電話をとると、苦しそうな声が聞こえてきた。はて誰だろう、と思ったら友達のひとりである。立てない、と言う。一ヶ月ほど前に坐骨神経痛が出たが、すぐに よくなったのでほうっておいたらしい。昨日パースでセミナーがあり、1日中椅子に座っていたのがよくなかった。昼間すでに腿からお尻に向かって痛みが走るようになったが、夜になってもう長いこと立っていられなくなり、夜中には横になっても痛くて寝られなかったという。
パースでの知り合いで、今のと ころ連絡のつくのはわたしだけだった。車で迎えに行き、救急病院に連れていったら、即入院。明日は精密検査ということなので、身の回り品をとりあえず目に 付くものだけバッグに詰めて、また病院へ。すでに強い痛み止めの注射を打たれたらしく、ぼうっとして目の焦点が合っていない。何だかかわいそうだが、わた しがそこにいてもしょうがないので自宅へ戻る。
一人暮らしというのは、こういうときに困るのだ。わたしなんぞに何か起きたら、ゆきちゃん のことも心配だ。パティオの植物はどうなるんだ。そんなことを考えていたら、色々な「所有物」「生活に必要なもの」が段々と増えてきたことに気がついた。 本当に小さなものから、車のように大きなものまで、実に沢山のものに囲まれている。パースに来て生活し始めたときにはスーツケース1個の身の回り品だった のに、2年半でこのザマである。いつも身軽になりたいと思いながら、ひとつまたひとつと何かしら増えているのだ。デラシネ(根無し草)などと気取っていても、結局は色々な場所にマーキングしてきただけなのかもしれない。スイス、日本、タイ、オーストラリア。どの国にも、実は「わたし印」のついた大量の書籍 とその他様々なものが眠っている。
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今晩はレモン汁とナンプラー、そして様々なハーブでマリネしておいたチキンをグリル。ローズマリーポテトと芽キャベツはオーブンでローストした。こういう料理は、一人分だけ作るのが非常に難しい。だから大量に残ったチキンは、冷凍に。お弁当のサンドイッチ用である。