がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

ポークチョップ、マッシュルームとアンチョビのソース

何だかまだ喉が痛いので、今日は外出しないで家の片付けと洗濯と、もちろん猫たちとの癒やしの時間。

冷蔵庫にはまだまだ食料が沢山あり、これからそれをひとつずつこなしていくだけで数日ぐらい家から一歩も出ないで暮らせそうだ。いや、「暮らせそう」ではあるが、週末は残念ながらあと1日しかない。日本のゴールデンウィークに羨望のため息をひとつ送って、「さて」と冷蔵庫を開けた。

使うのは明後日で賞味期限が切れてしまうポークチョップ、しんなりしてきたイタリアンパセリ、一昨日買ったマッシュルーム、そして食料貯蔵庫からは赤玉ねぎ。これだけだ。

骨付きのロース肉のことを英語ではポークチョップと呼び、フランス語やドイツ語ではコトレットと呼ぶ。どちらも同じ部位で背中の一番やわらかい肉のことだが、フレンチカットというとこの骨の部分の肉をこそげとって形よくしたもので、オーストラリアでは小売精肉店以外のスーパーなどではあまり売っていない。
ただし、わたしがまさか「突き出た骨の部分にリボンを結んだり紙の帽子をかぶせたり」という小技を使うわけもなく、大抵はこのボッテリとしたチョップを買って来る。それに、どの肉でも同じようなものだが、骨にくっついた部分はとびきり美味しいのだ。

さて、前置きが長いわりに、調理時間が恐縮するほど短いのはいつものこと。
まずフライパンにオリーブオイルを熱して、ポークチョップを両面3−5分ぐらいずつ焼き色がつくぐらいに。ただし、一度片面を置いたら必ずそのままで3−5分ぐらい置いてじっくり待つ。そしてひっくり返したらわたしは蓋をしてしまう。そうすると蒸気で中まできれいに焼きあがるから。そして中温の上ぐらいにしてまた3−5分。

出来上がったら肉はアルミフォイルで包んでおき、同じフライパンにみじん切りにした赤玉ねぎを放り込んで炒め、次にスライスしたマッシュルームを加えて炒め、あら水気が少ないというので、飲んでいた白ワインをじゃーと加えてまた炒め、荒く切っておいたアンチョビを3枚ほど入れて炒めていたら、あらまた水気が飛んだというので飲んでいた白ワインをじゃーと加え、最後にちぎったイタリアンパセリをぱらぱらと振りかけて火を止める。

ああ、なんというイイカゲンな料理…だが、驚くなかれ、これがまた美味しいんだな。

アンチョビをソースに加えるのは味に深みを与えるため。「魚じゃないか」と思うひとも多いと思うが、西洋料理ではこのアンチョビを塩気プラス「旨味」のためによく使う。白ワインはアルコールを飛ばしながら、もちろん料理酒としての役割だ。

付け合せは、山盛りの季節のサラダだけ。

できあがったポークチョップはきれいな焼き色がついているが、実は中はしっとりと柔らかい。マッシュルームと赤玉ねぎとアンチョビのソースをすくってはなすりつけ、そして最後には手を使って骨をしゃぶりつくす。これがポークチョップの王道なのだ。

 

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