酔っぱらいに酒を勧めたら罰金

国が違えば法律も違うわけで、それは「飲酒」でもそうだ。
日本に比べてはるかに「飲酒」に絡んだ暴力や事故などが多いオーストラリアでは、近くの住民が1杯引っ掛けにやってくるパブにも法律の告示が大きく貼りだされている。それも、「オーストラリアン・サッカー」を常時放送しているテレビの真下だ。誰もが顔を上げて熱心に見入るので、嫌でも目にとまる。

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拡大すると、こんな感じでオーストラリア政府と西オーストラリア州政府と警察のロゴつきだ。

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「酔っぱらいに酒を売ったり薦めたりすることは、違法です」と書かれている。そして、罰金の額がかなり高い。

酒売買の許可証保持者、またはその店のマネージャー:10000ドル(約百万円)
店に雇われているひと、または販売員:4000ドル(約40万円)
その他の場合:2000ドル(約20万円)

この「その他の場合」には、酔っぱらいと一緒に飲んでいる同僚だの友達だのが含まれる。つまり、日本の居酒屋でよく見る「まだ飲めるじゃんかよう、ほれほれ」とほとんどロレツも回らない隣の友達にやったら、オーストラリアでは店から警察に通報されて「アナタが」しょっぴかれるのだ。
いや、日本にももしかしたらこういう告示があるのかもしれないが、こんなふうに目立つ場所には貼られていない。少なくとも、わたしは今まで日本では気づかなかった。

この告示を見ていたときに、ふと気になり隣の友達に訊いた。
「ねえ、じゃあ酔っぱらっているひとは罰金を払わなくてもいいの?」「もちろん、払わないさ。酔っ払うこと自体は、ひとに暴力をふるったり車を運転したりしない限り自由だからね」

ふうん、そういうものか。

日曜日の朝食:久しぶりのフレンチトースト

深夜に突然食べたくなって、あるところに「いきなり厚切りトーストにハチミツ混ぜた卵牛乳をじっとりねっとりと染み込ませてたっぷりのバタで両面きつね色になるまでじっくり焼いて上から粉砂糖とシナモンふりかけたフレンチトーストを食べたくなったんだけど誰か止めてくれ」などという戯言を書いたのが、2週間ほど前。
それからずっと「フレンチトースト…フレンチトースト…」と思い出しては忘れていたのだが、忙しくてそんなふうにゆっくりと朝食をとる時間さえなかった。しかし、今日は一大決心。ちょっと趣向を変えて、メープルシロップを使ったフレンチトーストを日曜日の遅い朝食にしよう。

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メープルシロップはカエデの樹液からとったほんの少し苦味が混じった独特の風味の甘味料。
カナダ産のものは世界中に出まわっている。わたしが持っているのはそんなに高級なものではないが、250mlで約900円ほどする。ハチミツや水飴のようにスプーンにつくほどねっとりしていない。どちらかというとサラサラとたれて、パンケーキなどによく染みる。ただし、あの日本で有名なホットケーキミックスについているものは、純粋なメープルシロップではなく「ケーキシロップ」と呼ばれるシロモノらしい。

この容器はそのカナダ産メープルシロップの独特の形だ。スイスに住んでいたときにも、メープルシロップが1瓶戸棚にあったが、それもブランドは違えど全く同じ形のものだった。

さて、パンは、時間を見計らってパン屋で焼きたてを買ってきた。「トースト用ですか、サンドイッチ用ですか」という言葉に「いや、切らないでください」と。これは自分で厚く切ったほうが美味しいからだ。

卵は撹拌機でよく混ぜ、そこに牛乳をたっぷり混ぜ込む。このとき、低脂肪牛乳なんぞ使ってはいけない。これは、あくまでも「禁断のフレンチトースト」なのだ。妥協は許されない。シナモンパウダーを加えてさらに撹拌。さて、そこに厚切りトーストを浸し、ずっしりと重くなったところで、バターをたっぷりと熱したフライパンへそっと置く。中火で最初中まで火を通し、通ったところで一気に強火で両面バターを焦がす。

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そこにメープルシロップをたっぷりかけて、ナイフで切る。表面はカリカリで中はクリームのようにふわふわだ。
オーストラリアの店で注文すると、よくこれに季節のフルーツ、特にイチゴやラズベリーやブルーベリーなどのベリー系にホイップクリームなどが添えられているが、ちょっと量が多すぎる。で、今朝の朝食は、このフレンチトーストに豆から挽いて淹れた珈琲を飲むだけにした。

ああ、至福の時。
後で摂り過ぎた糖分のため胸焼けがするだろうが、そんなことは食べているときには気にもかけない。困ったものだね。

 

 

鶏肉のトマト煮込み:ポロ・アラ・カチャトーラ

わたしのイタリア料理レシピは、もう20年もたってしまったスイス在住のときのものだ。

スイスの公用語は4つ。ドイツ語、フランス語、イタリア語、そして少数ではあるが古代ラテン語から引き継いでいるレトロマンシュ語。そのひとつのスイスイタリア語は、本国とはほんのちょっと違って、おっとりとした方言だ。

チューリッヒには本国からの移民であるイタリア系のひとたちが多く、わたしが初めて住んだアパートの下の階にもイタリア人の家族がいた。毎年夏になると、イタリアに家族全員で里帰りし、車をおみやげでパンパンにして戻って来る。ワインもごっそりと持って帰るが、それは瓶詰めではない。日本でもよくみる石油のプラスティック容器だ。それを、スイスで瓶詰めにして自分たちのセラーに保存する。
わたしも何本かもらったことがあるが、半信半疑だったのにあまりの美味しさにビックリしてしまった。

そんなふうにイタリア料理がわたしの生活に入って来たのは、日本が大好きなイタリア系スイス人の友人がいたからでもある。彼のお母さんは、頻繁にわたしを招待してくれたのだ。懐かしいな。
スパゲッティーの茹で方も、トマトソースの作り方も、彼女から教わった。

今日作ったのは、Polo alla Cacciatora、鶏肉のトマト煮込み。Cacciatoraというのは「狩人風」、つまり秋の終わりに作る料理だ。これも彼女から教えてもらって、あまりの手軽さに季節を無視して作るわたしの定番になってしまった。

作り方は簡単。
今回は骨付きの鶏もも肉を使ったが、ひとを呼ぶときにはまるごと鶏1羽買ってブツ切りにする。こういう煮込みには、1羽買わずとも必ず骨付きを使ったほうがいい。味がぜんぜん違う。
これをたっぷりのオリーブオイルで両面こんがりと焼いて、取り出しておく。
鶏の油を捨てた同じフライパンで、同じようにブツ切りにしたにんじんと玉ねぎとセロリを中火で炒める。イタリア料理で「野菜ミックス」と言ったら、この3つの野菜を使うソフリット(soffritto)だ。最後にマッシュルームとつぶしたニンニクを加えてまた炒める。
鶏肉を戻し、白ワインをどぼっと加えてアルコールを飛ばしたら、今度はベイリーフ、カラマータオリーブ、トマト缶、チキンスープを加えて約30分煮るだけだ。
最後にパセリをぱらぱらとふって出来上がり。

「骨つき肉は食べるのがめんどくさくって」というひとたちは多いが、煮込みにすると骨がするっと肉から離れてしまうのに気づいて、結局舌鼓をうつ。
ちなみに、バンコクではフライパンを使うが、パースではル・クルーゼの重い鍋で全部やってしまう。こういう鍋はひとつあると和風煮込みも洋風煮込みもできて便利だ。バンコクでも1個買おうかしら。