アジア圏の国々では、挨拶で「触れ合う」ことは少ない。
例えば、日本のようにお辞儀をする国もあれば、タイのように手を合わせてワイという挨拶をする国もある。
この両方を合わせてしまうと、わたしが日本人だとわかるとやってくれる「鼻の前で両手を合わせて何度もお辞儀をする」ヘンテコなオーストラリア人になるので、初級日本語教室では必ず正しいお辞儀の仕方を教えている。
と思ったら、このヨーロッパ風キスというものは「ハグ式」挨拶のアメリカ人にも理解し難いものらしく、ニュースショーでどうやって挨拶のキスをするかの紹介が。
アメリカではあまりキスで挨拶をしないのだなあ…。
わたしが住んだフランスとスイスではキスは日常だ。右から入って両頬にキスをする…が、頬に直接唇をつけることはしない。実際は「頬を合わせて唇でちゅっという音をたてる」だけだ。男性同士はスイスでは家族の間だけのほうが多い。女性は男性にも女性にもしなければならないので、パーティーなどでは忙しい。
先の動画でも紹介されているが、両頬を合わせると言っても、女性はファンデーションや頬紅などが頬についているひともいるので、頬が触れるか触れないかぐらいで口でちゅっと音をたてるだけのこともある。特に女性の場合は、相手に口紅がつかないように唇をどちらかというと「そむけて」頬を合わせる。
これがオーストラリアになると、近年ではキスの習慣もかなり一般化しており、親しい友人たちの間では女性と女性、男性と女性は挨拶のキスをすることが多くなった。困るのは、右頬だけのひとと両頬にするひとがいることで、わたしはこの混乱を避けるために、最近会っていない友達や初めて挨拶のキスをするひとには、右頬を合わせたときに「左もね」とさっと言ってしまう。
ちなみに、ウチの学校の外国語科はフランス人もスペイン人もいるので、朝から両頬にちゅっちゅっとやる。挨拶だけでいやに時間がかかる朝の行事なのである。話しながら挨拶のキスをすることも多い。何しろ唇を頬に触れるわけではないので、普通に話しながらもできるのだ。かしこまって「挑む」必要はない。
ま、日本にはこういう習慣がないので、この挨拶のキスにまごついてしまうのは仕方がない。こればかりは沢山経験を積んで、優雅に自然にできるようになってほしい。わたしはたまにこういう挨拶を日本人にもしてしまうが、やられたら逃げずに右頬から左頬へ。
練習したい方はどうぞご連絡を…。