バンコク最後の晩。
あっという間の休暇はいつものことだけれど、まだやり残している仕事のことを思うと落ち着かない気分だ。
そんなわけで、今晩は料理をする気にもならず。
焼き鳥が食べたいなあとぼんやり考えていたら、「なぎ屋」という名前がぽんと頭に浮かんだ。有名なチェーン店で、バンコクには3店ある。BTSエカマイ駅から直接行けるゲートウェイ・ショッピングセンターにはその一番新しい店が入っていて、大きな駐車場もあるので便利だ。車で5分という近いところにあるのだけれど、いつもはあまりBTSを使わないせいで、去年オープンしたにもかかわらずゲートウェイにはまだ行ったことがない。
中にはいると、例によって「イラシャイマセーッ」の絶叫が飛び交う。バンコクの居酒屋では必ずと言っていいほどこんなふうに騒々しく出迎えられる。すでに慣れたが、それでも50cmと離れていないところから叫ばれると、やはりぎょっとしてしまう。
さっそく次々と焼きモノを注文し、取りあえずサラダ類とお新香でちびちびと。きゅうりの一本漬けが美味しくて、もう一皿追加で頼んだ。
そうこうするうちにやってきた焼き鳥。美味しいんだけれど…かなりひとつひとつが小粒だ。ハツやカシラなどはあまりにも小さいので、周りの美味しそうなオコゲさえない。もうすこし大きめの肉でないと、どうも味がわからない。塩味も足りない。つくねは太い串に刺さっていて少し甘目のタレがいいが、欲を言えばもう少しタレをじっくり染み込ませてほしかった。もうひとつ、エアコンの風のせいですぐに乾いて冷たくなってしまうのはバンコクならではの不満か。
手羽先のにんにく焼きは美味しかった。皮はパリパリで肉はしっとりと柔らかい。ねぎまは、ネギが少々焦げすぎていたが、その他は可もなく不可もない。
今回は焼き鳥が食べたかったとは言え、2人で14串も平らげてしまったおかげで、この店お勧めの鍋もゴハン類もデザートも入る余地なし。
全体的に見て、サービスもよく焼きものは時間がかかるのは当然だが、その他のものは5分とたたないうちにテーブルに並び、女の子たちもきびきびと働いていて気持ちがいい。
帰りにはダイソーの百円ショップならぬ60バーツショップを冷やかし、UCCコーヒーでカプチーノを飲む。入っている店舗はほとんどが日系。周りにタイ語が聞こえることを除けば、日本にいるのと全く変わらないと言ってもいいくらいだ。
9時少し前にようやく店がバタバタと片づけ始めたので、腰を上げる。
車で外に出ると、駐車場のゲートでチケットを渡すときに開けた窓から、熱気と排気ガスと喧騒が一気になだれ込んできた。ああ、やっぱりバンコクだ。