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「触っちゃイケマセン」とクレオパトラのミルク風呂

昨日の市場の片隅にあった看板。オソロシク下手くそな絵だが、危ないってことだけは字が読めなくても大変よくわかる。

びりびりびりびり。

休暇最後の夜、久しぶりに浴槽にお湯をためて自家製**「クレオパトラの風呂ミックス」をたらし、蝋燭をつけてみる。普段は、早朝のカラスの行水で目を覚ますだけだが、ゆらゆらとする蝋燭を眺めながら熱い湯に身体を沈めるのも、たまにはいい。

しかし、こちらのバスタブは浅くて平たい(しかも長い)ので、アタマだけ出してすっかり湯に浸かるには寝そべらなければならない。足がアチラ側に十分届くほど背が高いなら安心していられるだろうが、両脇にしっかりつかまっていないと、オシリがつるんとすべって溺れそうになるのがリラックスを少々さまたげる。しゃがんで入れる和風浴槽が欲しいなあ。
まあいきなり絶世の美女になって風呂から上がれるわけでもないが、少なくとも明日の「戦場」(=教室)に備えて、よく眠れそうだ。

**「クレオパトラの風呂ミックス」**
お風呂好きなひとのための簡単に作れるレシピ。(飲まないでください。こんなもの口にしたら、下痢します。)
ヴァージン・オリーブオイル 半カップ
牛乳 2カップ
ジャスミン アロマオイル 3滴
ローズ アロマオイル 2滴
サンダルウッド(白檀)アロマオイル 2滴
ミネラルウォーター 2カップ
泡立て器を使って牛乳とオリーブオイルを混ぜる。
アロマオイルを一滴ずつたらしながら、混ぜる。
熱い風呂に全て流し込む。

葬式を実況中継で

灼熱地獄の夏から一転、「日陰に入ると涼しい」のが嬉しい。
日中25度−30度、日没後15−18度の気温は、真夏と真冬を除けば、ほぼ1年の半分以上の平均である。空は相変わらずぽか〜んと抜けるように真っ青だし、空気も澄んでいる。
絶好の散歩日和になったので、朝のうちに、以前住んでいたアパートの近くに車で行ってみる。ここには、小さな墓地があるのだ。土曜日ということもあって、ちらほらとお参りのひとの姿も見かけるが、この生者と死者の「無言の共存」という空間が、わたしは何故か好きである。
最近話題になったが、パースの二大墓地が、オーストラリアで初めて葬式ウェブキャスティングのサービスを始めた。1時間あまりのチャペルでの葬儀の模様を、インターネットで実況中継するのだ。
配信は、あらかじめ時刻とパスワードを記したメイルで通知されるので、地方や外国に住む親戚、知人も同時刻にネット上で葬儀に参加することができる。費用は約8000円ほど、ずいぶん安いなあと思ったら、経費だけが請求される非営利のサービスなのだそう。
移民の国オーストラリアでは、外国に知人や親戚を持つひとも少なくない。突然の不幸に、ビザ取得や飛行機の予約さえままならないこともある。費用の問題もあろう。そうした数々の制約にわずらわされないこのサービスは、ネットの普及にともなってこれから全国的に広まるにちがいない。
しかしフツウの葬式と言うと、もう何年も顔をあわせたことのない親戚と会い、また昔の知人と旧交を温めたりというオマケがついてくるものだ。わたしも何度か経験したが、そのたびに「いや、葬式のときだけ顔をあわせるんじゃなくって、これからは時々席をもうけましょ」なんぞと約束をし、結局その次に顔をあわせるのはまたもや葬式のときである。
そうやって、いつかは「その葬式のときだけ顔をあわせるひと」の葬式に出たりするんだろうなあ。いや、もしかしたら彼らのほうが、わたしの名と時刻とパスワードを記したメイルを受け取るかもしれない。

手間隙かけてジョーク達成

近年各国で大ヒットをとった「アメリ」というフランス映画があるが、ここに出てくる世界を旅する小人に大笑いをしたひとも多いと思う。

主人公の父親は最愛の妻を亡くした後、「ひきこもり」生活を送っている。彼の唯一のよりどころは、祭壇と化してしまった庭の片隅にあるおもちゃの小人だ。
全く外に出ようともしない父をなんとかしたいと思ったアメリは、その小人を盗み、友達である国際線ステュワーデスに託す。かくして、世界中を旅する小人からは、各都市から有名な場所を背にした写真が送られてくるのだ。もちろん、最後には小人はちゃんと元の庭に戻っている。小人さえ旅をするのだ。
父親は一大決心をして、大きなスーツケースを持って旅に出ていく。アメリのチャーミングな策略は、ニューヨークの摩天楼やオランダの風車を背に写真におさまる、赤い帽子のおもちゃの小人とともに、楽しい余韻を残したものだ。

ところが最近、友達と一緒におしゃべりをしていたときに、ひょいとその話題が出た。「あのジョークは最高だったよねえ」と言ったら、「いや、あれはオリジナルじゃないんだよ。イギリスでは、かなり有名なんだ。」
あのプラスティック製の小人は、ヨーロッパではどこの庭用具売り場でも見かけるものだ。片隅にちょこっと置いて、童話の雰囲気を漂わせる小道具として使われることが多い。
「だから、ひとのウチの小人を盗んで、ちゃんと書置きを残し、いろんな場所から写真を送り続けるってのは、かなり大掛かりだけれど、誰でも知っているよ。」

彼はヘリコプターパイロットだが、何年か前、知らず知らずのうちに「片棒」をかつがされていたことがあったと言う。
ヘリコプターは、救助活動をするときには、ウィンチマンと呼ばれる「救助綱」の操作をするひとを2人乗せる。そのひとたちが、非番のときにあるホテルの玄関においてある小さなカンガルーの石像を盗んだのだ。
もちろん、ホテルには「いつもこんなところに立って、楽しそうな観光客を見ているだけでは、がまんができなくなりました。自分でも世界を見聞してきたいと思います。勝手な旅立ちをお許しください。」なんぞと書置きを残したらしい。
ウィンチマンたちが非番の二週間、カンガルーは「キングスパーク」に行き、動物園でコアラと遊び、パブで夜遊びをし、あげくのはてストリップクラブにまで出没したそうだ。
写真は律儀にも毎日、ホテルに送られた。

そして仕事に戻るときになってはじめて、友人のパイロットはなんだかイヤに大きな荷物が後ろに隠れているのに気づいた。幌をめくってみたら、なんとカンガルーの石像だ。
見つかっちゃったウィンチマンたちは白状したが、まあこのままパースにおいておくわけにもいかず、ヘリコプターは「招かれざる無賃乗客」を乗せて仕事に戻ったそうだ。
カンガルーはそのままこっそりとホテルに戻り、知らん顔をして玄関に立っていたが、ホテル側がこんなおもしろい話を逃すわけがない。
ロビーには、その後「パース旅行に行ったカンガルー」の写真が、書置きと共に陳列されていたと言う。

しかし、石像なんてかなり重いだろうに、こんな大掛かりなジョークを本当に実行するひとがいるから、世の中面白い。