がびのテラス - 軽妙にして辛辣、独断にして優雅に

実家での正月、「コドモたち」は遊園地に行く

明けまして、おめでとうございます。

ほとんどのひとが今日から出勤だと思うが、わたしは久しぶりの実家でこれまた久しぶりのノンビリとした空気を楽しんでいる。去年のように大雪が降るほどの寒さもなく、比較的暖かい冬の東京でほっとした。

「後楽園に行こうよ」という妹の一声で、母を除く里帰り族全員が昨日ぞろぞろとお出かけ。
最初はディズニーランドという案もあったのだが、地下鉄一本十五分で着いてしまう後楽園にわたしたち兄弟はもうここン十年も入ったことがない。なんだか勝手が違ってしまったので、うろうろと地図片手に動き回って結局は「ここに来たら、もうジェットコースターでしょ」のまたも妹の一声に、元気に手を上げたのはわたしと弟のみ。サンダードルフィンという乗り物だ。このトシにして、兄弟全員はしゃいでジェットコースターに乗るモノズキもあまりいないだろうが、乗り込んでから「しまった」と思った。
こわい…。

一番最初の乗り物にこんなものを選んでしまったため、どれだけ高い位置にさらされるか想像していなかった。かたんかたん、とあがっていくと視界がどんと開けて冷たい風にさらされる。最後にこんなものに乗ったのはまだ二十代のころだったかなあ、と思ったとたん、奈落の底の恐怖へ。シートベルトを締め、さらに鉄のバーが膝元に降りているが、それでも足とお尻は時々に宙に浮いている。それだけ速い。ぎゃああああああ、たすけてええええ、やめてええ、こわいようううう、と叫んでいるうちにやっと降車場に。妹と顔を見合わせてしまった。髪の毛は風にあおられてバサバサ。涙と鼻水でひどい顔。喉は叫びすぎてガラガラ。後ろに乗っていた弟は、「いや、あなどれないなあ、こういう乗り物は」などと呟いている。

膝をがくがく言わせながら、階段を下りると忘れていた写真が出来上がっている。そう言えば乗り込む前に、係員が二度写真を撮るとか言っていた。ひとつは「余裕の」出発の顔、もうひとつは「大滑降中」の顔。またもや、妹と顔を見合わせて大笑いしてしまった。「大滑降中」の顔は、はっきり言ってヒトサマにお見せできるようなものではない。
わたしは、大口を開けて叫んでいる。妹は固く目を閉じて今にも泣き出しそうだ。「たとえやってくれって頼まれても、人前じゃあとてもできない顔だよねえ」と妹が言った。弟の顔だけはなんだかヘラヘラと笑っているが、これも困っちゃったときに薄笑いをする日本人のカナシイ習性かもしれない。

子供たち一行と一緒に、大観覧車に乗っておけばよかった。。
「喉元過ぎれば、熱さを忘れる」と言うが、いやもうこういう恐ろしいジェットコースターにだけは金輪際乗らないぞと固く心に誓った。

 

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