くしたものをそう呼んでいた。なんでこんなことを知っているかというと、そういう店で大学生のときにアルバイトをしていたからだ。まだ秋葉原に野菜市場があったころの話である。オタクなんて言葉もメイド喫茶なんて店もなかった。
さて、戻ってバンコクの話だ。
高架鉄道で二駅という近さなので、プロンポンのエンポリアムかその向かいのMクオーティエにはよく行く。エンポリアムの場合は5階のKuppadeli(クッパデリ)でIced Long Blackを、Mクオーティエの場合は1階のD’ARK(ダーク)でIced Americanoを頼むことが多い。
さて、今日はそのD’ARKでヘアカット後の午後を楽しんだ。
最近のバンコクのカフェはエスプレッソマシーンが主流だが、こちらではコールドプレスの珈琲も注文できる。アメリカーノと言えども、きちんとエスプレッソマシーンを使ってエスプレッソをつくってからグラスの氷の上に注ぎ、水を加えている。香りもいいし、味もいい。
隣のひとが美味しそうにケーキを食べていたので、マネをしてわたしもレモンタルトを。
レモンジュースをたっぷりと使って仕上げていて、とろりとしたレモンクリームが美味しい。甘さに加減がないところが日本のケーキと違うが、わたしはこういう甘々のケーキも大好きなのだ。「あんまり甘くなくて美味しいね」という感想はタイやオーストラリアでは賞賛にならない。
この店は美味しい珈琲を提供してくれるが、実は夜になれば酒も食事も楽しめるれっきとしたレストランだ。わたしはまだ夜に来たことはないが、一度は試してみたい料理がメニューに並んでいるので次の機会に必ず。