パースの丘・レスマーディ:パーススカイラインの眺めとワイルドフラワー

英語にはJaunt(ジョーント)という言葉がある。
行楽のための旅行、物見遊山などの意味で、出張なども含まれる広い意味のTravelとは違う。今日のほんの4−5時間ほどの旅はそんなJauntのひとつだ。

天気はよかったが雲が多い。それなら丘から景色を眺めようと、パースにある丘に行くことにした。パースはどちらかというと平坦な地域なので、「丘」と呼べる場所はふたつしかない。レスマーディ(Lesmurdie)という町の近くのパース・ヒルと、ギネスブックにも載る世界最大の市内公園キングス・パーク(Kings Park)だ。わたしの家からはどちらも30分ほどの距離。

レスマーディの丘は国立公園の中にあり、1−2時間のハイキングもできる場所だ。着いてみたらかなり沢山のひとたちがピクニックをしていて楽しそうだ。ランチを持ってもう少し早く来ていたらハイキングもできたな、と少々残念。
鳥のさえずりを聴きながら小さな小川の流れに添って丘の上まで来ると、パースのスカイラインが遥か彼方に見えた。今日は雲が覆っているので視界はあまりよくないが、それでも輪郭はよくわかる。

丘の麓には上からの滝が流れていて、若いひとたちが降りて遊んでいる。かなり急な石の斜面なので「危険」の看板も出ているが、それでもかなり沢山のひとたちが俗に言う「自己責任」のもとに垣根をかいくぐって降りていく。

そこまで行かなくても、ハイキング路のまわりにはすでに西オーストラリア名物のワイルドフラワーが満開だ。ここはすべて野生の花々だ。春しか咲かないので、この季節は暖かくなることもあって週末はハイキングやピクニックをする家族たちが多い。

帰り道の小川のほとりで小さな子どもたちを連れた家族とすれ違った。と同時にサングラスを落としてしまったら、3歳ぐらいの子が「あ、落としましたよ」とさっと拾ってくれた。「ありがとう」と言ったらニッコリと笑って「いや、どういたしまして」とハッキリと答えて大人っぽくうなずく。こういうのは家でのしつけなのだろうなあ、と妙に感心してしまった。

さて、朝ゴハンしか食べていなかったので1時半ごろになると少々お腹もすく。車で10分ほどのカラマンダー(先月内視鏡検査をしてもらった病院もここにある)のパブでランチにした。
これは、醤油と五香粉の効いた豚肉ローストとグリーンサラダ。揚げたビーフンがアクセントになっている。ドレッシングも少々アジア風、甘いチリソースが加えてあって美味しかった。例によって3人分ぐらいの量だったが。

もうひとつの注文はこのラム肉のハンバーガー。少々乾いていて飲み込むのにビールが必要なくらい。フライドポテトはこんなふうにきちんと揃って切られているので、たぶん冷凍なのだろう。

パブめしはこんなふうなものが多いので、パース市内にいるときはランチにアジアめしが多くなる。パブめしより安くてしかも美味しいので当然かもしれない。

腹ごしらえが終わったら、そのまま市内に戻ってもうひとつの丘、キングス・パークへ。

 

マンジマップのトリュフ狩り:試食タイムとトリュフづくしのランチ

写真は今日のトリュフ狩りでの収穫。土を落としてきれいにしてある。小さいのから大きいのまで色々あった。

測ってみたら全部で294.5グラム。ここで直接購入できるトリュフは1グラムで2ドル(約180円)なので、全部買うと5万4千円ぐらいということになる。

トリュフの賞味期限は短い。生で食べて美味しいのはせいぜい2−3日。密封すれば1週間は持つ。保存方法は色々あるが、脂肪分の多いブリーなどのソフトチーズを半分に切って間に挟むというやりかたでトリュフチーズをつくることもできる。ただし、これも2週間保存が限度。味見させてもらったが、確かにトリュフの風味が損なわれず美味しい。

もうひとつは、湯煎にしたバターに細かく練り込んでトリュフバターを作る。これも保存方法としては便利だし簡単だ。

こちらも風味がバターに移って非常に美味しい。
トリュフオイルなどというものが市販されているので、それも保存方法かと思い聞いてみたら「ああ、トリュフオイルなどというのはまがい物。よくバニラエッセンスなどという香り付けだけに使う人工香料があるでしょう?あれと同じ人工香料を使っているだけ。ホンモノのトリュフでオイルは作れないから」とのこと。つまりオイルの中に入れて保存というのは真っ赤なウソらしい。オリーブオイルで保存できるのかと訊いたら「無理」と言われた。オリーブオイルは匂いが強すぎるのでトリュフの香りと相殺されてしまうという。
トリュフソルトという塩に細かいトリュフ片を混ぜ込んだミックスも売っているがギャヴィンは鼻で笑う。「2週間しか香りがもたないトリュフで1年以上もほうっておける塩ミックスなんかできるわけがない。くずトリュフを見えるように混ぜて人工香料を振りかけただけ」

その代わり、トリュフウォッカは保存方法としては一番長くもつ。スライスしたトリュフをウォッカの10%の分量で加え、冷暗所で保管。1週間ぐらいから飲むことができる。カクテルもできる。ブラックウォッカ・マルティーニなんか美味しいよ、と言われた。今回は、ギャヴィンが自分でつくったトリュフウォッカを試飲させてもらった。

ウォッカではよく果物やチョコレートなどで香り付けをされたものが売られているが、これはまさしくトリュフの香りがぷんと鼻をつく。

ギャヴィンのところではトリュフスライサーも売っていた。スライスする厚みが調節できて便利にみえたが…これで50ドル(約4500円)もする。まさかそんなにスライスするほどのトリュフをいつも買うわけではないし、ウチには性能のいいスライサーもあるのでこれは購入を断念。

結局ウチに帰ってからウォッカとチーズはやってみたいので、今日皆で収穫したもののうちひとつだけ買った。36.5グラム、約6500円。

真空パックにしてもらい、保冷剤を入れて発泡スチロールの箱に梱包してもらった。ギャヴィンが言うには「これなら3日は大丈夫」とのこと。

途中ギャビンの牧場の側を通ったら、牛にじぃっと睨まれた。うわ。

牧場の先には春の訪れを知らせるワトルの黄色い花が満開だ。気温はまだ上がっていないけれど、春は確実に近づいている。

もうすでに1時半を超えていたがお腹は空いている。マンジマップの街中へ戻り、ギャヴィンお勧めのパブレストラン「Tall Timbers」へ。広くて天井が高い。

ここではデラックスハンバーガーというものがある。何しろトリュフのスライスが8グラムも乗っているスペシャルだ。前日のとんでもなく不味いハンバーガーを思い浮かべて、「リベンジのハンバーガー」として注文してみた。ほとんど4000円近いが、ここまではるばるパースからやって来て本場のトリュフを満喫せずして何としようぞ。

ハンバーグはきちんと自家製、ビートルートもクリーム状にしてあり、チーズはスライスしたチェダーチーズ。上にはスライスしたトリュフがこれでもかと乗っている。そしてフライドポテトも皮付きポテトをそのままビールと衣に浸してあげたウェッジだ。外はカリカリ中はホクホクである。
目の前に置かれただけですでに芳醇なトリュフの香りにやられてしまった。前にも書いたとおり、パスタの上にヒラヒラと散っているくらいのトリュフしか食べたことのないわたしなので、こんなに沢山食べていいのかと思うほどの量だ。

トリュフは「味」を楽しむというよりは、その「香り」を楽しむものだ。確かにこのハンバーガーは今まで食べたことのない香りに包まれていて、昨日のあの酷いハンバーガーを忘れるには充分すぎるくらい。トリュフがなくても、その味は前日のものとは比べ物にならない。ただし、トリュフ以外も「オーストラリア風大盛り」なので、サラダとフライドポテトは半分ほど残してしまった。

ワインとともにゆっくりと食事をしていたので、マンジマップを出たのはすでに4時近い。
ホテルに帰ってから水を買いにぶらぶらと歩き、昨日のEmporium Bistroで珈琲を飲んだあとは、地元のテレビをつけっぱなしにして読書三昧。ランチが大きすぎたので夕食は抜き。いずれにせよ、やはり少し疲れていたのか、10時前には寝てしまった。

ブリッジタウンのEmporium Bistro

ブリッジタウンの夜は早い。
レストランのラストオーダーが8時だというので、7時過ぎにホテルを出て車でエンポリアム・ビストロ(Emporium Bistro)へ。朝ごはんから晩ごはんまで、おやつも珈琲もある何でも屋さんだ。

造りは懐かしいビストロ風で雰囲気が温かい。

ここのメニューはどちらかというとシェアする小さなものが多くて、大きいだけのステーキにはあまり興味がないわたしにはちょうどよいサイズ。最近ではこうした小さなサイズの「シェア用」、つまりみんなで分けるタイプの小皿が増えてきて嬉しい。

まずは温かいパンに地元のオリーブオイルとバルサミコ酢が添えられた一品。シェア用のパンには、これまた最近バターよりイタリア風にオリーブオイルを添える店が増えている。

こちらはヘタクソなブレブレ写真しか撮れず、恥ずかしいので小さなサイズで。

まずはちょっとスパイシーな手羽のオーブングリル。手羽と言っても、手羽元も手羽先も両方くっついているので、かなり大きくて腹持ちもよろしい。

続いてイカのフリッター。添えられていたアイオリソースはニンニクがぴりりと効いていて、ちょんちょんとつけて食べるととても美味しい。おつまみとして最適だった。

サラダはベビーリーフと玉ねぎにバルサミコ酢入りのさっぱりしたイタリアンドレッシングが絡めてあった。上からはたっぷりと削りたてのパルミジャーノが散らしてある。

こちらは大ぶりのマッシュルームをバルサミコ酢とオリーブオイルでさっと炒めただけのおつまみの定番。シンプルなのでわたしもよく作る。

ワインは、同じくブリッジタウンを囲むファーガソン・バレーの地元ワイン「52 Stones」のBarrel Selected Chardonnay 2014で。これがちょっと変わっていて口当たりに苦味があり、それでいて重厚なフレンチオークとさっぱりとした果実の香りがして、非常に飲みやすい。おつまみを並べて飲むのにぴったりの白ワインだ。

古い家を改造したビストロなので、今風の「セメントの上に置いただけの木の廊下」と違い、桁を渡して伝統的な手法で置いた、古くて厚い木の板をそのまま使っている。つまり桁のあるところ以外は浮いているということ。風情はあるが、少々重そうなスタッフが近くを足早に通り過ぎると床が「上下に動く」。まあ、慣れてしまえば気にならない。


ひとの声も音楽も木の床に跳ね返ってガヤガヤと居酒屋特有の騒音が好ましく、いつまでも飲んでいたい気分にさせるビストロだ。それもそのはず、こんな看板まで店の中に下がっている。

「ワインのない食事は、朝ゴハンと言います」
料理もシンプルだが地元の食材を利用していて新鮮で美味しい。そんな食べ物とワインがあったら、他には何もいらない。雰囲気のある楽しい店だった。