デラシネの呟き: 2006年9月アーカイブ

今年一月に書いた通り、四月に戻ったバンコクでレーザー手術を受けた。所謂「近視矯正手術」だ。

手術は目薬風の局部麻酔のみ。片目二十分ずつ、いやー汗びっしょりになってしまった。もうあんなコワイ手術は二度と受けたくない。
角膜をぱっくり開けた時点で視界がマックラになるし、いくら経過を事前に教えられていたとは言え、やはりあせる。それでも、「動くな」と言われ素直に体を硬くこわばらせていたから、二日ほど筋肉痛が消えなかった。そして、そのマックラの視界にレーザー光線があたり始めたら、今度は焦げ臭い匂いがただよう。これにも、うろたえた。
「80%ぐらいの視力回復ですから、一年後にもう一回くらいやって100%にしますか」なんて言われたけれど、とてもじゃないがそんな勇気はもう残っていない。

術後一日ほとんどベッドで過ごしてから、次の日そうっと目を開けてみたら天井がはっきりくっきりと肉眼で見える。これには、本当に感動した。なんせ、中学生のとき以来、朝起きたら「見えない」というのが常識だったから。

もちろん、驚きはそれだけではなかった。術前に知らされてはいたが、いきなり近くのものが全部ぼやけてしまう。ああ、「老眼」ってこういうことだったのね。
副作用のひとつだが、私ぐらいのトシでは当然らしい。近眼ゆえに今までまぬがれていたが、近眼じゃなくなったとたん、出た。普通のひとは段々と見えなくなっていくのに、手術のおかげで矯正も老眼も突然だ。「近づければ必ず見えていたもの」が「近づけたら見えない」に一日で変わってしまった。

そんな突然の老眼には数ヶ月たった今でもまだ慣れず、ド近眼風に寄り目になりそうなほど近づけたものをあわてて目から遠く離す、という行為を性懲りもなく繰り返している。

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