「フランスの」鶏肉煮込み料理:プーレ・シャスール

「フランスの」を強調しているのにはわけがある。
実はこの料理、以前にもブログ記事にしたイタリア料理「鶏肉のトマト煮込み:ポロ・アラ・カチャトーラ」のフランス版なのだ。

鶏肉のトマト煮込み:ポロ・アラ・カチャトーラ

ポロ・アラ・カチャトーラのほうは、以前某レストランに写真をコピペされ、Facebookの記事に抗議したら、次の日にFacebookのアカウントごと削除された。

これってワタクシの撮った写真では?

ま、そんないわくつきの料理だが、冬になると今でも作る料理だ。ひとを招待したときにも作る。豪華にみえるけれど、簡単なので。

ところが、一度ウチに招待したことのあるフランス語教師が「あれー、わたしもこの料理知っているよ。ママンが時々作っていたもん」と言うので、レシピを訊いたことがある。

そして、次に頂いたのは某SNSで「オーストラリアで買った即席チキン・シャスールの美味しさが忘れられない」というメッセージだ。

Polo alla Cacciatora(イタリア語)
Poulet Chasseur(フランス語)
Chicken Chasseur(オーストラリア英語)

どれも同じ料理のことだ。ただしオーストラリア人は英仏ミックスの命名だ。フランス語の発音に疎いひともいるので、友達にこの料理のことを訊いたら「チキン・チャッサーのこと?」と言われて笑いをこらえるのに苦労した。なるほど、英語だとこういうふうにも読めるんだ。だが、オーストラリア人の名誉のためにも、チキン・シャスールときちんと言うひともいることを付け加えておく。

今回はそのフランス人教師のお母様のレシピで作ってみた。だから、ポロ・アラ・カチャトーラではなく、プーレ・シャスールのほうである。

わたしは丸鶏を買ってガンガンと叩き切るけれど、日本だったら骨付きのぶつ切り、つまりドラムスティックなんかいいのではないか。塩コショウしたこのぶつ切りに、小麦粉をはたいておく。ビニール袋に全部いれて、グニョグニョするだけ。

オリーブオイルを熱したフライパンで焦げ目をつける。

わたしはル・クルーゼの厚手鍋だけれど、普通の鍋でもいい。そこに入れておく。

次に煮込み汁をつくる。スライスしたマッシュルーム、刻んだエシャロットとニンニク、タイム、ローリエをオリーブで炒め、塩コショウし、白ワインを1カップほど加え、ブランデーを少し足す。どぼ、ぐらいかな。ついでに、わたしにも少し白ワインを足す。

アルコール分が飛んだら、すかさずトマトピュレーを加える。

実はわたしはオリーブオイルで炒めてしまったので、ここでバターを加えた。いや、フランス料理の常でやはりバターは必需品。

混ざったら、最後にチキンストックを500mlぐらい加える。

そして、焦げ目をつけておいた鶏肉に煮汁を入れ…

後はコトコトと煮込むだけ…だが、フランス人はこのままこのル・クルーゼを180度に温めたオーブンに1時間ほど直接蓋をしたまま入れてしまう。このほうが焦げずにまんべんなく火が回るからだという。ただしコンロでも、もちろんできる。焦げないように弱火でコトコト1時間だ。

できたけど、皿に盛ってしまってから気づいたので中身が1/3に減っているル・クルーゼ鍋。

付け合せにはインゲンとジャガイモを茹でた。

肉はホロホロと骨から外れ、柔らかい。汁は旨味がたっぷりと出ていて、皿はもちろんパンを使って最後の一滴まで拭き取らなければならない。

ああ、美味しい。

 

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スビアコのBistro des Artistes

Subiacoというパースの一角には昔からトレンディーなバーやクラブが並び、庶民的で観光客も多いNorthbridgeとは少々違った雰囲気だ。特に夜ともなると、グラビアから抜け出たような垢抜けたひとびとが集まってくる街だ。ただし、近年の物価と家賃の高騰でどうも元気がなくなってきたのは否めない。

数年前、ここに1軒のフランス料理店ができた。以前パースの近郊で、知る人ぞ知るLoose Boxというフランス料理を供していたシェフの店だ。グルメを自称するひとなら、Loose Boxという名前を出すだけで「ああ、あそこね」とうなずくほど有名だったが、何しろ遠い。車で1時間ほどなので、ワインと食事だったらタクシーを使わなければならない。いきおい誰かひとりが酒を断って運転することになる。そんなわけで、わたしは2度しか行ったことがない。その店が「ビストロ・デザルティスト」と名前を変えスビアコに移ってきたという話は聞いていたが、なぜか機会がなかった。スビアコにさえネイルサロン以外の目的で行くのは久しぶりだ。

中は明るい典型的なビストロ風、入って右の壁面が全て鏡になっており、実際より広く感じる。フランス語なまりの強い(つまりとてもチャーミングな発音の)スタッフに前菜、主菜、デザートのセット(75ドル)を注文。どれも10以上の皿から選ぶことができる。メニューを選んでいる間に、パンとバージンオリーブオイルが出てくるのが嬉しい。

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そして、まず出てきたのはAmuse Bouche(アミューズ・ブーシュ)と呼ばれる「付きだし」のようなもの。ジャガイモとブリーチーズのタルトレットで、バターの味が強い。さすが、フランス料理。

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次は前菜だ。
わたしは本日のお勧めになっている「帆立貝のバルサミコソース」。甘く酸っぱいソースが効いていて、帆立貝もちょうどいい柔らかさで美味しい。

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友達は「エスカルゴのプロフィテロール」。プロフィテロールは通常デザートに出てくるものだが、それとエスカルゴの組み合わせが面白い…が、甘い。蜂蜜が入っているらしく、エスカルゴがなかったら、デザートとしても通用するぐらいの甘さだ。ひとくち試してみたが、どちらかというとエスカルゴは、プロバンスのハーブにオリーブオイルという昔ながらの調理法のほうに軍配があがると思った。

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さて、メインは「鴨の胸肉の甘いスパイシーソース添え」。うーん、ちょっと歯ごたえがありすぎ。中はちょうどよいピンク色なのだが、ナイフに力を入れなければならないのは肉の質のせいか、ほんの少し焼きすぎたか。手羽の部分は手で持って食べてしまおうと思ったが、繊維がジャマをして肉が食いちぎれない。さすがのわたしも、ここで断念した。ソースは絶品。ただし、やはり甘い。

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友達のメインは、Loose Boxでも有名だった「牛頬肉の赤ワイン煮込み」。12時間煮込んだだけあって、肉はナイフを使わなくても切れるほど柔らかく味もよい。赤ワインの風味も効いている。ただし、ひとくち食べて「塩」を注文。ひとふりしただけでもっと美味しくなった。塩の分量以外は完璧な煮込み料理。

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さて食べ終わってデザートかと思ったら、カマンベールチーズと洋梨が。濃厚なカマンベールに、新鮮な洋梨がさくさくとからむ。

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そして今度こそデザートかと思ったら、またもお口直しの小さなシャーベットが。こちらは、ミックスベリーにほのかなグランマルニエの香りと味がはさんであり、絶品。

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ようやくデザートだ。出てきたのはわたしの大好きなクレーム・ブリュレ。日本のプリンに少々似ているがはるかに濃厚な味だ。ラズベリーが中に混ぜ込んであり珍しい。

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友達のデザートは、パンナコッタとフルーツのジュリエンヌ。上にちょこんと乗った白鳥の姿のクリームがかわいい。

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で、最後に珈琲(わたしは眠れなくなるのでカフェイン抜きのもの)はマキアート。ここでダメ押しのようにプティフール(小さな焼き菓子)が出てきた。大食いのわたしも、さすがにお腹がはちきれそうだ。コースの途中で少しずつ残しているにもかかわらず。

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サービスも感じがよく行き届いているし、インテリアも素朴ながら上品で素敵だ。土曜日だったこともあり、8時ごろには完全に満席状態。食事を楽しむひとびとのざわめきで、雰囲気もとても楽しい。
今回は前菜も主菜も「甘い」料理になってしまって残念だったので、次回は違うものを試してみたい。

 

スワンヴァレーのLittle River Restaurant

このブログに何度も登場しているワイナリー兼レストラン「リトルリバー」は、パースを初めて訪れた1999年に行った。そのときはまだレストランもカフェもなく、ワイン貯蔵庫の前にテーブルを置いて試飲を提供していた。残念ながらまだそんなに美味しいと感じるワインがなく、甘い食後酒としてのマスカットワインを買って帰ったと記憶している。

ワイナリーを経営するブルーノはフランス・ボルドーの男爵家出身で、元々フランスでもワイナリーの系譜を持っているらしい。そんな彼の作り出すワインは、もちろん深みのあるルビー色をしたシラーズやマルベックなどが主流だ。数は少ないが丁寧に作られたワインを提供していて、わたしはまとめてダース買いをしている。なかでも数年前に最後の1箱を買った2004年のカベルネ・ソーヴィニヨンは、いまだに4本ウチのワインセラーの空調付き貯蔵庫で眠っている。12本買ったのにすでに8本消滅してしまったので、なんとか飲まないで10年待つぞと固く決心だけはしているのだが。

さて、このリトルリバーにはレストランも併設されている。こじんまりとしたビストロだ。ぶどう畑を望むテラスでは、時々ライブのギタリストがはいることもある。メニューは至ってシンプル。煮込み料理には定評があり、ラム肉や鶏肉などが使われている。

まずワイン試飲のコーナーがレストランの一角にあるので、そこでワインを選んでからテーブルに戻ってディップとパンを注文。ワインをちびちびと飲みながらディップを塗ったパンをつまみ、メイン料理の到着を待つ。わたしが注文したのはいつものコック・オ・ヴァン、骨付き鶏肉の赤ワイン煮込みだ。バジル風味のマッシュポテトとサラダがついてくる。ワインは2005年のシラーズだ。料理はまさにこのワインのためにつくられたようなもので、どっしりと深みがあり実に美味しい。ただ、量が多いので全部食べられないことが多い。残念ながら。

デザートはアイスクリームをもうひとりの友達と分け合った。チョコレートソースをかけたバニラアイスクリーム。これには、全員一致で2011年のノーブル・クラシックを飲んだが、さっぱりとしたフレンチ風、マスカットから作られた甘い食後酒はアイスクリームによく合う。

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ここに来るとあまりの居心地のよさにいつも時間を忘れてしまう。そこが他の有名ワイナリーにある気取ったレストランと違うところだ。12時に予約をして来たのに、支払いを済ませて店を出るとすでに3時を回っていた。