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七草の節句に咳の合唱

「あらまー、がびちゃん。来てたのねー。おめでとうございますぅ。なんだ、やだ、オカアサンひとりだと思ったから、一人分しか持ってこなかったわー、やだわー、ちょっと待っててね。すぐ、持ってくるから」

お隣のおばさんがこれだけ話している間、わたしがモゴモゴとはさみこめた言葉は「おめでとうございます」だけだ。その後「いえ、とんでもないです。母と半分こしますから」などと言ってはみたが、すでにお勝手の戸をばったんと閉めて、小走りの足音を響かせていたセッカチなおばさんには聞こえない。しかし、2分もたたないうちに戻ってきて、わたしの手に大きなドンブリ鉢を押し付けた。「あんまり美味しくないかもしれないけど、縁起モノだからっ」と一応笑いながら付け加えるが、おばさんの目は「ほんとは美味しいからねっ」と物語っている。

今日は1月7日、お隣のおばさんが持ってきたのはほかほかの七草粥だ。何日か前から、母は風邪をこじらせて寝込んでいる。昔からの隣近所は、そんな母に昔ながらの「隣近所のよしみ」を運んできたのだった。
普段あまり粥が好きではないわたしだが、このたっぷりと野菜のはいった「縁起モノ」は温かく美味しい。

七草の節句は、過去の1年の厄払いをしてこれから1年の無病息災と招福を祈願する日だ。そんな日に親子で苦しい空咳の合唱をしているのだから、全くもって情けない。昨日いきなり寒さの中に帰ってきたせいか、それとも母の風邪に呼応してしまったのか、わたしの喉の痛みと咳が戻ってきたようだ。夜になって熱の上がった母の顔を見ていたら、自分もまた熱っぽくなっていることに気づいた。やばいぞ。