サーモンのカルパッチョ

軽いのが幸いだったけれど、また車の事故があり(まだ立ち直っていないのでそのことについてはまたのちほど)少々気が滅入っているので、サーモンの刺身を買ってきた。これでとびきり良い白ワインを開けちゃうんだ。まだ火曜日だってのにいいのか、という声が聞こえてきそうだがかまわない。

こちらで売られているタスマニア産鮭は天然ではなく養殖なので、寄生虫アニサキスは存在しない。だから日本と違い、平気で刺身で食べられるわけだ。ただし「刺身用、生食用」として売ってはいるけれど、日本の塩鮭の切り身の3倍ぐらい、「自分で切れ」と言わんばかり大きさである。

それを半分に切ってひとつずつジップロックの小袋に入れ、冷凍。3時間ぐらいで薄く切れるくらいになるので、紙のように薄く(難しいが)なんとか切り、それを皿に並べる。ケイパーを散らす。

醤油、米酢、オリーブオイルを各2としたら、そこに練りワサビ1を放り込み、一気に混ぜ合わせ、小口切りにしたチャイブを加える。それをサーモンの上からそっとかけて、最後にルッコラの葉を大量に載せてできあがり。サーモンの匂いがまだ気になるひとのために、ライムかレモンのかけらを載せておく。

もうおわかりだと思うが、これはわたしがよく前菜として出す料理で、大して芸があるわけでもない。でも、新鮮な刺身サーモンをつかってワサビ醤油ドレッシングをかけるだけで、なるほど和風カルパッチョになってしまうんだ。ソースが美味しくて、ルッコラをもう少し足してサラダ風に食べた。

 

豚肉の味噌漬けステーキ

土曜日に買った豚肉ロースを昨日味噌漬けにした。
4枚入りを買ってしまったので4食分、加工しなかったらもったいない。

味噌漬け用のタレは自己流だ。味噌2に対してみりんは1。そこに酒はざざっとたらす。砂糖は適当に。わたしは人工甘味料を使ってしまうが、砂糖だともっと照りが出る。料理用語では「煮切る」というが、つまり酒とみりんのアルコール分を飛ばすわけ。小鍋を中火にかけて、フツフツと泡が出てきたら弱火にし、とろりとするまで気長に時々混ぜてやる。

冷めたタレを豚肉に塗りたくり、ジップロックのビニール袋に入れて空気を抜き、一晩冷蔵庫で寝かせる。

今晩は、その豚肉から味噌をこそげとって焼いただけ。付け合せはカイランまたはガイランと呼ばれる中国野菜とマッシュルームをショウガとナンプラーソースで炒めた。ガイランはオイスターソースでさっと炒めても美味しいのだが、豚肉が味噌漬けなのでちょっと味がかぶるかなと思って、さっぱりとナンプラーに。

残りの豚肉は味噌を拭き取ってから一枚ずつ小分けにして、冷凍庫に入れた。こうしておけば、食べたいときに一枚ずつ解凍できる。

料理と言うのもオコガマシイほどの簡単な一皿だが、平日の晩ゴハンなんて時間をかけていられないからこんなものだ。豚肉は味噌タレとあわせておいたおかげで柔らかく、味もしみていて美味しい。

シェントンパークの Kiri Japanese Restaurant

パースに住み始めたときの最初のアパートは、Shenton Parkという西オーストラリア大学に近い静かな住宅街にあった。そのころまだ車を運転していなかったので(いや、免許はあったがいわゆるペーパードライバーというやつで)、大学院の真ん前までバスで5分という立地と隣にあるスーパーのせいで即決したアパートだった。寝室がふたつ、そしてリビング・ダイニング・キッチンがオープンになっていて、ものすごく古いだけに家賃はとても安かったのを覚えている。そして同じアパート内の同じ間取りが、その当時約900万円ほどで売りに出されていた。ああ、買っておけばよかったなあ。パースの物価高騰にともなって今じゃ3倍から5倍になってしまった。

わたしが引っ越したあとで、色々な店がそのアパートの周りにできて、今では予約するのも難しいイタリア料理店なども並んでいる。

そして、そのレストランがいくつも並んだ一角にひっそりとKiriがある。
入り口はふたつ。右側はカジュアルな雰囲気のテイクアウト屋さんで、そこで食べることも持ち帰ることもできる。左側の入り口をはいると、こちらは小さいながらも本格的なレストランだ。

今回は友達の紹介で皆で「シェフのおまかせコース」をお願いした。

まず出てきたのが、刺身の前菜。帆立貝の上に海老とキュウリのジュリエンヌ風、そして小さな紫蘇の葉が上にふわりと載せられている。添えられた柚子胡椒をつけて食べてみると美味しい。どこで紫蘇が手に入るんだろうねえ、とひとしきりテーブルで話題に。

次は鴨の冷製。ベビーグリーンが上に載せられていて、その下に口の中でとろけそうな柔らかい鴨に出し汁がかけられている。これにはテーブルで歓声があがった。鴨と言ったらコンフィかね、というパースでこんな繊細な鴨肉の和風だしが食べられるとは思わなかった。小鉢に注いで出し汁も最後の一滴まで美味しく飲んでしまったのは言うまでもない。

刺身盛り合わせは、新鮮で活きのいい魚ばかり。マグロの赤身、サーモン、ハマチ、タコ、そしてちょっと変わっているのが昆布に挟まれたキング・ジョージ・ホワイティング。日本語ではアメギスというキスの一種だそうだが、昆布の歯ざわりと重なってさっぱりと食べられた。

次に来たのが、天ぷら盛り合わせだ。大海老に添えられたのは何とケイルの天ぷら。お隣にはタケノコと紫蘇を白身魚で巻いたものが揚げてあった。ケイルはカリカリにローストしておつまみにすることもできるが、天ぷらにしても美味しいとは考えてもみなかった。海老はもちろんアタマとシッポもかりかりと食べられる。オーストラリア人の仲間がひとりアタマとシッポを残していたので、下げられる前に日本人の友達がさっとさらって食べてしまった。残してしまうにはもったいない。

ナスの揚げびたし。
ナスはやっぱり揚げるのが一番美味しい。油を吸ってとろりとしたところに出し汁をかけて冷たくしてある。

寿司盛り合わせは、今日楽しみにしていたコースのメインのひとつ。マグロ、スナッパー(鯛の一種)そしてウナギ。あとからイクラの軍艦巻も出てきた。 そして、ほっとするような豆腐とわかめの入った味噌汁がついている。

あとはデザートだね、と言っていたら、なんと小豆入りの抹茶ロールケーキが白薔薇に囲まれてテーブルの上へ。ロウソクが1本刺さっている。
えっ。
実は友達が店に頼んで用意してもらったわたしの誕生日(10月8日)の一月遅れのお祝いだった。うわあ…とこれには本当に感激してしまった。嬉しかった。

そして、デザートのきなこ入りのアイスクリームには、先ほどの抹茶ロールケーキが添えられていた。

パースの和食はオーストラリア料理とのフュージョンも多いが、Kiriの料理はオーストラリアの素材を活かした伝統的な和食だ。金曜日の晩は予約も難しいそうだが、早めの時間帯だったわたしたちが座ってから1時間もたたないうちに満席となった。

今回はおまかせコースだったが、次回はアラカルトで注文してみたい。学校からの帰り道でもあるので、テイクアウトでお弁当も買ってみたい。