It Had To Be You…

先月、バンコクから買ってきたこの一枚。ロッド・スチュアートの “It Had To Be You – THE GREAT AMERICAN SONGBOOK”である。
テ レビのトークショウにナタリー・コールとともに出ていたので、いや彼も年取ったなあ、と感慨深げに見ていたら、番組の最後にデュエットで1曲歌った。それ がこのアルバムのタイトルにもなっている往年のスタンダードジャズ”It Had To Be You”である。40を過ぎてますます磨きのかかったナタリー・コールのベルベットのようななめらかな声で始まった曲、さあロッド・スチュアートどうもっ ていくか、と思ったら、なんと完全にナタリー・コールを食ってしまった。
あの例の独特のしゃがれ声は、彼の年とともにいい具合に枯れてきていた のだった。笑みを含んで軽く流しながらも、そのリズム感と間のとり方は洗練の極みであり、とても若者にはまねのできない風格がある。派手な服に身をつつん で叫び、舞台を走り回る「ロックの王者」と呼ばれた昔が想像できないくらいだ。

さっそく買ってきたアルバムは、全曲すべてどこかで聞いたことのあるスタンダードジャズばかりだが、囁くようにそして語りかけるように静かに流れる曲は、大人の時間と空間にとてもよく似合っている。

英語と外国語

懐かしいひとから電話がかかってきた。
ここ半年ほど連絡のなかった教師仲間だが、なんとパースではなく車で4時間ほど南下した町で、非常勤講師になっていた。今年イッパイの契約だから年末には戻るけどね、とのことである。もう子供たちを教えるのは疲れたよ、と言う彼は、来年また大学院に戻るらしい。
田舎での語学教師は大変だ。都市に比べると、外国語を学ぶということがまだまだ必修としてひとびとの心には浸透していない。ましてや、英語すらまんぞくに読み書きのできないアボリジナルの子供たちに、どうして見たこともない国の言葉を学ぶ意義を納得させられるだろうか。

昨年、子供たちのテストの添削をしていて、英語のミススペリングに辟易したことを思い出した。英語も日本語も訂正していたら、次の日になっても添削は終わらなかっただろう。それほど、ひどい。なるほど、クラスの中で必ず何人かは、英語の補習に通っている新移民の子女だ。
しかし、教師になるためには、英語を母国語とする豪州人言えども、外国人と同じく英語の試験に合格する必要があるという事実から、いかにまともな英語を書けるひとが少ないかとため息のひとつもつきたくなる。
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午後遅くにお茶をいれてパティオに出たら、小さな花が満開。友達が1月末にくれた苗木を植えておいたものだが、なんの手入れもしないのに、あれよあれよという間にカラフルな一角になってしまった。
しかしこの花、一体なんて名前なんだろう。

白い背景によくうつる本

友達との約束までまだ時間があったが、天気もよいので開いている本屋で時間をつぶす。そこで手にとったのがこの本、”Museum of Hoaxes” Alex Boese, 2002 Penguin Books。「悪ふざけ博物館」と名づけられたその本は、世界各地から集められたデマ、ウソ、冗談の数々が年代順に整理され、悪ふざけの大好きなわたしは 迷うことなくレジへ。
家に帰ってぱらぱらとめくってみたら、ホームページまであるらしい。作者、というより収集者はカリフォルニア大で科学史の博士論文執筆中、その研究の一環として始めたのがこのホームページらしい。こういう冗談みたいなリサーチもあるのか。楽しそうだな、大学院。

メディアによるエイプリルフールの嘘八百もかなり載っている。
1957年の英国ニュースショー「パノラマ」では、異常暖冬の南スイスで「スパゲッティ」が大豊作となったと発表。ご丁寧に、シダレ柳のように木の葉の間から垂れ下がる生スパゲッティを収穫、バスケットに入れる女性の写真まで出した。
「スイスでのスパゲッティは、イタリアでの大規模な産業とは違い、家族単位の小さなものなり」「しからば、我々スパゲッティ愛好者にとり、自分の庭で作る生スパゲッティに勝るものありや。」
ここですでに大笑いするのは現代のわたしたちだが、50年代のイギリスとなるとそうはいかない。テレビ局にはじゃんじゃんと電話がかかり、どこで「種」だの「苗木」だのを買えるかという問い合わせが殺到したそうである。
その番組のカメラマンのひとりが思いついたアイデアだったそうだが、そのヒントとなったのが彼の高校時代の教師の言葉だったらしい。「君は、スパゲッティが木に生るって言われても信じちゃうくらい、ほっっんとうにバカモンだ。」

この話を友達の台湾人にしたら、「そのカメラマン、よく解雇されなかったね」と逆に感心されてしまった。エイプリルフールの育つ環境ってのは、きっとあるのだ。

もっと腹かかえたい方々、ホームページ Museum of Hoaxes(英語)までどうぞ。