食話休題: 2005年2月アーカイブ
まだガラガラ声なので、一日授業をすると夕方どっと疲れてしまう。そのうえ、暑さはまだ30度を越している。
こういうときこそ食事で元気をつけねばとも思うのだが、こってりはイヤだ。そこで、昨日の残りのサラダを使って、もう一度サッパリ系の夕食を作ることにした。学校の帰りに肉屋に寄って、スーパーより少々グレードの高い骨付き豚肉のコトレットを買い、隣の果物屋でついでにオレンジをふたつ求める。
オレンジを絞って、ニンニクと砂糖少々を混ぜてから弱火でコトコトと煮ること10分。量が3分の1ほどになったら、火からおろして豚肉に塗る。これをフライパンで焼きながら、時々残りの煮汁をかけて照りを出す。その間に、ベビーリーフ、さっと茹でた絹さや、刻んだピーカンナッツ、オレンジを合わせて、サラダを作る。ドレッシングは、残りのオレンジジュース、レモンジュース、そしてディジョンマスタードにオリーブ油。オレンジの酸味があるので、今回は酢を使わない。
豚肉は果物ととても相性がよい。豚肉独特の臭みが果物の酸味で和らぎ、甘いソースの照りが食欲を刺激してくれるからだ。
明日はようやく金曜日。久しぶりにパブで友達と待ち合わせ、お気に入りのサイダー酒を飲むことになりそうだ。
スナッパー(鯛の一種)の新鮮な切り身は、味が淡白なだけにどんな調理にも使える。フライパンで焼くときには本当なら皮付きがいいのだが、今回はもう赤い皮はついていなかった。残念。
優しい味のトマトソースには、普通の玉ねぎの代わりにエシャロットを使う。どんなに炒めても少々つんとくる玉ねぎより、はるかに味がまろやかなのだ。オリーブ油で炒める時間も半分ですむ。きざんだ缶トマトは缶からいったん出してきざみ、缶の汁といっしょにエシャロットを炒めた鍋へ。味付けは塩の代わりに醤油、そして辛口シェリー酒に粒コショウをかりかり。辛いのが好きなわたしは、タイ産チリペーストもほんの少し足す。最後に入れるのは、隠し味としての砂糖小さじ一杯だ。あまり塩を効かせないトマトソースでは、この砂糖がトマト本来の味を引き立ててくれる。
さて、軽く塩こしょうしたスナッパーはフライパンで両面を焼き、さっとドレッシングと混ぜたベビーリーフのサラダの上にのせる。上からトマトソースをかけて、できあがり。
このところ、日が落ちるとかなり涼しくなる。
空気もやっと爽やかになり、軽い長袖に着替えて庭に出た。さわさわと風に鳴る庭の草花の音を聞きながらの静かな夕食。
日曜日になると必ず買出しに行くファーマーズ・マーケットで、こんなものを見つけた。色や外観は桃なのだが、高さが三分の一ほどしかない。まるでつぶしてしまったように。そして、普通の桃の値段の三倍ほどもする。市場のオニイサンが言うには「ものすごく、あっまーーーい」そうで、名前は「ドーナッツ・ピーチ」。なるほど、ドーナッツに似ていなくもない。
車に戻る途中、いくつか買い求めたそれをひとつ取り出し、そっとかじってみる。甘い果汁が口に溢れ、まるで日本の桃のようだ。手のひらに隠れてしまいそうなほど小さいが、大味で果汁の少ない西洋桃に慣れていると、うなってしまうほど美味しい。
「今日で、もうこのドーナッツ・ピーチはオシマイだよ」と言っていたから、季節は終わりなのだろう。もっと沢山買っておけばよかったな、と少々悔しい。


