昼に腹一杯食べてしまったインド料理ランチのせいで、全くお腹がすかない。とは言っても、食べなければ寝る間際に何かつまみたくなるに決まっているので、ほんの少しおつまみだけ作ることにした。
昨日立ち寄ったショッピングセンターにある中国人オヤジの魚屋。またもや大声で呼び止められて、オヤジが得意そうに開けて見せた大きな発泡スチロールの箱には、ああ、2週間前のような殻付きホタテ貝がゴマンと詰められている。そんなわけでまた6つ買ってしまった、美味しいモノにはどうしても弱いわたし。
どうしても今日食べたかったので、今回はもう少し時間をかけて、というより白ワインを飲みながら時間をかけて、貝殻からはずしてヒモもとった。そしてキュウリ、ショウガ、青ネギを千切りにし、醤油、みりん、ごま油、米酢の汁につけておく。ホタテを軽くフライパンで焼き、もう一度殻に載せ、マリネしておいたキュウリ、ショウガ、青ネギを載せ、上から残りの汁をさらっとかけた。
いや、こういうのは手間をかけてももう一度食べたい。ひとりで六つ平らげてしまったくせに。
わたしの庭は、日本で言う「庭」よりは広いかもしれないが、こちらの標準では「ネコの額」の 9m x 8m だ。大きなパティオの石畳に屋根をつけて、テーブルを置けるようにしてある。秋の庭の写真しかないが、たぶん大きさがわかるだろうと思う。小さいながら、プラム
の木もオリーブの木もあるし、池には自由に泳ぎ回っているために巨大化した金魚が数匹いる。現在、冬なので葡萄の木は柱とパティオの屋根を追覆うこともなく、幹だけをさらしているが。冬の間はふきこむ雨がない限り、週末の朝はここで過ごす。新聞を読んで、朝挽いた豆でたてた珈琲を飲みながらネットにも入る。ゆきちゃんの墓の上には、キョウチクトウを植えた。まだ書けるまで気持ちが落ち着いていないが、いずれ彼女のことを書きたいとは思っている。まだ考えただけで指が震えるので、もう少し時が癒してくれるのを待っている。
庭で最初に春の気配を感じたのは、このディオッスマだ。オーストラリアの草花の中でもかなりポピュラーだ。育てるのも容易だが、春一番に咲き出すのも愉しい。小指の爪ほどの花がぽつんぽつんと開き始め、現在ではすでに満開になっている。これが来月9月末まで続く。日本ではプリムラと呼ばれる春の花は、先週いつも行く広大な植木の店で買ってさっそく植えた。こちらではポリアンサスと言う。名前を言われただけではわからず、見て初めてプリムラだと気づいた。母も東京の実家で育てている。今回買ったのは4色だが、一番先に開き始めたのがこのサーモンピンクだった。
このカランチョーは春になると花をつけるので、2年前に植えた。二色の葉はそのままでもアクセントになるし、何より春に咲く真っ青な花がどうしても欲しかったからだ。
ハイドランジェアも西オーストラリアのネイティブだ。つまり、西オーストラリアでしか野生では育たない。わたしはこの色と形に惚れてしまい、春以外は全く目立たない草の茂みなのに庭の片隅に植えてしまった。紫の小さな花が茎にそって何百と咲き、あまりの美しさにじっと見つめてしまう。春になるとどうも裏庭に色が欲しくなり、週末の庭仕事なんぞ大キライなのに、仕方なくシャベルと軍手をつかむ。友達の何百平方もある巨大な庭に何でもポンポンと植えるだけの手軽さが羨ましくもあるが、わたしはこのこじんまりした庭がかなり気に入っている。生来、あまり広大な場所に住んだ覚えがないからかもしれないが、こんな小さな庭でも自分の好きなものに囲まれているという、安心感がある。住み始めたばかりのころは平たくて芝生しかなかった所を、こんなお気に入りの「ジャングル」にしてしまったという、自負がある。
午後は、キングスパークまでワイルドフラワーを見に行こうかと思ったのだが、沢山買い込んでしまったパンのせいで断念。友達はケーキまで沢山買ったので、とても公園を散歩できるようなイデタチではない。わたしはそのまま帰宅し、パンを置いて近くを散歩した。初春なので、そろそろ花が至るところで咲き始めている。うちの庭もそうだ。カメラを持ち、靴を履き替えてトコトコと外へ出る。雲が少し出て来たがそれでも快晴。冬だと言うのに、すでに20度を超えている。
家の玄関前には、バスケットが下がり、ジェラニウムが少しずつ咲き初めている。
わたしの家はRearHouseと呼ばれる、道路に面した家の裏庭(と言っても500平方M)に建てられた家で、道路に出るまでの10mほどの私道、いわゆる車で出るためのドライブウェイがついている。いつもは車でしか通らないそのドライブウェイでは、アフリカンデイジーが満開だ。日の光が差さないと閉じたままのこのデイジーは、普段仕事帰りの時間にはいつもうつむいているので、開いている花を見るのは週末だけ。
同じくドライブウェイ上の角に植えたハイビスカスが花をつけ始めている。これはこの春初めての花。
フリージアは、日本では球根の水栽培で有名だが、こちらでは野生のフリージアが雑草のように生えている。これは隣の家の前の芝生、いつもはゴミを出す位置に咲いていた小さなふたつの花。高さは10cmほどで、花は実に3cmぐらいしかない。それでも鼻を近づけてみると、馥郁たる香りで笑みがこぼれてしまう。近くのサッカー場では、今日は女子サッカーの日。金髪のポニーテールが揺れるかなり逞しい女性たちが走り回るのを横目に見ながら、ゆっくり歩く。
昔、バンコクに住んでいたころには愛犬のペキニーズがいた。お共がいないのは少々淋しいが、わたしのようにいつも飛行機に乗り、様々な場所に残した自分の過去をなぞっている生活では、やはり犬はもう飼えないね、とふと気がつく。たぶん、引退して落ち着くまでは。
次の中継地はパン屋。今の家に越す前に住
んでいた家の近くだ。その店が始まったときからのファンだが、遠くなったので実際にはかなり長い間足が遠のいていた。とても小さな店だったが、今回行ったら奥に向かって広くなっている。昔と変わらない、7つの雑穀いりサワーブレッド。大きなプレッツェルとバタフライ。新鮮なパンを沢山買い込んだが、今回はケーキはなしで写真だけ。
近くに住んでいたときには、ここまでランチのサンドイッチを買いに来たものだが、今回チェックしたらまた種類が増えている。日本に買えると、あまりのサンドイッチの種類の少なさに悲しくなるが、ここのサンドイッチは見るだけでも楽しい。パンも有名なファストフードのものと違い、噛みごたえのあるサワーブレッドや雑穀パン、バゲットなど、この店で作っている今朝作ったばかりのもの。しばら来ていなかったけれど、やはりたまには買い物をした店のひとつだ。すでにランチの時間だったので、今日は友達の勧める繁華街のインド料理店へ。ターリと呼ばれる4種類のカレー、ヨーグルト、ココナッ
ツのデザートに、ナンと呼ばれる平たいパンと、カリカリのパパダム、そしてライスがついている。十二時少し前についたわたしたちは、かなり待たされ、もう出ようかと思ったころにやっと大きなお盆が現れた。時間はすでに十二時半。味はまあまあ、そしてサービスもまあまあ。しかし食事が出て来るまでの時間が度を越している。自宅の近くのインド料理の小さな店のほうが美味しいね、ということで意見が一致した。
ギックリ腰と風邪と階段落ちの打撲のせいで、わたしはかなり落ち込んでいた。どんなに昼も夜も働いても、遅れた仕事には追いつかない。あまり机に向かいすぎると、また肩と胸脇が痛む。夜寝返りを打つと必ず目が覚める。ほとほと疲れきったが、元々ギプスをはめているわけでもなく、学校ではあまり気づかれない。肩が同僚に触れただけでうずくまり、「あら、まだ直ってなかったの?」と驚かれるくらいだ。
日曜日になり、このままではダメになりそうだと思い友達に電話をする。別にグチを言いたいわけではなく、日曜日のお出かけをしたかったからだ。
近くのショッピングセンターは、日曜日閉店していることもあって広大な駐車場が空いている。そこを使って、近所のひとたちが蚤の市を開いているのだ。専門にそれを商売にしているひとたちもいるが、大半は「自分のいらないものは、他人のほしいもの」を期待したガラクタ市だ。わたしはここで花や草木を安く買って、庭に植えたこともある。きょうの戦利品は、しかし草花ではなくムラノガラス細工風のピアスイヤリング。中国人夫婦の手作りのピアスは明るい日の光に輝いていて、どうしても欲しくなってしまい2セット買った。






