鶏肉の丸ごとマリネロースト

小さなエッセイ「垂涎の日々」にも一度書いたが、このごろでは友達の影響もあって「庭駆け回る鶏」しか買わない。ブロイラの引き出しで育った鶏ではなく、freerangeと呼ばれる放し飼いだ。肉にきっちりとしたシマリがあって、鶏肉以外の匂いがしない。
今 日は友達がちょうど遊びに来ていたこともあって、どう調理しようか迷っていた丸ごと鶏を、2時間ほどマリネしてからパティオのグリルでバーベキューに。こ れに、オーブンで焼いたローストベジタブルサラダとパンを添えたら、かんたんで素朴な夕食メニューの出来上がりである。

抵抗出来ない生牡蠣

近くの魚屋さんでは、常連客である。外でその店のオネエサンたちが煙草を吸っているところを通りかかると、ニコニコと手を挙げて挨拶されるくらいだ。
今 日も今日とて、スーパーの帰りにウィンドウから覗くと、美味しそうな生牡蠣がずらっと並んでいる。これにきゅっとレモンを絞って、白のシャルドネでもく くっと飲んだら美味しそうだな、と思ったらもう我慢できない。普段は、週末マーケットで殻の開けていないのを買ってくるのだが、まあこの店のははずれたこ とがないのだ。
さっそく1ダース頼んで包んでもらうと、「レモンもいれときましょうね」と籠に山盛りになっていた大粒のレモンを3つほど放り込んでくれた。まだ枝と葉のついているものも籠にある。「店主の家が大豊作だったのよ、今年」と言って、オネエサンは笑った。

It Had To Be You…

先月、バンコクから買ってきたこの一枚。ロッド・スチュアートの “It Had To Be You – THE GREAT AMERICAN SONGBOOK”である。
テ レビのトークショウにナタリー・コールとともに出ていたので、いや彼も年取ったなあ、と感慨深げに見ていたら、番組の最後にデュエットで1曲歌った。それ がこのアルバムのタイトルにもなっている往年のスタンダードジャズ”It Had To Be You”である。40を過ぎてますます磨きのかかったナタリー・コールのベルベットのようななめらかな声で始まった曲、さあロッド・スチュアートどうもっ ていくか、と思ったら、なんと完全にナタリー・コールを食ってしまった。
あの例の独特のしゃがれ声は、彼の年とともにいい具合に枯れてきていた のだった。笑みを含んで軽く流しながらも、そのリズム感と間のとり方は洗練の極みであり、とても若者にはまねのできない風格がある。派手な服に身をつつん で叫び、舞台を走り回る「ロックの王者」と呼ばれた昔が想像できないくらいだ。

さっそく買ってきたアルバムは、全曲すべてどこかで聞いたことのあるスタンダードジャズばかりだが、囁くようにそして語りかけるように静かに流れる曲は、大人の時間と空間にとてもよく似合っている。