はじめまして、ゆきちゃんです

もらってきてから数ヶ月の間は大変おとなしく、車に乗せた時以外は全く鳴かない猫だった。

ところが、このごろわたしと家に馴れてきたのか、ご飯が欲しいと いっては「ふぃ~んふぃ~ん」と呼びかけ、退屈だといっては「ふぇ~んふぇ~ん」と鳴く。足にまとわりつき、身体をすりつけ、デスクに飛び乗ってマウスと わたしの指にじゃれる。
ちょっとでも寝坊すると、胸に飛び乗り、息が感じられるほど近くからわたしの顔を覗き込んでごろごろと喉を鳴らす。これでは、息苦しくてうるさくて、寝ていられるわけがない。

10 週間に一度タイに戻るが、その時は有料キャットホテルにあずかってもらう。猫愛好家団体の経営する場所なので、まるで「保育園」のような雰囲気、初めて 行ったときにはかなりとまどった。ボランティアの「保母さん・保父さん」が事細かく食事や習慣についてメモし、「はい、じゃあお母さんにバイバイしましょ うね~。1週間だもん、がまんできるよね~。」などと猫とおしゃべりしながら奥に消えていくのだから。
そんなキメ細やかな世話にもかかわらず、毎度少し痩せ、帰ってくるとがつがつと食べ始め、そしてその晩は下痢をする。下半身長毛種の白猫が下痢をしたらどういう状態になるのかは、ご想像におまかせするが、いやがる彼女を洗うわたしの手はもちろん傷だらけだ。
ため息をサンザついたあと、わたしの静かな夜は、やっと落ち着いた彼女をゆっくりゆっくりと愛撫しながら、更けていく。愛撫するものもされるものも、顔に満足気な笑みを浮かべながら。

スロウ・フード

日曜マーケットからの帰りに立ち寄るアイスクリーム屋さんで、今日はレモンシャーベットを買う。果肉と皮がふんだんに入り、すっぱくて甘い。
日曜日ともあって普段より混みあい、しかし皆ニコニコと大きなアイスクリームをなめながら、店をでる。「年寄りも子供も貧乏人も金持ちも、大好きなアイスクリ~ムを食べりゃあ、み~んな同じハッピィ」と、友達が歌うように呟いた。

このところ、マクドナルド・ハンバーガーに代表されるファストフードという言葉に対抗して、「スロウフード」が新しい波となりつつある。
もちろん辞書にも載っていない造語だが、世界中どこに行っても同じ味のチェーン店の味気ない「簡易食品」を離れて、自分で手間隙かけて作る料理の価値を見直そうという動きだ。
手 間暇かけたというにはあまりにいい加減ではあるが、今日の晩御飯は「豚かたまり肉のスロウロースト」。スパイスとハーブを塗りたくって裏表こんがりとフラ イパンでこがしたら、あとはぶつ切りにした野菜とローズマリをたくさんぶち込んでオーブンでコトコトと2時間。骨付き肉を買えばよかったなあと思ったけれ ど、こちらの巨大な3kgの「棍棒」にオソレをなして1kgほどの塊にしたのが小さなマチガイ、出来上がりはスライスするどころかホロホロと肉が離れてま あ見栄えのよくないこと。その代わり、脂ののった肉は、にじみ出た肉汁にからまって口の中でとろけるほど柔らかい。

煙草を持たない散歩

雲ひとつない青空を見上げてしまったら、出かけないわけにはいかない。皮膚癌にならないように、とオマジナイのSP50ローションを塗りたくり、てらてらと腕を光らせながら歩く、歩く。

近 くの公園までたどり着いて、木陰から鴨の群れを見ていたら、アボリジナル人(豪州のネイティブ人種)のオジサンに声をかけられた。「煙草もってないかね、 おじょうさん。」 煙草をやめてすでに4ヶ月、ベンチに座って吸っていたわけでもないのに、びっくり。「もう何ヶ月も前にやめたから、持ってないの」と答 えると、「「いや~、前にここで、煙草を吸っていたのを見たから」だと。いやに記憶力のいいオジサンだ。。。喫煙人口が極端に少なくなった豪州では、煙草 をせがめるひともあまりいないというわけで、吸っている顔はめったに忘れないらしい。

そう言えば、喫煙者を登録制にして、煙草を買うのにカード提示させるようにしよう、なんて動きがある。すでに喫煙常習者であるという医者の証明書を提出、 そして発行されたカードを携えてコソコソと「後ろめたく」煙草を買わせれば、喫煙人口も予備軍も少なくなるだろう、というアンチ煙草主義者の団体が勧めて いる運動らしい。そこまで貶めなくても。。と思うのは、今だに口も指も寂しい元スモーカーの「過去弁護」かな。