近くにできた居酒屋の「豚の角煮」が旨いらしい。昼がラーメンで夜が居酒屋では、まるで単身赴任中の日本人のような食生活だが、パースに戻れば「気軽に和食」と言うわけにはいかないのだ。
さて。注文した角煮は驚くほど大きい。食べやすいように切ってあるのかと思ったら、丸のままだ。500gはありそうなそれは、しかし箸をすっと通すほど柔らかい。味もほどよくしみて、甘すぎず辛すぎず。
熱燗を口にしながらひょいと周りを見ると、どうもここは仕事帰りの日本人が寄るところらしい。わたし以外は皆男性で、会社(工場)のユニフォーム姿も多い。そして、1時間あまりパートナーとちびちびやっていたら、8時を過ぎたころからかなり話し声がやかましくなってきた。隣からも後ろからも、仕事のウサばらしをする酔いのまじった声が飛ぶ。
タイ人従業員を別にすれば、東京の片隅の居酒屋かと錯覚してしまいそうな雰囲気だった。