ホタテとズッキーニのスパゲッティーで「嫌なこと」を忘れよう

学校で「とても嫌なこと」があったので、白ワインを飲んでいる。北イタリアのピノ・グリージョTiefenbrunner(ティフェンブルナー)だ。
ついでに前菜として生ハムも食べている。生のパスタを作りながら。

あとは酔っ払わないうちにこれを帆立貝とズッキーニのスパゲッティーにしなきゃねえと考えたが、まだ5時だったのでもう少しワインを注ぐ。

6時まで待ったらもういい加減イイキモチになってしまったが、それでも包丁を使ってニンニクとチリを切り刻み、大鍋に湯を沸かす。フライパンにオリーブオイルをたっぷり熱し、ニンニクとチリを炒める。いい香りだ。

その間に、ズッキーニをスライスしてから細切りに。ニンニクを焦がさないように、香りが強くなったフライパンに加える。塩コショウをパラパラと。

混ぜている間に別のフライパンを熱して、ほんの少しのオリーブオイルで塩コショウした帆立貝を両面しっかりと焼く。そして、もう1杯ワインを注ぐ。いや、フライパンにではなくわたしのグラスに。

そしてグラグラと煮立った湯にスパゲッティーを入れて、大体3分ぐらい。生パスタだから、アルデンテになるのは早いのだ。
その間に帆立貝をズッキーニのフライパンに入れ、ざっと炒める。スパゲッティーを茹でている鍋からコップ1杯の茹で汁を入れるのを忘れないように。これでソースがねっとりするのだから。

ここに茹で上がったスパゲッティーと大量のイタリアンパセリいを全部入れて混ぜ合わせると…できあがりだ。

ホタテがぷりぷりとしていて美味しい。こんなふうに作れる即席スパゲッティーも軽くていいもの。

嫌なことがあったら、美味しい酒を飲んで美味しいゴハンを食べて寝てしまうに限る。これが1番。
朝になれば少し忘れているから。明日の晩になればもっと忘れているから。そして、1週間たったらもう過去のことになっている。

だからあまり愚痴は言わない。何十年も生きていれば「嫌なこと」も沢山経験してきたけれど、愚痴は語ることによってもう一度体験する「嫌なこと」だからだ。それよりは、明日あるかもしれない「楽しいこと」を考えるほうがいい。

今晩は美味しいパスタと香りのいいピノ・グリージョでお腹いっぱい、ほんのりといい気持ちのままぐっすりと寝たい。

再び、Kiri Japanese Restaurantへ

イギリスから友達夫婦が来ていて、「美味しい日本料理を食べてみたい」というので、彼らが帰る前にシェントンパークのKiri Japanese Restaurantに「おまかせ懐石コース」の予約を入れてもらった。このレストランにはわたしの誕生日ディナーで友達何人かと一緒に訪れたことがある。

シェントンパークの Kiri Japanese Restaurant

今回はもちろん「夏の懐石料理」とのことで、メニューは全く違うと言われていたので楽しみにしていた。

まず出てきたのが、食前酒としてのユズ酒。懐かしいユズの香りが心地よい甘いお酒だ。

続いて出てきたのは先付け。揚げたスナッパー(鯛の一種)、玉ねぎ、チャイブの甘酢仕立て。パプリカのグリル、シラス、鰹節としょうがに旨味だし。甘辛牛肉のアスパラ巻き。繊細な味付けで、白ワインがすすむ三品だった。

次のお椀はおすましで、柔らかい鴨、コールラビ、焼きネギ、そして茶そば。ユズの香り高いペーストが上に添えられている。ほっとする味。

お向の刺身は、シェフの選んだ新鮮な七種盛りだ。

別盛りで、アワビと帆立貝も添えられた。アワビなんて本当に何年ぶりだろう。美味しい。

お次は焼き物。ナナガイの焼き魚にウナギ。写真がぶれてしまっていて恐縮だが、炭の香りがほんのりとただようしっかりとした魚肉に、ここずっと食べたことがなかったウナギが美味しくて、思わず声が漏れた。

おしのぎは変わっている。自分で皿の上で混ぜるポテトサラダだ。マッシュされたポテト、赤玉ねぎ、セロリ、アボカド、枝豆。そして小さな木製スプーンにはユズの汁、自家製マヨネーズも添えられ、ピスターシオが散らしてあった。こういうミックスもあるのだなあという新しい発見。色々と混ぜてみると、複雑な味わいで楽しい。

メインは本当なら四つの中からひとつを選ぶはずなのだが、今回は小さめにして三品出してもらった。
まずは、イクラを載せた焼き鮭のユズぽん酢。

ヒラマサの煮魚。

そして、大海老を使ったエビ天丼。各種漬物も添えられていた。

ここまでで、わたしたち四人は持ち込みの白ワインを三本空け、さらに追加の白ワインを一本注文していた。酒豪揃いである。

水物は各種フルーツ。ミカンのゼリー、そしてラムレーズンのクッキーサンドだった。さっぱりとしていて、懐石の最後にふさわしいデザートだった。

パースでは正統派の懐石料理を出す日本料理店は少ない。オーストラリア人の好みに合わせ、大皿で現代風のフュージョン料理を出す店が最近では多くなってきた。それも嫌いではないが、やはり時々こうした繊細な味と色と器の共演を楽しみたい。
そして、Kiriではまたも期待を裏切らない料理でもてなされ、わたしたちは満足の笑みと心地よい酔いに身を任せて帰宅したのだった。

「フランスの」鶏肉煮込み料理:プーレ・シャスール

「フランスの」を強調しているのにはわけがある。
実はこの料理、以前にもブログ記事にしたイタリア料理「鶏肉のトマト煮込み:ポロ・アラ・カチャトーラ」のフランス版なのだ。

鶏肉のトマト煮込み:ポロ・アラ・カチャトーラ

ポロ・アラ・カチャトーラのほうは、以前某レストランに写真をコピペされ、Facebookの記事に抗議したら、次の日にFacebookのアカウントごと削除された。

これってワタクシの撮った写真では?

ま、そんないわくつきの料理だが、冬になると今でも作る料理だ。ひとを招待したときにも作る。豪華にみえるけれど、簡単なので。

ところが、一度ウチに招待したことのあるフランス語教師が「あれー、わたしもこの料理知っているよ。ママンが時々作っていたもん」と言うので、レシピを訊いたことがある。

そして、次に頂いたのは某SNSで「オーストラリアで買った即席チキン・シャスールの美味しさが忘れられない」というメッセージだ。

Polo alla Cacciatora(イタリア語)
Poulet Chasseur(フランス語)
Chicken Chasseur(オーストラリア英語)

どれも同じ料理のことだ。ただしオーストラリア人は英仏ミックスの命名だ。フランス語の発音に疎いひともいるので、友達にこの料理のことを訊いたら「チキン・チャッサーのこと?」と言われて笑いをこらえるのに苦労した。なるほど、英語だとこういうふうにも読めるんだ。だが、オーストラリア人の名誉のためにも、チキン・シャスールときちんと言うひともいることを付け加えておく。

今回はそのフランス人教師のお母様のレシピで作ってみた。だから、ポロ・アラ・カチャトーラではなく、プーレ・シャスールのほうである。

わたしは丸鶏を買ってガンガンと叩き切るけれど、日本だったら骨付きのぶつ切り、つまりドラムスティックなんかいいのではないか。塩コショウしたこのぶつ切りに、小麦粉をはたいておく。ビニール袋に全部いれて、グニョグニョするだけ。

オリーブオイルを熱したフライパンで焦げ目をつける。

わたしはル・クルーゼの厚手鍋だけれど、普通の鍋でもいい。そこに入れておく。

次に煮込み汁をつくる。スライスしたマッシュルーム、刻んだエシャロットとニンニク、タイム、ローリエをオリーブで炒め、塩コショウし、白ワインを1カップほど加え、ブランデーを少し足す。どぼ、ぐらいかな。ついでに、わたしにも少し白ワインを足す。

アルコール分が飛んだら、すかさずトマトピュレーを加える。

実はわたしはオリーブオイルで炒めてしまったので、ここでバターを加えた。いや、フランス料理の常でやはりバターは必需品。

混ざったら、最後にチキンストックを500mlぐらい加える。

そして、焦げ目をつけておいた鶏肉に煮汁を入れ…

後はコトコトと煮込むだけ…だが、フランス人はこのままこのル・クルーゼを180度に温めたオーブンに1時間ほど直接蓋をしたまま入れてしまう。このほうが焦げずにまんべんなく火が回るからだという。ただしコンロでも、もちろんできる。焦げないように弱火でコトコト1時間だ。

できたけど、皿に盛ってしまってから気づいたので中身が1/3に減っているル・クルーゼ鍋。

付け合せにはインゲンとジャガイモを茹でた。

肉はホロホロと骨から外れ、柔らかい。汁は旨味がたっぷりと出ていて、皿はもちろんパンを使って最後の一滴まで拭き取らなければならない。

ああ、美味しい。