食話休題: 2007年5月アーカイブ

lettuceprawn.jpg季節はずれなのに、レタスが大安売り。と言ったって、大玉を一日で食べきれるわけもない。そう言えば、中華料理でもベトナム料理でも、レタスを炒めたり汁蕎麦に入れたりしていたな、と思い出した。
炒めてしまえば、カサも大幅に減る。

一枚ずつ、ぐらぐら沸いている湯で湯通しする。これをしないと、カサばっちゃって炒めるのは至極困難だからだ。まだ芯が残っているくらいに、さっと通すだけだけれど。

むいてある海老はもちろんタイあたりからの輸入品、ご丁寧に背ワタまで取ってある。背ワタを取る機械なんてのもあるらしいが、タイでも使っているんだろうか。
そのまま使えるから便利だが、そりゃあ先週食べた大海老にはかなわない。

これに塩コショウして、ぱたぱたと片栗粉をふってから、フライパンでニンニクとともに一気に強火で炒める。片栗粉をふるのは味が逃げないようにするため。海老を取り出したら、ほんの少し油を足してレタスを入れ、合わせ調味料(オイスターソースと酒同量に、醤油を少々)でさっと炒め、水溶き片栗粉を合わせて海老を戻す。

あんまり簡単でウソみたいだが、だまされたと思って食べてみたほうがいい。本当に美味しいんだから。

vealsteak.jpg語学関連のミーティングがあって、帰ってきたのは七時半。
何か買って帰ろうかとも思ったのだが、どこかに寄るのもイヤで家に直行してしまった。
包丁も持ちたくないときだって、ある。だからと言って、冷凍夕食パックなんて食べたくない。一度買ってみたが、半分も食べられなかった。パックの写真はとてもよく撮れているんだけどね。

そういう夕食を電子レンジに入れている時間だけで、結構ヘルシーなものができる。
まず、昨晩のうちに冷凍庫から冷蔵庫に移しておいた仔牛肉のステーキ用切り身。脂身のないところだ。レモンの皮のすりおろし、つぶしたニンニク、クーミンパウダー、オリーブオイルを混ぜ合わせて肉になすりつけておく。
分厚い鉄のフライパンにオリーブオイルを熱している間に、スナップピーを洗い、スジをとり、ワインをちょいとふりかけて電子レンジへ。肉を塩コショウしてフライパンに入れる。ここで二分間がまん、がまん。動かすときれいな焦げ目ができないよ。
皿に缶詰の豆類ミックスの水煮を開け、そのまま電子レンジへ。肉を裏返して、またぱらぱらと塩コショウ。
豆とスナップピーの上に、切ったステーキをおいて、出来上がり。

ステーキはわたしの好みのミディアム・レアだし、野菜と豆を合わせれば立派な夕食だ。。
これが、10分で出来るわたしのファーストフード。

provincalsoup.jpgお寒うございます。
地球の反対側にあるオーストラリアは、このところ朝晩冷え込むことが多くなり、パース市内は朝なんぞ五-六℃しかない。寒がりのわたしはさっそく電気毛布を出した。昼間はそれでも二十℃前後まで上がるのだが、日が落ちればまた寒くなる。
日本はこれから暑くなるというのに、ねえ。

寒くなるにつれて、雨も多くなる。今日は、一日中何度もざあっと降り出しては止み、降り出しては止み、おかげでバッチイ車を洗いに行く気が失せた。
こちらで「雨期」と言うと冬のことだから、日本の雨期は蒸し暑くて困ると言っても、あまりわかってもらえないことが多い。

さて、寒い時には台所で火を使うに限る。うちは天井が高く、オープンキッチン、オープンリビングなので、ガスヒーターをがんがんつけていても、どうも足元が冷える。そんなときは分厚い靴下をはいて、料理。

土曜日のうちに、そのつもりで鶏ガラを買っておいたので、夕方から野菜くずとともにコトコトと煮ていた。余った鶏ガラスープストックは、脂をすくいとってから煮詰めて製氷皿で冷凍するつもりだ。こうしておくと、またスープが食べたいときにすぐに出来る。横着者の知恵なのだ。
それもないときは、もちろん市販のスープストックを使うが。だから、このスープは実は三十分もしないうちにできてしまう。

野菜は何でもいいのだが、今日はとりあえずニンジン、セロリ、ズッキーニ、さやインゲンをサイコロに切り、マッシュルームを厚くスライスし、大鍋にオリーブオイルを熱して炒める。少しチキンスープを入れて蓋をして、水気がほとんど飛ぶまで。蓋を開けて、チキンスープをざんぶと入れ、タイムをちぎってパラパラ、ベイリーフを2-3枚加える。そのまま強火で煮立て、あとは弱火にしてコトコトと十五分ほど。野菜が柔らかくなるまで、ということだ。

煮ている間に、ピストゥを作る。イタリアに行くとペストになるが、今日はプロバンス風なので、Pistouだ。庭からむしってきたバジリコを大盛り二つかみほど。愛用の薬味用石すり鉢(モルター)に入れ、ニンニクを2かけ、がんがんとペースト状になるまで叩く。オリーブオイルをたらーりたらり。塩コショウしてまた叩き、最後にパルメザンチーズをぱらぱらと入れて、パインナッツを振ってオシマイ。
ほんとのピストゥはパインナッツなんか入っていないが、これはわたしの自己流。パインナッツとバジリコはよく合うのだ。

別に買っておいた鶏の胸肉とをひとくちサイズに切り、鍋へ。トマトと入れるのもこのときだ。最初から煮ちゃったらトマトスープになってしまう。

忘れていたが、チキンとトマトを入れる前に、容器ふたつにとって冷凍保存(冷めてからだ、もちろん)。こうしておくと、また食べたいときにトマトとチキンを足せばいいだけだ。これまた、横着者の知恵。

寒い晩は、こうしてふうふうと言いながらスープを食べる。鶏肉をほんのちょっとちぎって、猫のゆきちゃんに。こういうことをするから、彼女はわたしが食事を始めると、膝に乗って金輪際動こうとしないのだ。いけないなあ。

steamedprawns.jpg大きな冷凍庫が欲しいなあ、と思うこともある。冷蔵庫にくっついているのではなく、店で使うように上蓋を開けるようになっていて急速冷凍だってできる、というヤツだ。
なんでこんなことを考えるのかというと、三ヶ月前に買った海老が今回で底をついたからだ。

北のほうにあるエクスマウスでは、海老漁がさかんだ。大きな船で海老をどっさりと網上げして、船の中で新鮮なうちに冷凍してしまう。一週間ほども太平洋の沖にいるわけだから、急速冷凍が新鮮さを保つためには一番なのだ。
伸ばしたら体長17-8cmもある巨大な海老は、だから養殖ではない。

ところが、この高級海老が、5キロ以上などというとんでもない量を買うなら、パースでは望むべくもないほど安価に手に入る。船の持ち主兼漁師にファックスで注文をうって(Eメールじゃないところが、素朴だ)直接船がパースに入港したときに受け取りに行けばいい。
友達のひとりに教えてもらったので、さっそく2キロ一緒に注文してもらったのが三ヶ月前。2キロくらいなら半年かからずに食べられると思ったが、何しろ殻がかさばる大海老のこと、冷凍庫にどんとかまえてしまって他のものがはいらなくなるほどだった。私の冷蔵庫は、観音開きの扉で左に冷凍庫、右に冷蔵庫、全部で600L以上はいる大型だ。それでも、2キロの大海老は苦しい。

そんなわけで、何週間も積み木のようにモノを重ね合わせながら使っていた冷凍庫だが、とうとう最後の大海老になった。これで終わりとなると、なんだか淋しいような…。しかし、友達が注文するときに頼むならまだしも、個人で注文するとなったら5キロだ。そんな場所なんか製氷皿を出したって、ない。

海老の頭は、後日スープに使うために残しておいたが、あとは尾だけ残して殻をむき、背ワタをとる。皿に平らに盛って千切りにしたショウガを乗せ、日本酒をふりかける。そのまま、湯気がもうもうと上がっている蒸篭(セイロ)で四-五分蒸すだけだ。
蒸している間に、胡麻油、醤油、砂糖少々のソースを温めておいて、蒸し汁ごと別皿に盛った海老の上にかけて、スプリングオニオンを散らした。

材料がいい時には、こんな感じで十五分くらいで出来てしまうシンプルな中華に。

vealscaloppinecurrantsauce.jpgクレーム・ド・カシスという甘いリキュールは、とても懐かしい響きを持っている。フランスにいたころ、学生寮のパーティーでは、必ずと言っていいほど安い白ワインにこのリキュールを混ぜた飲み物が出た。口当たりがよく美しいルビー色の飲み物は、しかし飲みすぎたらこれまた必ず次の日の頭痛が待っている。
今では、誰でもが知っているキールというカクテルだ。安い白ワインをシャンペンに変えれば、今度はキール・ロワイヤルという立派な名前になる。

このカシスはフランス語。英語では、ブラック・カラントだ。日本では、黒スグリと言うそうだが見たことがない。
リキュールと違って、オーストラリアでは干したものも手に入る。肉料理のソースやデザートに用いるためだ。実は、わたしはこれを生アーモンドに混ぜておいて、時々学校で口淋しいときにぽりぽりとかじる。美味しいし、栄養満点。

今晩の夕食に使う仔牛肉の切り身は、土曜日の閉店ぎりぎりに駆け込んだスーパーで、棚の隅に残っていたもの。小さな切り身だが、スカロッピーネにできる。ニンマリと籠に放り込んだが、はて温野菜にするようなものが何もない。土曜日の遅くに行ったら、もちろんなーんにもいいものは残っていないのがフツウなのだ。
仕方なく、あとは冷蔵庫と貯蔵室のもので何か作ることにした。

カボチャは乱切りにし、スライスした赤たまねぎ、チリパウダーとオリーブオイルをふりかけて、220度のオーブンへ。カボチャにフォークがすっと通るまで。
あとは、サラダに混ぜてフェタチーズをかけたら出来上がり。

その間に、仔牛肉の切り身をラップに挟んで麺棒で叩く、叩く。紙みたいに薄く伸びたら、ラップをはがして塩コショウし、小麦粉をぱたぱたとはたく。オリーブオイルをフライパンに熱して、裏表軽く焼く。
同じフライパンに今度はバルサミコ酢、仔牛肉のブイヨン、砂糖少々を煮立て、バターを加えてばりばりとかき混ぜる。火を中火にして、今度はパインナッツとブラックカラント、そして萎びたマッシュルームのスライスを入れてひと煮立ち。ソースの出来上がり。

肉にかけてサラダを添え、さっき庭で摘み取ったイタリアンパセリをぱらぱらとかけたら、いやなんだかゴージャスではありませんか。
こういうちょいと甘めのソースは、バターでかなりこってりとしているが、サラダと食べれば意外と気にならないものだ。

meatballstew.jpgいきなり冷え込んできたパースは、今朝七度。昼も二十度までしか気温が上がらず、吹き抜けの廊下に面している日本語の教室は寒いったらありゃしない。
これで雨が降り出したら、本格的な冬となってストーブが離せなくなる。

久しぶりに、体を温めるものが食べたくなるのもこんな季節だ。
だから、あっちこっちに半端に余っている野菜を使って、今日はイタリア風シチュウと洒落こんでみた。

ナスだけは、塩をふってちょっと布巾をかけてしんなりさせる。その間に、大鍋にオリーブオイルをたっぷり入れて、荒く切った玉ねぎを飴色になるまで炒める。そしてナスと刻んだニンニクを加えて、また少し。

上から、ざんぶと野菜スープストック(スープの素と水でもかまわないけど)をそそぐ。もうここからは切った順に放り込むだけだ。荒っぽいが、シチュウなんてこんなもんだ。
トマトは沸騰した湯に放り込んで30数え、取り出したら冷水にとって皮をむき、荒く切って、鍋にほうりこむ。
赤ピーマン、ズッキーニを切ったら次々にどぼんどぼんと加え、さらにフェンネルシードをつぶしてから入れて、塩コショウしてヒトかき回し。
このフェンネルシードが、くせものだ。野菜スープでもこれを入れると、平凡な味に深みが増す。煮立ったら、火を弱めて三十分ほどことことと煮る。

なんか物足りないなあ、と思ったら、冷蔵庫のスミにあった挽肉を思い出した。これだよ、コレ。塩コショウしておろし玉ねぎを加え、ちょいとこねてからくりくりと丸めるだけ。フライパンで焦げ目をつけてころがしてから、これまた鍋にどぼん、どぼん。
ついでに豆も入れちゃおう。貯蔵室には、ひよこ豆もキドニービーンズもある。これも、そのまま放り込む。

実は、今日はこのシチュウをパスタで食べたかったのだ。ファルファーレというリボン形のパスタだが、八色で八種の味。ニンジンやら、カボチャやら、イカ墨やらの味がついていて、何ともカラフルだ。
そのパスタの上にたっぶりのイタリア風シチュウ(煮込み)には、やはりグラモラータが欲しい。ニンニク、レモンの皮、イタリアンパセリを刻んで、上からハラハラとふりかける。

こういうのはノンナ風(おばあちゃん風)のイタリアンシチュウと言うらしいが、自己流材料では、どうも「がびばーちゃん風」にしかならないね。

pomegranates.jpg前庭にあるザクロの木は実が鈴なりだ。
ふと気がついたら、もう実が熟して固い皮が開いてしまったものもある。こりゃ、大変だ。

ザクロは固い皮をかち割ると、中にはルビー色の粒がたくさんつまっている。ちょいと甘ずっぱくて、そのまま食べることもできる。保存用にも色々レシピはあるが、とりあえず今晩はサラダにしようということに。
ザクロの果肉のひとつひとつの大きさは、ちょうど大豆粒ぐらい。その大きさと同じイスラエルのクスクス「モグラビア」(Moghrabia)を使う温かいサラダだ。普通のクスクスは、ヒエやアワなどの雑穀ほどの大きさだが、このイスラエル産クスクスは大きい。どちらかというとパスタのような感じだ。

まず湯をグラグラと沸かし、乾燥モグラビアをざっといれて火を弱め、蓋をして十分ぐらい。水を切ってざっとゆすいでから大きなボウルにいれ、オリーブオイル、レモン汁、おろしたニンニクを混ぜ合わせ、塩コショウで味を調える。あとはミントの葉、香菜をきざんで混ぜるだけ。

モグラビアを茹でている間に、今度はザターを作る。これは中近東風スパイスなのだけれど、スーマックというパプリカのようなウルシの粉、塩、ゴマ、タイムの葉を混ぜ合わせたものだ。全部ハーブすり鉢にほうりこんで、どかんどかんとつぶす。これを振りかけてラム肉のステーキをグリル。
サラダの上に肉をちょんと置いて、ちょいとバルサミコ酢をたらしたザクロの果肉をぱらぱらと散らして、出来上がり。

甘酸っぱいザクロの歯ごたえとエキゾチックな香辛料を楽しめる、見た目も美しい一品になった。

kangaroofilet.jpgカンガルーなんて口にしたこともないだろうが、あなたのペットはそう思っていないことが多い。オーストラリアはペットフードの一大輸出国なのだ。カンガルー肉はオーストラリアで生産される缶詰ペットフードの大半を占めている。

ヨーロッパで秋になると珍重される鹿肉のように、シッカリ焼いちゃったらとんでもなくパサパサになるし、ほんの少し独特の臭みもある。その臭みを消すために、甘いソースをかけたり、ジャムのような果実汁でマリネするのがフツウだ。どこのスーパーでも手軽に買えるし、レストランのメニューに載ることも多い。ところが、どうも地元のオーストラリア人たちは自分のうちで食べるなら「牛肉」と決めているようで、あまり人気がない。肉屋でもスーパーでも、隅っこに追いやられているのだ。

しかし、ヒレ肉となると違う。柔らかくて肉本来の甘みもある。だから、カンガルーのヒレ肉が肉屋に出ていると、このごろでは迷わずふたみっつ包んでもらうようになった。他の肉と比べると脂肪もコレステロールも少ないし、パサパサにならないカンガルーはとても美味しい。

甘いワインソースをかける本格的なものも悪くないが、今日は軽く塩コショウしてクーミンとチリパウダーで仕上げ、さっとグリルした。
少々料理が遅くなってしまい、炭水化物はキャンセル。胃にもたれると寝付きが悪くなるからだ。だから新鮮なサラダにひよこ豆を加えて、そのまま簡単なお手製イタリアンドレッシングであえただけ。