がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

がびの日曜日:自宅の裏庭で

わたしの庭は、日本で言う「庭」よりは広いかもしれないが、こちらの標準では「ネコの額」の 9m x 8m だ。大きなパティオの石畳に屋根をつけて、テーブルを置けるようにしてある。秋の庭の写真しかないが、たぶん大きさがわかるだろうと思う。小さいながら、プラムの木もオリーブの木もあるし、池には自由に泳ぎ回っているために巨大化した金魚が数匹いる。現在、冬なので葡萄の木は柱とパティオの屋根を追覆うこともなく、幹だけをさらしているが。

冬の間はふきこむ雨がない限り、週末の朝はここで過ごす。新聞を読んで、朝挽いた豆でたてた珈琲を飲みながらネットにも入る。ゆきちゃんの墓の上には、キョウチクトウを植えた。まだ書けるまで気持ちが落ち着いていないが、いずれ彼女のことを書きたいとは思っている。まだ考えただけで指が震えるので、もう少し時が癒してくれるのを待っている。

庭で最初に春の気配を感じたのは、このディオッスマだ。オーストラリアの草花の中でもかなりポピュラーだ。育てるのも容易だが、春一番に咲き出すのも愉しい。小指の爪ほどの花がぽつんぽつんと開き始め、現在ではすでに満開になっている。これが来月9月末まで続く。

日本ではプリムラと呼ばれる春の花は、先週いつも行く広大な植木の店で買ってさっそく植えた。こちらではポリアンサスと言う。名前を言われただけではわからず、見て初めてプリムラだと気づいた。母も東京の実家で育てている。今回買ったのは4色だが、一番先に開き始めたのがこのサーモンピンクだった。

ハイドランジェアは西オーストラリアのネイティブだ。つまり、西オーストラリアでしか野生では育たない。わたしはこの色と形に惚れてしまい、春以外は全く目立たない草の茂みなのに庭の片隅に植えてしまった。紫の小さな花が茎にそって何百と咲き、あまりの美しさにじっと見つめてしまう。

春になるとどうも裏庭に色が欲しくなり、週末の庭仕事なんぞ大キライなのに、仕方なくシャベルと軍手をつかむ。友達の何百平方もある巨大な庭に何でもポンポンと植えるだけの手軽さが羨ましくもあるが、わたしはこのこじんまりした庭がかなり気に入っている。生来、あまり広大な場所に住んだ覚えがないからかもしれないが、こんな小さな庭でも自分の好きなものに囲まれているという、安心感がある。住み始めたばかりのころは平たくて芝生しかなかった所を、こんなお気に入りの「ジャングル」にしてしまったという、自負がある。

 

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