ハリッサのラム肉グリルとオレンジ・クスクス

ハリッサは地中海風料理を作るときには欠かせない調味料だ。唐辛子、オリーブオイル、各種スパイスのミックスペーストで、チューブ入りやビン入りなどで手に入る。

何だか辛いものが食べたくなり、買ってきたラム肉をこのハリッサとクーミンで味つけしてグリルに。オレンジは1個まるごと皮だけ削ってみじん切りにし、大さじ2杯ほどジュースを絞ったら、皮を向いて身だけ荒くほぐしておく。

グラグラと湯が沸騰したら、鍋に入れたクスクスとオレンジの皮にざざっと加え、5分ぐらい蓋をしたまま待つと、柔らかくほぐれたクスクスができあがる。そこに絞り汁を加え、ミントの葉をみじん切りにして放り込み、味を整えながら全体にざっと混ぜ合わせる。

ラム肉はこんなにウェルダンにするつもりはなかったのに、友達から電話がかかってきて、グリルからおろすのを忘れてしまった。火を止めておくべきだった…失敗、失敗。ハリッサの味がぴりりと効いて美味しいことに変わりないが、わたしはラム肉はミディアム・レアぐらいが一番好きなので。

オレンジクスクスは、オレンジの甘みとシトラスの香りがミントと混ざり合って、さっぱりとラム肉をひきたててくれる。こういう組み合わせはとても新鮮だ。

さて、今日から始まった第二学期の授業。
なんだかやることが沢山ありすぎて、どこから手を付けたらいいのかわからない状態。こういうときは料理でもして少し気を変えないと、また不眠症の日々に戻りそうな予感。やれやれ。

 

鶏肉のトマト煮込み:ポロ・アラ・カチャトーラ

わたしのイタリア料理レシピは、もう20年もたってしまったスイス在住のときのものだ。

スイスの公用語は4つ。ドイツ語、フランス語、イタリア語、そして少数ではあるが古代ラテン語から引き継いでいるレトロマンシュ語。そのひとつのスイスイタリア語は、本国とはほんのちょっと違って、おっとりとした方言だ。

チューリッヒには本国からの移民であるイタリア系のひとたちが多く、わたしが初めて住んだアパートの下の階にもイタリア人の家族がいた。毎年夏になると、イタリアに家族全員で里帰りし、車をおみやげでパンパンにして戻って来る。ワインもごっそりと持って帰るが、それは瓶詰めではない。日本でもよくみる石油のプラスティック容器だ。それを、スイスで瓶詰めにして自分たちのセラーに保存する。
わたしも何本かもらったことがあるが、半信半疑だったのにあまりの美味しさにビックリしてしまった。

そんなふうにイタリア料理がわたしの生活に入って来たのは、日本が大好きなイタリア系スイス人の友人がいたからでもある。彼のお母さんは、頻繁にわたしを招待してくれたのだ。懐かしいな。
スパゲッティーの茹で方も、トマトソースの作り方も、彼女から教わった。

今日作ったのは、Polo alla Cacciatora、鶏肉のトマト煮込み。Cacciatoraというのは「狩人風」、つまり秋の終わりに作る料理だ。これも彼女から教えてもらって、あまりの手軽さに季節を無視して作るわたしの定番になってしまった。

作り方は簡単。
今回は骨付きの鶏もも肉を使ったが、ひとを呼ぶときにはまるごと鶏1羽買ってブツ切りにする。こういう煮込みには、1羽買わずとも必ず骨付きを使ったほうがいい。味がぜんぜん違う。
これをたっぷりのオリーブオイルで両面こんがりと焼いて、取り出しておく。
鶏の油を捨てた同じフライパンで、同じようにブツ切りにしたにんじんと玉ねぎとセロリを中火で炒める。イタリア料理で「野菜ミックス」と言ったら、この3つの野菜を使うソフリット(soffritto)だ。最後にマッシュルームとつぶしたニンニクを加えてまた炒める。
鶏肉を戻し、白ワインをどぼっと加えてアルコールを飛ばしたら、今度はベイリーフ、カラマータオリーブ、トマト缶、チキンスープを加えて約30分煮るだけだ。
最後にパセリをぱらぱらとふって出来上がり。

「骨つき肉は食べるのがめんどくさくって」というひとたちは多いが、煮込みにすると骨がするっと肉から離れてしまうのに気づいて、結局舌鼓をうつ。
ちなみに、バンコクではフライパンを使うが、パースではル・クルーゼの重い鍋で全部やってしまう。こういう鍋はひとつあると和風煮込みも洋風煮込みもできて便利だ。バンコクでも1個買おうかしら。