食話休題の最近のブログ記事
昼に腹一杯食べてしまったインド料理ランチのせいで、全くお腹がすかない。とは言っても、食べなければ寝る間際に何かつまみたくなるに決まっているので、ほんの少しおつまみだけ作ることにした。
昨日立ち寄ったショッピングセンターにある中国人オヤジの魚屋。またもや大声で呼び止められて、オヤジが得意そうに開けて見せた大きな発泡スチロールの箱には、ああ、2週間前のような殻付きホタテ貝がゴマンと詰められている。そんなわけでまた6つ買ってしまった、美味しいモノにはどうしても弱いわたし。
どうしても今日食べたかったので、今回はもう少し時間をかけて、というより白ワインを飲みながら時間をかけて、貝殻からはずしてヒモもとった。そしてキュウリ、ショウガ、青ネギを千切りにし、醤油、みりん、ごま油、米酢の汁につけておく。ホタテを軽くフライパンで焼き、もう一度殻に載せ、マリネしておいたキュウリ、ショウガ、青ネギを載せ、上から残りの汁をさらっとかけた。
いや、こういうのは手間をかけてももう一度食べたい。ひとりで六つ平らげてしまったくせに。
帰宅する時間はお腹がすいているものだ。しかしこれにも段階があって、あまりにも疲れているときや、あまりにも遅くなってしまったときは、弁当屋で「照り焼きチキン弁当」などを買って帰るときもある。
遅いと言っても7時までに帰宅できれば、多少余裕をもって十五分ぐらいで何か作ってしまう。この二番目の段階が、要するに「がびのキッチン」なのだ。
で、今日も今日とて帰宅、お腹がすいて冷蔵庫を開ける。「うわ、これ賞味期限が」だの「キュウリ半分どうしろっていうの」だの「弁当の残りのアレがちょこっと」だのが引き出しにゴロゴロ。こういうものがたまるのも、悲しいかな「がびのキッチン」。
塩を入れて湯をたっぷりと沸かしている間に、もうグリルしちゃったので仕方なく冷凍したイタリアンソーセージを解凍して輪切りに。イタリア食品店の自家製を買ったのだから、味はいいはずだ。半分残っていたズッキーニは輪切り。ニンニクは包丁でどかんとつぶしてから、みじん切り。弁当の残りのトマト半分もざく切り。
ペンネを茹でている間に、もっと何かないかなともう一度冷蔵庫を開ける。手のひらの半分ほど残っていたフェタチーズと、サラダ用に買っておいて半分食べただけでシンナリしてしまったルッコラの葉があった。そして、もちろんレモン。
オリーブオイルをたっぷり熱しておいて、ニンニクを加える。香りが出たら、もうこっちのもの。トマトとズッキーニを加えてざざっと炒め、最後にソーセージをどんと入れる。タイミングが大事なので、炒め終わったときにペンネも茹であがっていなければならない。ペンネを加え、ざっと混ぜ、フェタチーズをポロポロと手でくずしてふりかけ、またざっと混ぜ、ルッコラを入れてさっと返すだけ。皿に盛ったら、上からたっぷりとレモン汁をかける。
要するに、ペンネ用の湯を沸かしてからペンネが茹であがるまでの時間にできてしまう一皿だ。
こんなのは料理と言っちゃあいけない。でも、だからと言って美味しくないわけでもない。
ちょうど帰宅時間に激しい雨が降っていたので、普通35分の道のりを1時間以上かかってしまった。あまりの退屈さに大音量で往年の荒井由実のCDを一緒に絶叫しながら帰宅。何もしたくなかったがそうも行かず、取りあえずまたもや冷蔵庫を開けてみる。砂肝は今週中に食べようと買ったもの。よし、これだ。
砂肝はわたしの好物のひとつだが、日本と違ってこちらの砂肝はかなり虐げられている。何しろ肉売り場の片隅、それも犬猫用の肉類の横だ。そして開けてみるとわかるが、下処理がまったくされていない。つまり、買ったはいいが食べられるまでに気の遠くなるような処理時間がとられる。まずきれいに洗い、ゴミをとり、くっついている油をはぎとり、筋をこそげとる。これだけで嫌になるので、もちろん白ワインをどぼどぼとそそぎ、好きな音楽をかけ、30分かけて切る。
しかし、ここからは早い。まずカノーラ油とごま油を半々をフライパンに熱し、ニンニクのスライスを入れ、香りが移ったら取り出してしまう。すぐに焦げてしまうからだ。そこに下処理をした砂肝をどさっと加え、強火で炒める。強めに塩コショウしてさらに炒めている間に、スプリングオニオンと呼ばれる細い青ネギをとんとんと薄い輪切りにして、待機。最後にざざっと混ぜ合わせて出来上がり。
こういうおつまみを作るとひとを呼んでイッパイやりたくなるが、今週は帰宅が遅すぎて誰も呼べない。しかし、砂肝のおつまみは塩味を強くしたので保存がきくし、なんせ週末まで使えるほどたっぷりつくったのでまだまだ楽しめそう。ちなみに、わたしの「たっぷり」はいつも500グラムと1キロの間ぐらい。
12年生の生徒の補習があったのですっかり遅くなってしまった。時計を見たらすでに6時半。牛乳を切らしている。卵もない。近くの小さなショッピングセンターが今年から毎日8時まで開いていることを思い出し、車を飛ばしてすっとんで行った。脇目もふらずスーパーを目指して大股で歩いていると、「コンニチーワ」という「チ」にアクセントをつけた呼び声が10mほど先から。おお、改装のため2週間閉めていた魚屋の中国人オーナー、丸顔オジサンだ。「アンタっ、絶対これ買わなきゃ帰れないよっ」などとブッソウなことをまたも叫ぶので、なんだなんだと近づいてみれば、デカイ手書き(実は走り書きとも言う)の紙がウィンドウに貼ってある。「とびきり新鮮なホタテ貝と海老!!!」とオジサンの叫びをそのまま書いたようなポスターだ。
「これは生で食べられるホタテ貝と海老だよ。ホタテ貝は今年初めてだよ、西オーストラリア産は。それから、このジェラルトンの海老を見てくれ、このウツクシイ殻を。ピンクだぞっ」実は、豪州の海老は釣ったその船で冷凍にしてしまうのが普通だが、この大海老は生だ。こういうのは、西オーストラリアでは珍しい。よし、買った。

お腹がすいているときに買い物をするものではない、という忠告を思い浮かべる間もなく「10個ずつっ」と叫んでいたわたしは、オジサンの興奮につられてしまったのかもしれない。会計で「ぎょっ」となって思わず半分ずつに減らそうかと思ったくらいだが、結局カードを使って買った。豪州ではそんな大金を現金で持ち歩くひとは少ない。
さて昨日は白ワインを飲みながら解体し、両方とも半分ずつ刺身にしてたらふく食べてしまった。新鮮なホタテ貝はヒモさえこりこりと美味しい。
さて、一日たって今日もまた遅かったがそれでも7時には帰宅。
外のバーベキュー台を出そうかと思ったが、寒い。めんどくさい。結局、オーブングリルを使ってきれいに洗ったホタテ貝を殻付きのま
ま放り込む。回りには背中だけ割って背わたを取った海老を5匹をグルリと取り囲んで10分。貝が開いて、海老の殻がカラリとしたところを取り出す。母がいつも取り寄せているポン酢を冷蔵庫から取り出し、「あちち」と言いながら次々と上の帆立貝殻を取りたらりとたらす。ちょいと味をみたらもう少し酸味が欲しい。レモンをスライスしてまたたらーり。ヒモを含んだら大福ほどもあるホタテ貝をそうっと口に含んでかじる。ふう、とため息が出る。海老はほんの少しレモンをたらし、そのままバリバリと殻を剥き、ワタをそそり、手を使ってほうばる。ああ、至福のとき。
これは、断じてドーナッツではない。実は余り物があっちに少しこっちに少しあったので、これをまとめたら何かできるのではないか、と思ったのが発端。わたしは冷蔵庫を開けてしばし考え込むことが多いので、あんまり長く開けていて温度が2度上がるとアラームがピーと鳴るように設定してある。で、今日も盛大にピー、またピー、しばらくしてまたピー、と鳴らせながら見つけたもの。もうそろそろ食べなければならない鶏胸肉3枚、茹で海老3匹、こないだ作ったパイの皮の残り、モッツァレラチーズ。そして、ルッコラと水菜のミックスサラダ菜にペッカム洋梨だ。
この胸肉をふたつに切り、塩コショウし、庭からむしってきたマジョラムとタイムを刻んで散らし、潰したニンニクをすりこみ、刻んだモッツァレラチーズと海老をしっかりと巻いて、さらにパイ皮でくるんだ。これを三等分の輪切りにしたら、うん、いい具合だ。
さらに上からモッツァレラチーズをたっぷりと散らし、残ったハーブも加え、二百度のオーブンで20分。
その間に簡単なサラダを作る。ペッカムは他の洋梨と違い、生でもカリっと歯触りがいい。これを薄切りにしてルッコラ、水菜などのベビーサラダミックスに加えた。ドレッシングはシンプルなバージンオリーブ油とバルサミコ酢に塩コショウを加えただけ。
ところがオーブンからチキンロールを取り出したら、真ん中に大きな穴。そりゃあそうだな、きっちりと巻いてもしょせん肉だ。焼けば縮むのだから。かくして、わたしの残り物のチキンロールはドーナッツ型になってしまったというわけだ。だからといって、味までドーナッツではない。好みの時間帯に焼き上げたので、パイ皮はカリカリ、そしてたっぷり載せたチーズのいい香りが鼻をくすぐる。ナイフを入れればすっと通るぐらいの、ちょうどいい焼き加減だ。海老を入れたおかげで、ちょっと歯触りも違うし楽しい。
明日はまた学校だなあと考えながら、やはり赤ワインをぽんと開けてグラスに1杯だけそそぎ、「残り物の晩餐」に乾杯する。


