今晩長期出張でエジプトにたつという友達が、「ちょっと届けたいものがあるから」と夕方にやってきた。
大きな包みには、まだ凍ったままの大きな海 老が10尾も入っている。先月ジェラルトンから持ってきたらしいのだが、残しておいてもあと3ヶ月は帰って来ないからとのことで、思いがけなく嬉しいプレ ゼントだった。ほとんど輸出用だというジェラルトンの海老は、なるほどパースの魚屋では見ることのできないほど大きい。4尾だけ解凍しようとシンクに置い たまま、冷やしておいた白ワインを開ける。
「長期にオーストラリアを離れると思うと、落ち着かなくってね。スーツケースも詰めちゃった し、シャワーも浴びてしまった。出発は真夜中なのに、することがなくなっちゃたよ。」と笑う彼は、本当に落ち着きがない。わたしもほとんど3ヶ月置きにバ ンコクとパースを往復しているが、飛行機に乗って長旅をする直前はどうしても「ココロここにあらず」という雰囲気になる。飛行機に乗るのが大嫌いというせ いもあるが、こうした長旅がいつも「ひとり旅」なのも影響しているかもしれない。エコノミークラスだろうと、ゆったりとしたビジネスクラスだろうと、日本 への旅、スイスへの旅、タイ、オーストラリア、香港への旅だろうと、なんとなく心細くてたまらない。わたしの飛行機の旅は「早く終わらないかな」という思 いで、最初から最後まで満たされているのだ。
まだ寄るところがあるから、という彼が帰ったあと、さっそく解凍した海老をニンニク、唐辛子、香菜、豆板醤のソースでかるく炒め、ご飯と中華カラシ菜を添える。海老はぷりぷりと張りのある歯ごたえで美味しい。こういう大海老は日本へも輸入されるのかな、とふと思った。