西オーストラリア南西部の小旅行:アルバニーからデンマークへ

学校があるときと違ってぐっすり眠れた朝は、お腹がすいて目覚めた。

さっそく近くのカフェKate’s Placeで朝食を注文。カップかマグかと訊かれたので「マグで」と答えたら、カップの量の倍ぐらいあるフラットホワイト(オーストラリアのミルク珈琲)が来た。一緒に頼んだミューズリーも片手にずっしりと重い。ギリシャヨーグルトを混ぜてから、もう少しゆるくするためにミルクも足してみる。ギリシャヨーグルトは水分が少ないのだ。半分食べてもまだこんなに残っている。さすがにお腹がいっぱいになり、ずいぶん残してしまった。オーストラリアはなんでも量が多く、「小」と「大」をつくってくれないかなあといつも思う。

外に出たら、カフェの前にこんな看板が出ているのに気づいた。

Anger Managementというのは「怒りを抑制するためのセラピー」のことだ。「すぐ怒り狂うひと」が多くなった最近流行り始めたセラピーだが、これに引っ掛けて「珈琲:怒り抑制セラピーは高すぎるので」と書いてある。そうだね、珈琲のほうが安いよね。

こちらはそのカフェの正面にある西オーストラリア大学アルバニーキャンパス(分校)。港町アルバニーだけに、海洋学や海洋生物学などの水に関する学部が多い。

そのあとは日曜日だけ開いているボート小屋マーケット(Boat Shed Market)に行ってみたが小さくてあまり見るものもない。そのままデンマークに直行することにした。

デンマーク(Denmark)はヨーロッパの国ではなく、アルバニーから50キロほどの海岸沿いの町だ。ワイナリーも多く、昔一度だけ泊まったこともある。途中は牛の放牧があって、のどかだ。ただし、天気は依然としてあまりよくない。午後から晴れると天気予報にはあるが、さてどうなることやら。

デンマークのWilloughby Park(ウィロービイ・パーク)は2010年創業で比較的新しいワイナリーだ。

ここはリースリングが有名なのでこちらを試したら、おお、美味しい。伝統的なフレッシュな酸味のものもあるけれど、2016年のIronrock Rieslingは酸味がまろやかでライムの香りがあまり後をひかない飲みやすさ。賛否は分かれるかもしれないけれど、わたしはこのちょいと変わったリースリングに惹かれた。もうひとつは2017年のKalgan River Pinot Noir。スパイシーで果実の香りがふくよかなワイン。あと2−3年寝かせたほうがいいかもしれない。今回はこのふたつを2本ずつ購入。

試飲をしていたら、あとから日本人女性とオーストラリア人男性のカップルがはいってきて、「こんにちは」と言ったらずいぶんビックリされた。ここらへんはあまり日本人はいないらしい。

次はカステーリ(Castelli)というワイナリーへ。残念ながらここはレストランに委託された試飲コーナーで、直接経営されているわけではない。だからなのか、ワインをそのレストランで注文すると10ドル加算される。通常ワイナリー併設のレストランでは2−3ドルだ。ワイン自体は可もなく不可もなしだった。ただしここには宿泊施設として5部屋あり、朝になったら素晴らしい景色が楽しめそうだ。朝食付きで約200ドル。

さてCastelliを出て、デンマークの町から数キロの海辺を望む展望エリアへ。途中で道をそれて小さな船着き場でひと休み。桟橋には鳥が2羽とまっているし、右前方にはちいさくペリカンが泳いでいるのが見える。のどかだ…。

車で20分ほど行くとすでにオーシャンビーチだ。観光客たちの姿も見える。下を覗くと東に雄大な景色が広がっていた。引き潮なのか、広い砂浜にはサーファーらしきひとたちの姿も小さく見える。

こちらは西側の南極海の景色。晴れ間が見え始めている。南極はこの波の向こう、はるか彼方に続いている。

時計はそろそろ3時を回り、お腹もすいてきた。帰りにワイナリーに寄って食事とワインを楽しむつもりなので、美しい景観をあとにして出発だ。

(旅から戻ってからブログ記事にしたので実際に書いたのは4月21日だが、日付は旅の日付に調整してある)

西オーストラリア南西部の小旅行:マウント・バーカーのPlantagenet

諸事情あって、今回の学期休みはバンコク行きをキャンセルした。
となると、やはりまとまった自由時間があるならば小さな旅がしたい。5日ぐらいなら何とかなるので、オーストラリア南西部、つまり西オーストラリア州南下の旅に出発することにした。

アルバニーへは、わたしの家の近くを通るAlbany Highwayを車で一気に南下すれば4時間40分ほどの旅だ。何度も行ったことがあるが、パースよりも涼しくこじんまりとした美しい港町で、周りにはワイナリーも沢山ある。

10分も走るともうこんな感じなので、パースが田舎道に囲まれていることがわかる。

アルバニー「ハイウェイ」とは言うものの、高速道路ではないので、こんなふうなのどかな道が4時間以上続く。ただしほとんどの道が制限時速110キロで、何十キロも何もない。店もガソリンスタンドも看板もない。だから、パースでガソリンを満タンにするのは鉄則だ。時々電話さえ通じない地域も通るので、そういう場所で車がエンコしたら大変なことになる。昼間ならまだ車も通るが、これが夜となったら真っ暗闇である。道を照らす街灯すら全くない。

180度に広がる青空と平坦な広野を見ながら走り続け、トイレタイムも入れて4時間半。ちょっと休もうということになり、マウントバーカー(Mount Barker)に立ち寄った。
ここは西オーストラリア最大の「放し飼いの鶏(Free Range Chicken)」を供給するエリアだ。オーストラリアでは放し飼いの鶏が産んだ卵(Free Range Eggs)のほうが、狭い棚に詰め込まれて突き合わないようにクチバシを切られた鶏の卵より多くなってきた。わたしも実は卵と鶏肉はこのFree Rangeしか買わない。
ちなみに、日本で売られているのはそのほとんどが「棚生活の鶏」の卵だ。そして安い。「味」にこだわる高級卵もあるが、棚生活の鶏たちの実情はあまり知られていないようだ。放し飼いの鶏とのあまりの生活の違いにびっくりすると思うのだが。

さて、このマウントバーカーにはわたしの大好きなプランタジェネット(Plantagenet Wines)というワイナリーがある。この西オーストラリア西南部のワイン開発においてはパイオニアと呼ばれ、中規模ではあるが高品質でエレガントなワインを供給しているので有名だ。

1974年のヴィンテージで評判をとったのがこのカベルネソーヴィニヨンのボトル。1968年に種から植えたブドウから作られた、初めてのプランタジェネット・ワインだ。

昔は小さな宿泊施設を持っていたこともあるが、今はワイン試飲とその横に小さなカフェがあるだけだ。カフェと言っても、もちろん買ったワインを飲むことができる。このカフェのTasting Platter(ワインのつまみ)が素晴らしかった。

放し飼い鶏のスモークハム、低温スモークの鮭、チョリソー・ソーセージ、地元のチーズ2種、ピクルス、ジャム、地元オリーブのタペナード、プラム、りんご、ブドウ、そしてクラッカーとパン。合わせたのは2016年House of Plantagenet ‘York’ chardonnay。シトラスと甘いピーチの香りでまろやかなシャルドネだった。

そのシャルドネを半ダース(5−7年寝かせられるワイン)、2013年シラーズを3本(数年寝かせるべきワイン)、2009年カベルネ・ソーヴィニヨンを3本。最後の3本は「今から2年後まで」が飲みごろなので、まろやかで上品な味と香りだが現在ではレストランにしか卸していないそう。つまり「早く飲め、今が飲みどき!」ということらしい。全部で1ダース買ったので、無料でパースまで送ってもらえる。

マウントバーカーから今日の宿泊地であるアルバニーまでは約50キロ。アルバニーに着いた夕方には、すでに曇り空になって気温も一気に下がって16度ほどだ。日本と反対の南半球では「南下」すれば気温が下がるのだ。なにしろ南極に近くなっているのだから。

そのままホテルに直行して仮眠をとり、シャワーを浴びて軽い夜食をちょいと雰囲気のいいバーで…と思ったのが間違い。

古いホテルをそのまま使った内装は古めかしくて素敵だったが、料理がひどい。どう考えても「アジア料理」を食べたことのないシェフなのか、味付けが何もかも酸っぱいのだ。季節の野菜のオイスターソース炒めもイカの揚げ物も全てレモンをたっぷりとたらしてあり、なんだこりゃというシロモノだった。それに、醤油とレモンだけで味付けされた蟹肉(ほんの少し)入りアジア風ヌードルがなんと3000円近くする。ネットで調べた情報をたよるとこういうこともある。
残念。

(旅から戻ってからブログ記事にしたので実際に書いたのは4月19日だが、日付は旅の日付に調整してある)

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マーガレット・リバーへ:3日目の陶器窯巡りとVasse Felix

3日目は起きたら喉が痛い。非常に喉がヨワイ体質なので、これで扁桃腺炎を起こすとすぐに熱が出て大変なことになる。まずいぞ、まずいぞ。
熱いお茶と薬で、何とか3日目の帰り道。

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最初に寄ったのはOLIO BELLO(オリオ・ベッロ)というオリーブオイルの店。ウチの庭にも3本あるオリーブの木だが、残念ながらオリーブはかなり面倒な加工をしないと食べられたものではないし、オリーブオイルに至っては作り方さえ知らない。そんなオリーブの専門店には、様々なオリーブオイルとオリーブ、ディップ、石鹸、ローション、そしてカフェまで併設されている。朝のうちに寄ったので、あまり客もいない…と思ったら15分ほどで次々と車が止まり、観光客が押し寄せてきた。さすが週末だ。

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ここでは、スタッフの説明を受けてオリーブオイルのお試しもできる。作ってから1ヶ月もたっていないOLIO NUOVO。色々と試してみて、結局カラマータ種の新作を購入。まだ濁っているオリーブオイルで、味はもっとゴツゴツしていて強い香りを持つ。1ヶ月ほどこのまま使えるが、その後は下に沈殿したものを浮かさないようにしてそっと他の瓶に移し替える。そのための小さい瓶もつけてくれた。これは、しばらくパンを食べるときにちょっとつけるために使おうと思っている。

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実はここでは、自分の家の庭でできたオリーブの実を持って行くと、オリーブオイルに加工してくれるというサービスもある。ものすごく心を動かされたが、まさかマーガレット・リバーまで270キロ車で戻るわけにもいかない。もしかしたらパースの近郊スワンバレーにもそんなサービスがあるかもしれないので、探してみようか。

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次に訪れたのは、今回やはり是非行ってみたかったVasse Felix(ヴァス・フェリックス)のワイナリー。広大な敷地には英国風庭園もあり、鳥たちのさえずる林もあり、時間があればぜひ散歩してみたい場所だ。

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日曜日だったこともあり、家族連れの観光客が目立った。さっそく、ワイン試飲に訪れてみると…人混みがすごくてカウンターがぎゅうぎゅう詰めだ。ここでランチを…などと思っていたのだが、訊いてみるとなんと金曜日から明日の祝日月曜日まで満席状態だと言う。さすが週末の大御所ワイナリー。

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やっと空いたカウンターの片隅で試飲をしたが、結局買ったのは2013年Chardonnayを1ケースと、あとは当たりの2014年Sauvignon Blanc Semillonを6本、そして、ひとくち含んだだけでわかる力強いシトラスの2013年Heytesbury Chardonnayを6本。2013年Chardonnay以外は、どれも3年は「おあずけ」と言われたが、果たしていつまで持つのか。ケースで買ったので、こちらは無料で配達してもらえることになり、荷物が増えることなく助かった。
今回は白ワインが多いが、マーガレット・リバーはいずれにしろ白が美味しいし、白ワインは夏にかなり消費したので、セラーにもあまり残っていない。ま、少しぐらいは家にないと安心できない…という言い訳のもとに。

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そのあとは、北上する道沿いにある陶芸家たちの窯巡りを。
最初に訪れたのはWillyabrup Dreaming。陶芸家Bill Miklejohnは、林の中でひっそりと陶器を焼いているひとだ。自分でつくって自分で売る、という生活を20年以上続けている。貝の形の陶器で名を知られているが、昔はその美しい「青」を出すためにわざわざ英国から「骨」を取り寄せていたらしい。今では、近くでカンガルーの骨が手に入るので、それを使っているとのことだ。素朴な笑顔でゆっくりと話すが、説明は的確で西オーストラリアの陶器事情にまで及ぶ。

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わたしが買ったのは、汁物を食べるための深い器をふたつ。深い丸みが素朴で両手にすっぽりはまるぐらいの大きさだ。

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もうひとつは、細長い皿。こちらはもっと深みのある青で、骨の形をかたどった模様がおもしろくて買った。寿司や前菜を並べるのにピッタリだ。

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次はHapps PotteryというすでにDunsborough(ダンズボロ)に近い陶器店。ワイナリーも併設されているが、観光客がバスで訪れていて、またもやカウンターがまるでバーゲン会場になってしまっているので陶器だけを見て店を出た。サラダボウルにしようと思って購入したのは、やはり青の模様が面白い大きな鉢。

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そのあと、どうしても行ってみたくて探したのがSENSEI POTSという陶芸家の窯。ものすごく遠くて段々と森の奥まで入り込んでしまい、本当にこんなところに家があるのかと心配になったくらいだが、30分ほどそんな道を走ったらやっと見つかった。Ian Benistonの陶器は、銅を混ぜたその美しい「赤」で名が知られている。Vasse Felix(ヴァス・フェリックス)ワイナリーのレストランで使う陶器は、全て彼の手作りだ。レストランと長いこと話し合って、デザインと色を決め、500以上の皿を納品したという。ずっしりと手に重いその陶器の皿や壺の数々は、赤と青の色の鮮やかさに圧倒される。好みのディナーセットも注文できるが、これは財布と相談しないとなあ…。

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わたしが買ったのは、こちらの深皿。ほんの少し鮮やかな赤の入った、パスタや煮込みなどが映える色合い。形が変形四角で丸みを帯びていて、一目で気に入った。そう言えば、彼の作品の裏には「イアン」と片仮名で署名がしてある。SENSEIという名前の由来を訊こうと思っていたら、客がどやどやと入ってきたためにちょっと訊きそびれてしまった。残念。

そのままBanbury(バンバリー)まで行ってパブで軽いランチをとり、一気にそこから170キロほどパースまでドライブだ。夕日を左手に見ながら北上。

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帰って車から出るか出ないかのうちに、すでに家の中から猫たちの鳴き声がしている。夜はキャットシッターを頼んでいなかったので、6時半すぎてからの「ごはん」のせいか、ドンドンとドアまで叩いての催促だ。
ひと通りの「儀式」が済んだら、今度は自分がお腹がすいていることに気づいた。あれだけ飽食の3日間を過ごしたというのに、やはり夜になればお腹がすく。

どうしたかと言うと…いつものベトナム料理店(Viet-Hoa)で優しい味の海鮮ホーファン。こってりの食事が続いていたので、やはり食べたいのはこんな感じの野菜たっぷりアジア風になってしまう。

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さて、何度も言い尽くされた言葉なのだろうけど、楽しい時間はあっと言う間である。名残惜しいぐらいがちょうどいいと自分に言い聞かせてはみても、やはり一抹の寂しさが残る。
ただし、ほんの少し日常から離れてみる旅の楽しさを、最近忘れていたのに気づいた。それだけでも収穫かもしれない。

また、どこかに行ってみたい。