日曜日になると必ず買出しに行くファーマーズ・マーケットで、こんなものを見つけた。色や外観は桃なのだが、高さが三分の一ほどしかない。まるでつぶしてしまったように。そして、普通の桃の値段の三倍ほどもする。市場のオニイサンが言うには「ものすごく、あっまーーーい」そうで、名前は「ドーナッツ・ピーチ」。なるほど、ドーナッツに似ていなくもない。
車に戻る途中、いくつか買い求めたそれをひとつ取り出し、そっとかじってみる。甘い果汁が口に溢れ、まるで日本の桃のようだ。手のひらに隠れてしまいそうなほど小さいが、大味で果汁の少ない西洋桃に慣れていると、うなってしまうほど美味しい。
「今日で、もうこのドーナッツ・ピーチはオシマイだよ」と言っていたから、季節は終わりなのだろう。もっと沢山買っておけばよかったな、と少々悔しい。